Twitterスペースをお聞きの方へ:
本コンテンツはリアルタイムの興奮をみなさんと共有するため、声優さんにもあえて脚本を事前にお渡しせず、皆さんとおなじ画面を直接読んでいただいております。
そのため、つっかえや読み間違え等が発生することがあります。
ご不便をおかけしますが、コンテンツの性質としてご承知いただければ幸いです。
第一の分岐
Twitter人狼ADV #ギ・クロニクル
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) August 1, 2022
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第一の分岐:奇妙
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奇妙なことが起きたぞ。
いつも冷たく口汚く僕を
ののしる幼馴染のヨーズが
「気を付けて」なんて言ってきたんだ。
これ、どういう意味だろう……?
選択肢:僕にもっとしっかりしろと苦言を言ってる?
が選択されました!発端(b)に分岐します。
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……一瞬、びっくりした。
ヨーズから
気遣われたかと思った。
そんなこと
雪山がひっくりかえっても
あるはずがない……
「もっとしっかりしろ貴様
殺すぞ?」って意味だ、これ。
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「はい。剣を持つ者として
責務を果たします。
だから撃たないで下さい。
殺さないで下さい。
汚物と呼ばないで下さい……」
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「……違うし……
いやいい。なんでもない」
そっぽを向いてしまうヨーズ。
何なんだろう。
しかし……ヨーズも胸騒ぎを
感じてるのか。
懸念
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「おっと、そいつは
『虫の知らせ』
ってやつかもなあ、
お二人サンよ」
と、レイズルさんがいきなり
僕ら2人の首を両腕で
抱きかかえるようにしてきた。
ヨーズの肩が
猫みたいに跳ねる。
ちょっと後ろを見たけど、
視界は広く、
気になるものは見えない。
後方に危険はなさそうだ。
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「……捕まってる時、
看守どもから聞いたんだ。
なんでも連中、
囚人の中に『狼』ってのを
潜り込ませるのが
常套手段らしい。
『狼』ってのは奴らの符丁で、
分かりやすく言えば
『潜入工作員』ってトコだ」
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「『狼』……?
謎。意味不明。
狼は気高い森の狩人。
なんで『潜入工作員』?」
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「んな事情知るかよ。
なんか経緯があんだろ。
とにかく、
『狼』は潜り込んだ先で
内輪もめを起こすとかして、
崩壊させちまうらしい。
ちっとばかり、
心配なんだよな。
俺らの中に、
『狼』がいねえかって」
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「……いやいや、
あり得ないでしょ。
普通の雑居房ならいざ知らず、
僕らは捕まる前からの
知り合い同士ですよ?
敵の手先が
入り込む余地なんて……」
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「おい、忘れたか?
俺らの敵のこと。
そもそも俺らは
なんで逃げてる?」
──息をのんだ。
そうだ。僕らの敵は……
人間じゃない。
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「『村』を襲った俺らの敵は、
怪物だった。
気味の悪いグチャグチャした、
話に聞く『黒の軍勢』
みたいだった、な?
そいつらが『村』のみんなを
ブチ殺した後、
なぜか俺ら6人をとらえ、
連れ帰っただろ?」
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「やつらの拠点で、
俺らは囚われ、いたぶられた。
あそこの連中は一見ヒトにしか
見えなかったが、
ときおりヒトとは思えない
雰囲気を出してやがった。
ありゃあ、
人間に化けた『黒の軍勢』だ」
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「ビョルカの決断で
牢を抜け出した俺らは、
脱出に必要なもんを
倉庫で漁ってるとき、
大量の『聖域』の装備品を
見つけた……
それで、結論づけただろ?
『聖域』は『黒の軍勢』の
巣窟だって」
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「そうだった」
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「そうだった。
ん、待って。『狼』……
聞いたことある。
昔話。
旅の吟遊詩人(スカルド)。
尻男(けつお)。覚えてる?」
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「そんな名の奴いねえし
昔話に聞き覚えもないけど」
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「あー、もしかしてアレか?
古い伝説でホラ、
ババアを食っちまった狼が、
その服だか皮だかを被って
ババアに化けおおせて、
その孫娘までだまして
食っちまうって胸糞悪い話」
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「そうだった。それそれ。
私らの皮をかぶる。
外見をそっくり真似る。
または、乗りうつる。
で、そいつは私らに化け、
すでに紛れ込んでる……?」
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「……レイズルさん、
『狼』のこと、
ビョルカさんには……」
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「したした、真っ先にな。
したら、
『あり得ないですー、
心配しすぎー、
ゴニヤが怖がるから
やめて下さいー』
とかで一刀両断よ」
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「まー要らん心配とは思うよ。
ノーガードもどーなのよ?
ってなわけでお前らには
バラシてみた。
警戒よろしくゥ!」
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「……だっる。
前方注意。私の役目。
『狼』はそっちの役目。
しっかりやれ。
森の使いの落とし物」
は? 森の使いの落とし物?
……あ、僕のことか。
誰がシカのウンコだよ。
何だ、しっかりやれって。
お前の鉄砲はすごいけど、
僕だって役目はある。
最近のヨーズの
暴言はあんまりだ。
……胸の中にこみあげる、
黒くて熱いものに気を取られ、
気付いたら2人とも
いなくなっていた。くそ。
……ヨーズのことは無視だ。
僕は巫女の盾であり、剣。
僕にもみんなを守る役目が……
と口にしかけて、気付く。
『みんな』を守る。
その『みんな』の中に、
『狼』がいるかもって話だぞ?
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え……僕はどうすればいい?
いったい誰から、
誰を守ればいいんだ?
『村』の闇を担うのは、
僕の役目ではある。
でもこれは、どうすれば……