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社員の採用可否を生産ライン構築ゲームで決定。ゲームプレイ採用を開始した企業いわく「『Factorio』は仕事」

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 とあるビデオゲームをプレイしてもらい、その内容で採用するかどうかを決める……。そんな「ゲームプレイ採用」を、日本マクドナルドのオフィシャルサイトの制作/運用、ビックカメラのオフィシャルアプリを開発している株式会社ゆめみ開始した。対象となるゲームは、コアなシミュレーションゲーム好きに愛されている『Factorio』だ。

 2012年にPC向けにリリースされた『Factorio』は、Wube Software LTDが開発したシミュレーションゲームだ。宇宙船が壊れて謎の惑星に不時着してしまったプレイヤー。惑星にある資源を活用し、物を大量生産して、工業化を推し進め、ロケットを完成させて人工衛星を発射し、最終的に惑星から脱出するというゲームである。

 このゲームの特徴は、手動では生産は遅々として進まないが、自動化すると飛躍的に作業効率が跳ね上がる点にある。自動工場とその物流のラインを構築して、無数にある資源を生産・管理しつつ、効率化を推し進める。

 だが、それによってどこかのラインで材料搬入が間に合わなかったり、電力や材料そのものが不足するといったボトルネックができてしまう。それを修正しつつ、さらに円滑にサイクルする仕組みを追求する。このようにやろうと思えば無限に効率化できてしまい、延々と遊び続けられるので、時間泥棒されてしまう人が後を絶たない。

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(画像はSteam | Factrioより)

 さて、そんなゲームに目をつけたのが、Webのモバイルサービルを主に開発・コンサルティングを行っている株式会社ゆめみ。なんとエンジニアを対象とした新卒・中途採用にあたって、『Factorio』のプレイ状況を履歴書などの書類に代わって、選考対象とする「ゲームプレイ採用」をはじめるという。

 この採用企画は、創業当時から在籍するメンバーが発案し、社内プレゼンを行ったという。ゆめみは、社内承諾を得るのに使った企画書を以下で公開している。

 エントリー方法は、ゆめみが指定するマップを利用してプレイする。プレイ時間、スクリーンキャプチャ、ゲームのレビュー、プレイに関して気をつけたこと、このチャレンジに対する感想を提出。何度かの面接を経て、採用が決まる。

 さらに詳しく聞くため、電ファミニコゲーマーでは、株式会社ゆめみにメールインタビューを行った。


――ゆめみはどのような事業をされている会社なのでしょうか。またどのような人材を求めているのでしょうか。

ゆめみ:
 モバイルサービスを主とした受託開発・制作・コンサルティングを行う会社です。業務自体は、主にスマートフォンを活用したWebサービスのマネージメントや、設計~開発を担うPMやエンジニアになりますが、求める人材としては、「自律・自責・自学」の3つができている人としています。

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(画像はnote | ゆめみが求める人材像より)

――今回のゲームプレイ採用は、どのようなきっかけで思いついたのでしょうか。また『Factorio』でどのようなところを見るのでしょうか。

ゆめみ:
 もともとは、新卒採用時において、応募者のソースコードを見てその中のポテンシャルを図るという事を行っていましたが、新卒採用に関しては応募者がそれまで行ってきたバックボーンが見えないため、ポテンシャルを図るという行為は非常に難しく、限界を感じていました。

 そんな中、当時セール【※】をしていた『Factorio』というゲームをプレイし、社内で面白いという話をエンジニア相手にしたところ、社内で結構沢山のエンジニアがすでに経験済みで、「あのゲームは面白い」と盛り上がりました。

※【編集部注 2018/11/14 12:30】 『Factorio』は公式販売では値引きされたことがないが、早期アクセス終了時に価格改定となり20ドルから30ドルへと上昇した。この価格が上がる前に購入していたという意味だと考えられる。

 「『Factorio』は仕事」という言われ方をすることもあるほど、『Factorio』はまさに工場プラントづくりゲームで設計力を問うゲームであり、そこから『Factorio』を綺麗に進める事ができる人間はたとえプログラミングが未経験であったとしても少なくとも設計力のポテンシャルがあることはすでに保証されていると言っても過言ではないという考えに至り、『Factorio』を選択しました。

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(画像はSteam | Factrioより)

――今回のゲームプレイ採用のような取り組みは以前にもあったのでしょうか。ユニークな社風などがあればお聞かせください。

ゆめみ:
 GitHub採用も行っていますし、現在は行っていませんが、新卒採用において逆面接採用という採用も行っていました。逆面接採用は、就職を希望する学生側が社員に質問し、面接を行う採用です。

 ゆめみでは独自の福利厚生を用意しており、メンバーの健康を考えた「野菜支給制度」、オフィスの冷蔵庫にあるゆで卵とチーズが食べ放題の「たんぱく質取り放題」、書籍や最新ガジェットの購入、資格取得、セミナーや研修にかかる費用を全額負担して、メンバーの成長を促す「勉強し放題制度」などがあります。

――応募する人たちへのエールをお願いします。

企画担当者より:
 アウトプットは随時再提出も可能ですので、自分の中でハードル上げすぎずに、まず応募してみてください。

代表の片岡俊行より:
 面接という形態はあるものの、まずはゲーム自体を是非楽しんでもらえればと思います。


 「『Factorio』を使ったゲームプレイ採用」という、前代未聞の試みをしたゆめみだったが、ほかにも「野菜支給制度」、「たんぱく質取り放題」など独自の福利厚生を使っているユニークな社風の一端が伺える。ゆめみに興味をもった人、『Factorio』に興味をもった我こそはと思う人は、挑戦してみてはいかがだろうか。

文・取材/福山幸司

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インタビュアー・ライター
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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