アリスソフトのMIN-NARAKENが描く美少女絵は、なぜ色あせないのか? 『神のみ』若木民喜が訊く、『闘神都市』『鬼畜王ランス』を手がけた神絵師のこだわりとは

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当時の最先端を走っていた、MIN-NARAKEN氏の美少女絵

──さて、そんなMIN-NARAKENさんの絵なのですが、当時の美少女絵としては、とても先端を走っていたように思われます。特にその少女漫画的な繊細さはほかにないものだったと思います。こういう絵柄になったバックボーンをお聞かせください。

MIN:
 なんだろうなあ(笑)。先ほども言いましたが、僕が女の子を描くようになったのは、かなり後になってからなんです。なぜ女の子を描くようになったかというと、ロボットやメカの絵を雑誌に投稿するときに、女の子を一緒に描くと掲載率が上がるんですね(笑)。それで女の子を描くようになったんですが、やはりかわいくないとダメなんですよ。なので「かわいい女の子を描こう」と意識していたのは覚えていますね。特に誰かのイラストに影響を受けたというのはないんですが、「この人の描く瞳はいいな」とか「この人の体つきの描き方はいいな」みたいな形で取り入れていったのかもしれません。

──特別なイラストレーターという存在はなかったんですね。

MIN:
 そうですね。その時々に、いいと思ったものを取り入れていった……だから初期の頃はかなり絵柄も変わっていっているんですよ。

──若木さんはMIN-NARAKENさんの絵をどんなふうに見られているんですか?

MIN:
 ふふふ、聞きたい。

若木:
 MINさんの絵って、ほかの人と雰囲気が違いますよねえ。フォロワーがいない感じがあるんですよ。あんな繊細な絵はまねできないですからね。

MIN:
 それ、ずいぶん言われましたよ。「これ、どうかいてんの? マネできひんやん」とか(笑)。

若木:
 そのまねできない絵柄というのが、MINさんが長年第一線で活躍されている理由だと思うんですよ。『闘神都市』の頃からそうでしたよね。当時主流だったアニメ絵とは全く違う。

MIN:
 実はアリスソフトで仕事を始めたときから「線が細い」とは常に言われていました。当時はスキャナーで絵を取り込んでPCに持っていくわけですが、線が細いとスキャナーが拾わないんですよ。だから太い線で描いてくれと言われました。なので、当初僕は0.3mmのシャープペンで絵を描いていたんですが、それが0.5mmになり、最終的にはミリペンになっているんです。

──どんどん太くなっていったんですね。

MIN:
 お話しした通り、僕はPCゲームの知識もなく、ずっとアナログで絵を描いていました。その流れでゲーム原画を描くことになったので、特に気にもせずに0.3mmで描き始めてしまったんですね。もっとPCゲームの原画家という仕事を理解していれば、最初からミリペンで描いていたかもしれないですけど、こういう絵柄になったのは、その部分もあると思います。

──今ではパソコンもスキャナーも性能が良くなって、よりMIN-NARAKENさんの絵をCGでも出せるようになったのかもしれませんね。

MIN:
 それも言われました。細い線を拾えるスキャナーを入れたから、0.3mmでも大丈夫だよって(笑)。それまでは苦労しました。僕は細い線を重ねて絵を描いていくタイプで、その作業が大好きだったんですね。いかに細い線を引くかに執着していた時期もあって、ロットリングで絵を描いたりもしたんです。そういう人間がいきなり「太い線で描け」と言われるジレンマ(笑)。
 それに違和感を感じてしまって、絵を描くのが楽しくなくなった時期もあったんですよ。もちろんアニメ絵にはあこがれもあったんですが、自分がそういうタイプではないって自覚していたので。実際に練習したこともあったんですけど、楽しくないんですよ。これはダメだ、絵をやめようかなって思ったこともありました。

──それって、どのあたりですか?

MIN:
 1990年の初めの頃ですよ。当時は学業でも悩んでいた時代で、絵を描くことにやさぐれていたんですよね。

──その同時期に活躍されていたほかの原画家さんも多かったと思います。刺激になったりしたのでしょうか?

MIN:
 そうですね。ちょうどその頃って美少女ゲーム雑誌がたくさん出ていた時期じゃないですか。それでいろんなゲームの絵を見て、「こんな人がいるんだ」「こんな塗り方があるんだ」と刺激になりましたね。

──特に影響を受けた原画家さんやメーカーさんはありますか?

MIN:
 天津堂さんの絵はいいなって思いましたね。特に肌の塗りがきれいだったので、個人的に勉強させてもらいました。

若木:
 天津堂って、まだあるんですか?

──天津堂自体は新作を出していませんが、親会社のソフパルでは、ユニゾンシフトさんなど人気ブランドが多数活動されていますね。

MIN:
 ソフパルさんってショップもやっていたじゃないですか。僕も結構出入りしていたんですよ。

若木:
 僕、天津堂のRB26DETTさんの絵が好きなんですよ。塗りもいいので、ぜひ新作を見たいんですよね。

MIN:
 僕も天津堂さんの塗りは研究しました。でも、あの塗りはRB26DETTさんにしかできない塗りです、凄いなあと今でも思っています。

若木:
 16色という狭い範囲で、皆さんしのぎを削っていた時期でしたよね。

MIN:
 そうでしたね。ほかに印象に残っているのはポニーテールソフトさん。

若木:
 ポニーテールソフトさんは、もうちょっと前ですかね。

MIN:
 そうですね。背景も含めて、あそこまで塗れるというのはすごいなと思いました。

アナログで原画を描いてきた、MIN-NARAKEN氏の画材へのこだわり

──1990年代……DOSから次世代OSに移り変わっていく時代の美少女ゲームのグラフィックは、どこかのブランドがほかに影響を与えるというよりは、各ブランドが独自の塗り方を極めていって、それが個性になった時代とも言えますよね。

MIN:
 僕はそう思っています。ブランドの特色を出すのはグラフィックチーフやCGスタッフの力量だと思っているので、まさに資産ですよね。当時はタイルパターンの作り方も職人技だったと思うんですよ。今でいうカスタムブラシがそれに該当すると思うのですが、グラフィッカー個人や会社で独自のタイルパターンを持っていて、それをどう使っていくかがブランドの特色になっていったと思っています。

──グラフィックももちろんですが、アナログで原画を描かれていたMIN-NARAKENさんも、画材へのこだわりはあったんですか?

MIN:
 ありましたよ。僕は画材マニアでしたから、文房具店や画材屋に行って、アレコレ探すのが大好きでしたから。こだわりと言えばシャープペンで、「アナログで描くならこれ!」と決めているのがあるんです。

──メーカーとか教えてもらえますか?

MIN:
 えー……あれ? 書いてないな(笑)。多分今では手に入らないシャープペンなんですよ。10本くらい在庫があるんですけどね。それを軸がぶれないように一番先端をペンチで絞めたりと、自分なりに使いやすくしています。

──それはすごい。芯は0.3mmですか?

MIN:
 そうです。一時0.2mmを使ってみたのですが、細すぎて折れてしまうんですよ。それで0.3mmに戻しました。

──シャープペン以外はいかがでしょう?

MIN:
 それぞれのツールごとに好きなアイテムがあるんですよ。マーカーで言えばマービーよりヌーベルのほうが発色が自分好みに良くて好き、とか。

若木:
 MINさんといえばカラーインクじゃないですか。カラーインクはどこのものを使っているんですか?

MIN:
 カラーインクは全社使っている気がする。ウィンザー&ニュートンから始まって、ホルベインにいって……ルマも試したんだけど、これがやたらめったら高いんですよね。最終的には色数と発色の良さ、塗りのバランスなどで、ドクターマーチンで落ち着きました。

若木:
 当たり前かもしれないんですけど、それだけ試していくというのがすごいですよね。

MIN:
 カラーインクはそれぞれ特性と傾向があって。それで使い分けていましたね。

若木:
 MINさんって、やっぱりCGよりもアナログの方が向いているのかなって思いますよね。むしろCGを使うことで、絵を劣化させてしまうんじゃないか、と。自分のような絵の下手な人間にとって……。

MIN:
 いやいや、何を言っているんですか。

若木:
 いやいや、絵の下手な人間にとって、CGというのは絵をうまくしてくれるものなんですよ。実力以上に描けるツールなんです。発光レイヤーとかすごく便利じゃないですか。

MIN:
 便利ですねえ(笑)。

若木:
 絵のうまさが二割増しになる(笑)。MINさんがCGを描くとき、そういう便利ツールって使います?

MIN:
 僕はねえ、結局アナログ塗りなんです。レイヤー数も多いから、若木さんが見たら「なに面倒くさい事やってんの」って思いますよ、きっと。だから便利なツールがあっても、自分の描き方だと自分でやってしまうことが多いかなあ。ただ、ツールがあると手数が減りますから、時間短縮にはなりますよね。

若木:
 ご自分では、あまり使わない?

MIN:
 いや、それがねえ、時間が迫ってくると手数をかけないようにしたいから、なんだかんだツールを使ってしまうんですよ。

若木:
 さっきレイヤーが多いって言われたじゃないですか。アリスソフトさんでは1枚のCGにどれくらいのレイヤーを使うんですか?

MIN:
 人それぞれじゃないですか? もちろんグラフィッカーの中では「これくらい」というのがあるとは思うんですが、僕にその知識はないんですよ。

若木:
 以前お話しした時に、かなりレイヤーを使っているって言われていたじゃないですか。

MIN:
 僕は線1本にレイヤーひとつ使うので、レイヤー番号としては2000とか3000とかいっちゃいますね。

一同:
 えー!?(笑)

MIN:
 それでデータが重くなりすぎて、とりあえず下半身だけ結合させて、あとで全体に組み込むとか、そういうことをよくやりますね。

若木:
 それ、レイヤー番号を管理するだけで大変じゃありません?

MIN:
 確かに。でもこれ、慣れてくると「レイヤー番号347はここの肌の部分」とかわかって来るんですよ(笑)。自分の描き癖で、これくらいの番号だと大体どのパーツかがわかるんですよね。だからレイヤー名も全部番号で管理しています。まあ、これも僕がCG慣れしていない人間だから、こういうことになっちゃうんですよね。あとから気になる線を直せるように、とか。例えば3本線を描いて、真ん中の線が気に入らなかったら、2番目だけ消して描き直すとかね。

若木:
 まあ、そこまでレイヤーを使えるようになったのもパソコンの進化ですよね。

MIN:
 若木さんもご存じだと思うんですけど、Photoshopのver.3とかver.4とかってレイヤー上限が100とか200とかって決まっていたんですよね。その時は困りました。すぐに上限になっちゃうから。

若木:
 MINさんってPhotoshopで描いているんですか?

MIN:
 個人的にはPhotoshopがメインですが、結構まんべんなく使っていますよ。

──それだけレイヤーがあるとなると、1枚のイラストを描くのに、どれくらい時間がかかるのですか?

MIN:
 それがですね、僕は飽きっぽい性格なので、ひとつの絵を1~2時間描いたら、2~3日開けるのもザラなんですよ。なので1枚の絵にどれくらいかかるかはわからないですねえ。こだわれる時間があれば、あーでもないこーでもないって1週間くらいかけることもありますし、スケジュールが詰まっていれば、時間短縮の方法を駆使して、期間内に上げるようにしますしね。まあでも、時間がかかる方だと思っています。

若木:
 グラフィックの話なんですが、アリスソフトさんは256色に移行するのが早かったですよね。

MIN:
 16色から256色に移行した頃は外注だったので、詳しく知らないんです。あとから聞いた話なんですが、スタッフによっては256色を手打ちしていた人もいたという話は聞きましたね。その後、『鬼畜王ランス』の開発の後半くらいでフルカラーに移行したんですが、その時は細かな調整部分だけ手打ちしていたようです。

若木:
 アリスソフトさんは新しい技術を取り入れるのが早かったんですよね。

──以前TADAさんに伺ったのですが、ご自身が新しいパソコンやツールを手に入れると、それをゲーム制作に導入したくなるとのことでした。

MIN:
 ああ、それはあったかもしれませんね。開発本部長が「これでいく」と言えば、そうなりますよね。僕の印象に残っているのは、256色からフルカラーになったら、やたらセーブ時間が長くなったなってことでした。

──その分、表現の幅は広がったのではないですか?

MIN:
 彩色の部分ではそうですね。ただ、やはり最初の頃は暗中模索でした。均一に、さらにきれいに見せるにはどうするかというところで、スタッフはかなり試行錯誤したと思いますよ。

若木:
 それでもMINさんの色指定の再現度はかなり上がりましたよね。

MIN:
 それはそれで、いろいろ思ってしまうんですけどね(笑)。

若木:
 当時のアリスソフトの柔らかい塗りというのは独特の感じがありましたけど、それは色指定の時に始まっていたのかもしれません。

MIN:
 一時期、影指定さんもいて、その間の揺らぎのようなものが柔らかさになっていたかもしれません。ベルトコンベヤー式に画一的に塗りを行なっていたら、その揺らぎは出なかったかもしれません。

──例えば今、アナログでもデジタルでも好きな方で描いていいです、というオファーが来たら、どちらで描かれますか?

MIN:
 個人的な楽しみならアナログで描きますが、仕事でということならリスクを減らしたいのでデジタルですね。デジタルは失敗しても戻れますが、アナログだとマスキングがちょっとずれただけでアウトですからね。実際、アリスソフトでもそれで2回ほどやらかしているんで(笑)。

──アリスソフトさんは発売日を延期しないので有名なブランドですから、そこは大変そうですね。

MIN:
 なので、かなりマージンを取って描くようにしています。

──趣味で描くならアナログですか?

MIN:
 それはそうですが、面倒くさいですね。というのも、デジタルはパソコンの前に座ればすぐに絵にとりかかれますが、アナログはそれなりの儀式がいるんですよ。

──儀式ですか。

MIN:
 画材を用意するのはもちろん、色を作ることもするし、湿度によって紙のインクの乗り方や吸い方も変わって来るから、それを把握しなければいけない。そういう儀式が大変なんです(笑)。

「仕事を始めた当初は、美少女ゲームがこんなに盛り上がるなんて思っていなかった」

──ぜひアナログの絵を描いていただきたいですね。編集部に予算を計上してもらいましょう(笑)。さて、そんなMIN-NARAKENさんの所属するアリスソフトさんやほかのブランドさんの活躍もあって、1990年代後半に、美少女ゲームは一気にブレイクしますよね。その盛り上がりというのは、MIN-NARAKENさんは感じられていましたか?

MIN:
 感じましたね。僕はゲーム情報を仕入れるのが美少女ゲーム雑誌だったのですが、その雑誌が一気に増えたじゃないですか。それで「この業界、盛り上がっているんだな」って思いました。友達でもパソコンを持つ仲間が増えだして、普通にエロゲーの話をしているんですよ。それを聞いて、広がっているんだなって実感しました。

若木:
 MINさん、コミケにも出られていますよね。一時期、美少女ゲームの原画を描くと人気になって、コミケで壁になるみたいな時期があったじゃないですか。アリスソフトといえば、その最前線。そこで原画を描いていたら、コミケでも大人気だったんじゃないですか?

MIN:
 2000年に自分のサークルで初参加した時はひどかったですね。部数が少ないのに、人だけがやたらめったらきて。あっという間に売り切れて「(危険発言)!」とか言われましたよ(笑)。これはアカンと思って2年くらい間をあけました。

若木:
 アリスソフトさんって、コミケでの部数上限があるって聞いたんですけど。

MIN:
 当時はありましたね。1000部でした。

若木:
 それはあっという間ですね(笑)。

──それにしても初コミケが2000年とは、ずいぶん最近ですね。

若木:
 そうそう。

MIN:
 いや、それでも20年前ですから(笑)。

若木:
 20年前が最近に思えるんですよ(笑)。というか、MINさんは30年以上もアリスソフトで原画家をやっているわけで、こんなに長く第一線で続けている人は少ないわけですよね。そんな中で、先ほどの質問なんですけど、美少女ゲーム業界の盛り上がりをどう感じていたのかなあ、と。

MIN:
 1995年には自社ビルが建つんですから、盛り上がっているのはもちろん分かっていました。でも仕事を始めた当初は、こんなに盛り上がるなんて思っていなかったですよ。

若木:
 MINさん自身も、「こんなに続けるとは思わなかった」って言ってましたよね。

MIN:
 正直、こんなにもたないと思っていましたからね。だって、当時は本当にパソコンが高かったじゃないですか。そう簡単に普及しないと思っていたんですよね。しかも大枚叩いて美少女ゲームって、ありえないって思っていたんですよ。ところが時代の流れに乗って、あれよあれよという感じですよ。

──その盛り上がりの中でMIN-NARAKENが自分もいけるかも?と思われたのは?

MIN:
 ないですね(笑)。ないというか、思う間もなく仕事が続けて入ってきて。「仕事がくるから、やらな!」って感じでした。だから自分の実感というより、周りを見て盛り上がってきているから、自分もここで行けるかな?って感じたのを覚えていますね。

若木:
 MINさんの個人的な感覚でいいんですが、美少女ゲームってなんでシーンの真ん中になったんだと思います?

MIN:
 値段は別にして、とっつきやすさがあったんじゃないですかね。特に盛り上がり始めた頃って、いろんなジャンルがあったじゃないですか。簡単なパズルからRPGまで。それがあらゆる幅の客層を引き込んでいった魅力だったと思うんですね。さらにパソコンスペックの向上に合わせて絵のクオリティーやグラフィックのレベルもどんどん上がっていって、女の子がかわいくなっていった。音楽もシナリオもハイクオリティーになる。
 その絵と音楽とシナリオが融合することで、美少女ゲームでしか楽しめない魅力が出てきた。ここでならどんな女の子とも出会えるし、どこにでも行けるし、しかもエッチなこともできちゃう(笑)。すべてにおいてパーフェクトじゃん!って。そこが美少女ゲームが盛り上がった最大要因だったんだと思っていますけどね。

若木:
 でも確かにそういうところはありましたよね。僕も初めて美少女ゲームを遊んだとき、本当に楽しかったんです。ワクワクがすごかった。さっきMINさんが「絵を描く儀式」って言われていましたけど、美少女ゲームにもそういうのってありましたよね。ドライブにFDを入れて、ガチャガチャガチャって音を聞いてから……みたいな(笑)。

MIN:
 わかります、わかります(笑)。僕はそれを知らずにこの業界に来たわけで、仕事をしながらその楽しさを知っていったわけです。だから、お客さんの反応を見て「こんなふうに楽しんでくれる作品作りにかかわれているんだなあ」という喜びがありましたね。

──その盛り上がりを作り上げてきた制作側も、遊んでいたユーザー側も、ほぼ同じ年齢層だったというのも、盛り上がりを作った印象がありました。

若木:
 そうなんですよ。例えば僕とMINさんはほぼ同世代でしたしね。

──実は僕とTADAさんも、ほぼ同い年です。

MIN:
 そうなんですね(笑)。だから自分が作りたいものとユーザーが求めているものが明確につながるんですよね。さらにその当時であれば、極論を言えばパソコン1台あればゲームを作れた。だからひとり絵を描ける仲間がいれば「お前絵を描けや。俺がプログラム組むから」って作れちゃう。それがソフトハウスだって僕は思っているんです。

若木:
 良くも悪くも1990年代は作品やブランドの個性がすごく強かったですよね。

MIN:
 やはり今より作りやすかったからですよ。

若木:
 確かに当時は年に数本出すのが当たり前でしたもんね……って、これもうじじいの懐古話みたいになってしまって申し訳ないんですが(笑)。

──いえいえ、面白いと思いますよ。

若木:
 ただね、それだけ盛り上がった時期のある美少女ゲームですが、僕はアリスソフトがなければ、あの盛り上がりは生まれなかったと思うんですよ。

MIN:
 そう言ってもらえるのはありがたいです。エルフさんとかF&Cさんとか初期から頑張られてきた人気メーカーさんもある中で、そういうふうに認知していただいているのは、スタッフとしては嬉しいことですね。

──確かに当時は「東のエルフ、西のアリス」などとも言われていました。でも結局30年以上も美少女ゲームを作り続けている会社って、アリスソフトさんくらいしかないんですよね。なぜこんなに長く作り続けてこられたのでしょうか?

MIN:
 やはりTADAの方針だと思います。ゲーム性にこだわって作り続けたこと、その中でも自分の遊びたいものや作りたいものを作り続けてきたこと。そういう部分にこだわり続けたことが、結果として受け入れられ続けてきたのではないでしょうかねえ。それとアリスソフトは結構幅広いジャンルのゲームを作っているんですよ。その柔軟性もよかったのではないかなあと僕自身は思っています。あとはスタッフが作りたがりというのもあるんじゃないですか(笑)。

──これはあくまで印象なのですが、アリスソフトさんって主要スタッフが長く在籍していますよね。

MIN:
 そうですね。それもやはり作りたがりの人間が多いから、抜けないんだと思います。そういう会社で美少女ゲーム制作にかかわれていることはありがたいですね。

若木:
 結構分裂したり、メインスタッフが独立したりって聞きますし、もちろんアリスソフトさんでも抜けられた人はいるんでしょうけど、会社としてまとまっている印象があるんですよね。統一感があるというか。

MIN:
 そうですね。もちろんいろいろあったりもするんですけど(笑)、比較的まとまっている印象を持たれているみたいですね。

若木:
 MINさんは今もアリスソフトの社員ですが、以前と比べて会社の雰囲気はいかがです?

MIN:
 うーん、そりゃ僕が入ったころに比べたらアットホーム感は薄くなって、ゲーム会社というか企業っぽいところは感じますけど。昔のままだなって感じる部分も多いですよ。そこは上手に会社の歴史を引き継いでいるというか。やっぱりみんな、仲がいいんでしょうね。

若木:
 そこがすごいですよね。ふつうは売れると、人気スタッフへの嫉妬だとか、偉い人が仕事をしなくなるとかで仲が悪くなったりするじゃないですか。お金で引っこ抜かれる人が出てきたりなんて話も聞くんですけど、ずーっと仲良くやっているっていうのはねえ。ゴシップの少ない会社ってイメージがありますね。

MIN:
 そこは会社の上層部に感謝しないといけませんね。そういうことが出てこないように運営してくれているんでしょう。まあ、僕が言うことではないですけど(笑)。

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