『ロックマン』生誕40周年を記念する2027年に発売が予定されている最新作『ロックマン: デュアルオーバーライド』。
2018年発売の前作『ロックマン11 運命の歯車!!』から実に8~9年ぶりの新作となる今作は、無印『ロックマン』シリーズ恒例のナンバリング表記を外したタイトルが発表された時点で、これまでとは異なる雰囲気を漂わせていた。
そしてつい先日、メディア向け先行体験会としてお披露目されたその内容もまた、『ロックマン』シリーズのお約束に捉われない挑戦的な試みの数々が光るものとなっていたのである。
1体のボスにつき用意されたステージは1つではなく3つ。構造も長距離ではなく短距離型に一新、多種多様な攻略法を編み出せる「カスタムチップ」なる新要素を追加。そしてお披露目されたボスキャラクター「トゥインクルガール」の今風のアニメを思わせるデザインを採用。
無印『ロックマン』シリーズでは久しぶりの女性ボスでありながら、過去作の「ウーマン」ではなく「ガール」の名前が付けられているのも異彩を放っている。
筆者個人としては、どことなく1995年発売の『ロックマン7 宿命の対決!』(スーパーファミコン)から2006年発売の『ロックマンロックマン』(PlayStation Portable)までの無印シリーズ作品に見られた、“進化の系譜”【※】の息吹を感じられた。
※進化の系譜……正確には「ロックマンの進化と原点回帰の系譜がひとつになる…!!」『ロックマン クラシックスコレクション 2』のキャッチコピーで公式PV、カプコン公式サイトの紹介ページより一部引用。
その挑戦的な試みの数々は、どのような狙いから来ているのか?
このたび、『ロックマン』シリーズのプロデューサーである和泉真吾氏、今作『ロックマン: デュアルオーバーライド』のプロデューサーを務める南谷洋行氏、そしてディレクターの生田真也氏にゲームメディア合同でインタビューできる機会をいただいた。
今作でとりわけ印象的なトゥインクルガールの誕生とそのデザインに込められた意図、進化の系譜に当たるシリーズ作品を思わせるゲームデザインの考えから、ナンバリングを外した納得のきっかけまで、気になる部分をお伺いすることができたので、その模様をお届けする。
前作から8~9年ぶりの新作。過去の『ロックマン』シリーズに捉われない、垣根を取り払うボスキャラクターとして生まれた「トゥインクルガール」
──今作に登場するボス「トゥインクルガール」は、『ロックマン』シリーズとしては珍しい、現代風のアニメキャラのようなビジュアルが印象的です。
無印の『ロックマン』シリーズは昔懐かしのアニメを意識したデザインが特徴だったと思うのですが、デザインの方向性をガラッと変えた理由や狙いについてお聞きしたいです。
生田真也氏(以下、生田氏):
今回はあまり過去の『ロックマン』シリーズっぽくしたくないと言いますか、「過去のイメージに捉われない方がいい」という考え方が根底にあります。そういった意味でボスのデザインも、今回は比較的自由度の高い感じのデザインにしています。
実はトゥインクルガールは今作に登場するボスたちの中で、一番最初にデザインしたボスでもあります。「今回はどこまでやっていいのだろう?」という大きな線引きを決める意味合いを込めたキャラクターでもあるんですよ。
その線引きを決める新しい方向性として「これで行けるんじゃないの?」というものを感じて、現在の姿になりました。まさしく今風のデザインを採り入れていて、これまでのシリーズにおける“垣根”を取り払った象徴的なボスキャラクターでもあります。
──このトゥインクルガールが今作に登場するボスキャラクターの軸となるデザインということは、他のボスも今までの『ロックマン』シリーズでは見たこともないタイプになっているのでは、と期待してしまいます。
生田氏:
そうです。トゥインクルガールのような可愛いタイプのほかにも、やたらとカッコイイ感じのイケメンとか、コミカル全開なタイプなど、バリエーション豊かなボスキャラクターたちが登場しますので、ご期待いただいて大丈夫です!
南谷洋行氏(以下、南谷氏):
ボスキャラクターにつきましては現在、ユーザーの皆さんが参加できるデザインコンテストも実施させていただきましたが、今のところ最終選考の発表については準備中でありまして、今後、広くお知らせできる見込みとなっています。もう少しお待ちいただければと思っています。
──前作の『ロックマン11 運命の歯車!!』から、技術面やゲームエンジンなども含めて色々大きく進化したかと思いますが、デザイン全般において今回、特に力を入れている部分などがございましたら教えていただければと思います。
生田氏:
デザインの観点で言うと、背景に関して奥行きがあったり、ロボットが動いていたり、など過去作から大きくパワーアップさせています。
ステージ自体も、たとえばトゥインクルガールの場合、博覧会の会場が舞台になっているのですが、外から中に入ったらエントランスがあったり、ロボットたちが沢山展示されていたり、最後の方に来ると時間帯が夜になって花火が打ち上げられている。
そういった感じで、ボスへの導線を意識して作り込んでおります。ロックマンを始めとするキャラクターたちのアクションやモーション、エフェクトにつきましても、派手さと見やすさを意識しながら作り込んでいますね。
あと実は今回、ボスのモーションはアクターさんの動きをキャプチャーして撮ったものになっています。ただ、あまりにやりすぎてしまうと人間っぽさが出てしまいますから、調整を重ね、現在の動きになっています。
それもあって今回は結構、キャラクターたちが活き活きと描かれているのではないかと思っているので、そこをプレイして感じ取ってもらえると嬉しいですね。
──トゥインクルガールはキャラクター的には明るくて元気いっぱいなのに、ロックマンを本気で殺しにかかってくるというのが、ギャップがあってよかったです。
生田氏:
そうですね(笑)。
ボスに関しては今回、戦闘前の決めポーズにもこだわっていまして、それぞれのキャラクター性を表現したものになっています。トゥインクルガール以外のボスも、決めポーズや登場前の演出などを丁寧に作り込んでおりますので、楽しみにしていただければと思います。
ステージ開始前のカットインも含めて、デザイナーのこだわりが現れたものになっています。今回はそれぞれのキャラクター性が表現できる演出をしたいというのがありまして、色々とアイディアをもらいながら作り上げています。
ナンバリング撤廃という大きな選択に込められた、「ここから『ロックマン』を始めていただいても大丈夫ですよ」という新規ユーザーへの思い
──今作は前作の『ロックマン11』から、発売予定の2027年から数えて9年ぶりの新作になります。2027年は『ロックマン』シリーズ40周年の年でもありますが、なぜ今、新作を出すことになったのか、お聞かせください。
和泉真吾氏(以下、和泉氏):
おっしゃる通り、前作の『ロックマン11』が発売されたのが2018年の10月でしたので、本当にとても長い間、ファンの皆さんにはお待たせしてしまったなと思っております。
ただ、『ロックマン』シリーズとして何もしていなかった訳ではなく、この8~9年の間にさまざまな試行錯誤を続けて、新しいことを模索していました。
和泉氏:
並行して2023年4月に『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』、そして今年の3月には『流星のロックマン パーフェクトコレクション』という過去の『ロックマン』シリーズのコレクションも出しました。
ですが、完全新作に関しては出すことができておらず、我々としても心苦しく思っていました。
来年の40周年を目指して「なんとしても完全新作を出すぞ!」と、僕の方で準備を整えまして、ベストな開発体制を構築し、メンバーも揃えてこのたび、面白くてクオリティの高い完全新作を出せる見込みが立ったことから、発表させていただく運びとなりました。
──ファンの間では元祖、本家、初代などとも称される無印『ロックマン』シリーズが、新作を作るタイトルとして選ばれた経緯は何だったのでしょうか。
和泉氏:
40周年の節目に出すタイトルとしての意義、今のタイミングに出す新作として、どれがベストなのかを総合的に考えた結果となります。
我々、カプコン内部ではこの『ロックマン』シリーズを“無印”、もしくは“クラシック”と呼んでいるのですが、今回はどの新作をお届けするのが最優先であるかと考えた結果、無印シリーズの正統な新作を出す方向に決まった形ですね。
──今回の新作は『ロックマン11』の続編となりますが、タイトルは『ロックマン12』ではなく『ロックマン: デュアルオーバーライド』というナンバリングを外したものになっています。ナンバリングを外された狙いというものは何だったのでしょうか。
和泉氏:
『ロックマン』シリーズはとても歴史の長いシリーズで、長年応援してくださっているファンの皆さんも沢山いらっしゃいます。そういった方々にまずお届けするというのは、今回の新作においても第一として掲げております。
ただ、今後の『ロックマン』シリーズのことを考えますと、新しいユーザーの皆さんにぜひ手を取って遊んでみていただきたいという思いもありました。従来のナンバリングだと数字が大きくなってしまって、新しいユーザーの皆さんにとっては心理的な障壁を感じてしまったり、敷居が高いものというイメージを抱きやすくなってしまう要素があるんです。
実は前作の時点で、そのようなご意見をユーザーさんからいただいていたんですよ。
──『11』という大きな数字に抵抗を覚えられた方がいらっしゃったのですね。

和泉氏:
はい。ごく一部ではあるのですけど、前作のアンケートで「ナンバリングが冠されていると敷居が高そうに感じる」という意見がありました。
そういったことも踏まえまして、今回は新しいユーザーの皆さんが心理的な障壁を感じず手に取っていただきやすく、「ここから『ロックマン』を始めていただいても大丈夫ですよ」という思いを込めまして、ナンバリングを外させていただきました。
──ストーリーに関しても『ロックマン』シリーズを今までプレイされたことのないユーザーさんでも入りやすいものになっているのでしょうか。
南谷氏:
そうですね。新しく『ロックマン』を始められる方でも楽しめる新しいストーリーでありつつ、ファンの皆さんが遊んだ時には思わずニヤリとしていただけるような要素が出てくる感じのものになっています。
──今の段階でストーリーについて言えるのは、メインの敵はこれまでの『ロックマン』シリーズでお馴染みのDr.ワイリーである、ということぐらいになりますか?
生田氏:
いやぁ……どうなんでしょうね(笑)?
──えっ!?
南谷氏:
まあ、その辺りは今後をお待ちいただければと思います(笑)。
──ちなみに今回、タイトルからナンバリングが外れるということで、シリーズファンとしては恒例のワイリーマシンのナンバリングも外されてしまうのではないのか【※】と気になっています(笑)。
生田氏:
そこはもう……「製品版をご期待ください!」ということで!(笑)。
※ちなみに無印『ロックマン』シリーズでは、既に外伝系の作品においてナンバリングを冠さないワイリーマシンが数機登場済みとなっています。



