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『MGS3』リメイク版『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』で、100歳を超える老狙撃手「ジ・エンド」と20年ぶりに鬼ごっこしてきた。ダッシュジジイはご健在。20年以上経っても色褪せない神ゲーの魅力を語りたい

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敵を倒すのではなく、敵から見つからないように隠れることを楽しむステルスアクションゲームの名作『メタルギア ソリッド』シリーズ。

1987年の『メタルギア』から長きにわたって続いたこのシリーズは、そのゲームシステムや壮大なストーリーなどから、多くのファンに愛されています。

かく言う私も、そんなファンの中のひとり。生まれる前に発売されたものや一部の移植作を除いて、ほぼ全てのシリーズ作品を楽しんできました。

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そんな私が、数ある『メタルギア』シリーズの中でもいちばん好きなタイトルが、今回ご紹介する『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』(以下、MGS3)です。

なぜシリーズの中でも『MGS3』がいちばん好きなのかというと、それは、他のシリーズ作品にはない、ジャングルの奥地で潜入任務を遂行していく “サバイバル感” がとにかく楽しいから。

『MGS3』では、現地調達・迷彩服によるカムフラージュ・食事などといった、サバイバルと聞いた時に想像するような要素たちが非常に上手くゲームシステムとして落とし込まれており、それがゲームの緊張感や臨場感につながっているため、他のタイトルとは少し性質の異なる面白さがあるのです。

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また、ゲームシステムだけでなく、登場する個性豊かで人間味にあふれるキャラクターたちや、冷戦時代を舞台としたストーリーも最高で、単独潜入のサバイバルに挑むスネークの物語への物語の没入感を高めてくれています。

この『MGS3』を初めて遊んだ時に感じたサバイバル感の面白さは、8月28日に発売予定のフルリメイク作『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』(以下、MGSΔ)でも一切色あせることなく存在しており、本作をプレイすることで、改めて『MGS3』というゲームの素晴らしさに気がつくことができました。

今回は、「神ゲー」と言っても過言ではない名作ゲーム『MGS3』の魅力とともに、『MGSΔ』のリメイクの良さについてもお伝えしていきたいと思います。

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文/DuckHead
編集/柳本マリエ


食糧までも現地調達する「サバイバル感」が超楽しい

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私が『MGS3』を愛してやまない大きな理由の1つが、 “サバイバル感” の強さ。

そもそもという話になりますが、『メタルギア』シリーズは、敵を倒す爽快感を楽しむ一般的なアクションゲームに対し、敵との戦闘を可能な限り避けて敵に見つからないように隠れることを楽しむ「ステルスアクションゲーム」です。

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敵をいかにして排除するかはプレイヤーの手に委ねられており、殺してしまっても、眠らせてしまってもOK。敵を眠らせて進んでいく方が難度は高いですが、どうせやるからにはノーキルを狙いたくなってしまうのがプレイヤー心理。

ゲーム側から設定されている難易度だけでなく、プレイの方針によっても難しさが上下するというのが『メタルギア』シリーズの面白さであり、やり込みがいになるのです。

少々話は逸れてしまいましたが、敵の監視から逃げ切る “緊張感” が醍醐味の『メタルギア』シリーズにおいて、『MGS3』はシリーズタイトルの中でも特にサバイバル要素が強いことが特徴のひとつです。

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この “サバイバル感” というのは、つまり、ジャングルの奥地に潜入している臨場感や緊張感、没入感のこと。『MGS3』では、ゲーム全体でこの要素が際立つように演出されていると感じます。

例えば、敵地の中に単独で潜入する主人公スネークに対して渡される武器や弾薬、アイテムは必要最小限で、現地調達が基本です。

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もしも敵に見つかってしまった場合、当然戦闘は避けられません。状況次第では弾薬を大量に消費して敵を殲滅するランボープレイで切り抜ける必要に迫られることもあるため、敵に見つかれば見つかるほど弾薬は枯渇していき、どんどん窮地に追い込まれていくことに。

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さらにやっかいなのが、敵の攻撃によってスネークが怪我をしてしまう場合があるということ。重傷を負ってしまうと体力の最大値が削られてしまうため、一刻も早く応急処置をする必要があります。

この応急処置も『MGS3』のサバイバルの臨場感を高めてくれているシステムのひとつなのですが、当然、これをするにも包帯や消毒薬といった道具が必要で、それらの数にはもちろん限りがあるのです。

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このように、敵に見つかるということはデメリットしかありません。だからこそ、敵に見つかりたくないという感情が芽生え、ゲームプレイにも緊張感が生まれてきます。

こうなってくると、私のようなチキンプレイヤーは「とにかく最短ルートで突破したい!」という思考回路になってしまうのですが、そんなプレイをしていると、装備品を回収することなく先に進むことになってしまうため、最終的に装備が枯渇し、結果的に潜入任務が非常に厳しいものに

特に、敵を静かに素早く排除するためには必要不可欠な、銃の発砲音を消すことができるサプレッサーは限られた場所にしか置かれていないため、探索を怠ると大変なことになります。銃から発砲音が聞こえた時にサプレッサーの調達を忘れていたことに気が付いた時の驚きと焦りと絶望感は、今でもハッキリと覚えています。

……なんなら、今回の『MGSΔ』でも全く同じ失敗をやらかしました。十数年の時を経て、ゲームはグラフィックがこれほどまでに進化していたというのに、プレイヤー側は一切進化していないという事実を痛感しました。

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閑話休題。
一刻も早く次のエリアに向かいたいけど、寄り道をしなければ潜入が厳しくなってしまう。このジレンマと緊張感が、『MGS3』の面白いところだと思います。

無論、敵に見つかることなく華麗に排除したりかわしたりすることができさえすれば、寄り道をする必要なんてまったくないのですが、最初からそんなスーパープレイができるプレイヤーは数%もいないでしょう。

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しかも、『MGS3』は、『メタルギア』シリーズ(メタルギアサーガ)の物語の時系列では最初の物語であるため、他の作品で見られるようなハイテク技術が開発されておらず、他のシリーズタイトルと比較して敵の位置を把握する手段が乏しいことも特徴で、この不便さもまた、本作のサバイバル感に拍車をかけています。

そんな厳しい状況下で、最小限の移動で的確に必要なものを回収しながら敵に一切見つかることなくクリアできるようなルートを開拓することは非常に楽しいもの。
この過程こそが、『メタルギア』シリーズの醍醐味といっていいでしょう。

特に『METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE』から追加された、敵に見つかった瞬間にゲームオーバーになる最高難易度「EUROPEAN EXTREME」をクリアするのは本当に大変でした。

いくら頑張ってルートを構築して、敵に見つからないように敵の動きを注視していたとしても、ちょっとしたミスや不注意で見つかってしまうなんてことは日常茶飯事。
完璧だったはずのルートが崩壊した瞬間の一気にキモが冷える感覚は、他のゲームでは中々味わうことができません。

……「EUROPEAN EXTREME」のクリアまでにあまりにも敵に見つかりすぎてしまったので、おそらく既に私の寿命はいくらか縮まっているんじゃないかと思います。

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そして、『MGS3』で繰り広げられるサバイバル任務の臨場感を更に高めてくれているゲームシステムが、「カムフラージュ率」です。
これは、前作にあたる『MGS』『MGS2』にはなかった概念で、敵からの見つかりにくさを表した数値であり、どの迷彩服を着るかによってその値が大きく変わります。このカムフラージュ率は、周囲の環境によっても値が大きく変動するため、同じ迷彩服でも、ジャングルの中とコンクリートの上ではその効果はまったくの別物になります。

この周囲の状況に合わせて装備を変えるというシステムによって、潜入任務への没入感がより一層強くなっているのです。

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このカムフラージュの面白いところは、潜入を有利にしてくれる能力のある迷彩服から、逆にカムフラ率がネタ装備まで幅広く揃っているということ。こういった遊びやネタが『メタルギア』シリーズの魅力でもあり、これらの装備によって縛りプレイをすることもできます。

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それにしても、今回『MGSΔ』で遊んでみて、ゴールドのユニフォームが登場したのには驚きました。他のシリーズ作品にはあまり出てこない装備だと思います。

ペプシマンともリアルゴールドマンとも見えるその姿は、ジャングルの中で見ると完全に異質。この装備が叩き出すカムフラージュ率の数値は驚異の「-100%」であり、見つけてくださいと言わんばかりの仕上がりです。

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試しに来てジャングルをうろついてみましたが、信じられないくらい遠くにいる敵兵に見つかってしまいました。

一応、移動速度がかなり高くなるメリットもあるので、とんでもない速さで駆け抜ければ敵に見つからない……かもしれませんが、よほどのいいセンスの持ち主でない限り、この装備でのクリアは並大抵の努力では成し得ないと思います。

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また、『MGS3』を語る上で忘れてはいけないのが、“スタミナ” の概念を用いたライフゲージシステムです。

“スタミナ” は、スネークのフィジカルに影響する数値で、この値が高ければ、ライフの自動回復スピードが増加します。『MGS3』では、ライフゲージを直接回復させる手段は(0ではありませんが)ほぼなく、スタミナを回復させることによって間接的にライフゲージを回復させていくことになるのです。

最初にこのシステムの概要を聞いたとき、非常に斬新で画期的な、とても面白いシステムだと感じました。ライフよりもスタミナが重視されているゲームシステムも、私が『MGS3』のことが好きな理由のひとつです。

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この “スタミナ” は、「スネークの満腹具合」とも言い換えられる値であり、スネークが何かしらの食べ物を口にすることで回復させることができます。

スタミナが低いと、ライフが回復しにくいだけでなく、怪我も治りにくいし、空腹でお腹が鳴って敵に見つかるし、ろくなことはありません。
そのため、ゲームをプレイする上ではスタミナゲージの管理も非常に重要になってくるのですが、スタミナを回復させる食糧も当然のように現地調達。本当にとことんサバイバルなんですよね。

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食糧の種類は、野生動物・果物・キノコなど様々。その美味しさによってスタミナの回復量は大きく変わりますし、中には食べてしまうと食中毒をおこしたり、深い眠りについてしまったりするものもあります。
初めての食糧を食べるときのドキドキ感がまた楽しいんですよね。

しかも、せっかく集めた食糧たちは、現実世界での時間経過によって徐々に腐っていきます。

オリジナル版をプレイした当時、本作におけるサバイバル感の演出の徹底っぷりを物語るこのシステムには、本当に驚かされました。

美味しい食糧だからと食べずに大事にとっておくと、最終的には食べた瞬間にお腹を壊してしまう生物兵器へとその姿を変えてしまうのですから、恐ろしい話です。

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そうなると当然の如く欲しくなるのが、腐らなくて美味しい食べ物。そんなプレイヤーにとっての夢の食糧のひとつこそが、かの有名なバランス栄養食「カロリーメイト」であり、これを食べたときに発せられるスネークの「美味すぎる!!!!」という雄叫びのファンはとても多い……と私は信じています。

敵を避けつつ弾薬を集めて、食糧も確保する。この3つを同時にこなしつつ進んでいく『MGS3』は、まさにサバイバル。常に様々なことに気を配りながらのゲームプレイは非常に楽しく、十周近く遊んでも飽きることはありませんでした。

気がついた時には好きになっている、個性豊かなキャラクターたち

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次は、『MGS3』の魅力として忘れてはいけない個性豊かなキャラクターたちについて触れていきたいと思います。

まず、本作の主人公である “ネイキッド・スネーク” は、『メタルギア』シリーズの最重要人物である “ビッグボス” の若き日の姿。

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『メタルギア』シリーズでは、「スネーク」と呼ばれるキャラクターが何人も出てくるのですが、個人的には、ネイキッドが一番好きなスネークです。

他のスネークたちも全員大好きではあるのですが、正直、私の中ではネイキッドが圧倒的な1位です。ちなみに2位は、リキッド・スネーク。

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なぜそこまで私がネイキッドが好きなのかというと、シンプルに見た目が好みすぎるしセリフ回しがカッコよすぎるという理由はもちろんあるのですが、他のスネークたちよりも愛嬌や人間味があるからです。

『スマブラ』などに参戦していることでもお馴染みの “ソリッド・スネーク” もカッコよくて大好きなんですが、ちょっとカッコよすぎるところがあるんですよね。うまく言葉にするのが難しいのですが、隙が少なすぎて固いと言いますか。

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そんな私が愛してやまないネイキッドの愛嬌や人間味の部分を知ることができるのが、ゲーム中に聞ける無線会話です。

基本的には、セーブをしたりゲームのヒントをもらうために使用することが多いのですが、ゲームの本筋とは関係のない掛け合いが繰り広げられることも多く、ネタもたくさん仕込まれているため、聞いているだけでも楽しくなってきます。

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また、スネークの単独潜入任務をサポートする仲間たちは、これらの無線会話が登場シーンの大半を占めているのですが、会話音声を聞いているだけでも彼らの人間の良さが伝わってきます。何回か通信をしただけで、彼らのことが漏れなく好きになっているのですから不思議です。

これは『MGS3』に限った話ではありませんが、『メタルギア』シリーズのキャラクターの際立たせ方の巧さは、本当に凄いと感じます。

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ちなみに、私はネイキッドのチームの中では、特にゼロ少佐が好きです。
オリジナル版の『MGS3』をプレイした時から彼のことが大好きなので、今回の『MGSΔ』でもウキウキしながらムービーを見ていたのですが、ゼロ少佐の顔を見た瞬間、後のタイトルでの名シーンや盗聴記録が一気に脳内にフラッシュバックし、ちょっと泣きそうになりました。

いやぁ、『メタルギア』シリーズって、本当にいいもんですね。

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そして、『MGS3』は、味方だけでなく敵キャラクターも全員魅力的というのが素晴らしいところ。

ストーリーのネタバレになってしまうためあまり多くは語れませんが、ネイキッドの潜入任務の抹殺対象でありゲームのラスボスである “ザ・ボス”はもちろん、

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任務中に何度も何度もスネークの前に立ちはだかるオセロットも、めちゃくちゃいいキャラです。

特にオセロットは、『メタルギア』シリーズの裏主人公といっても過言ではないキャラクターであり、私と同様、ネイキッドと出会ったことで彼に脳を焼かれてしまった人物のひとり。

他のシリーズタイトルでは、個人的にドストライクな渋いカッコよさがあるオセロットですが、『MGS3』では若く青臭い雰囲気であるということもまたキャラクターの立体感を生み出していて、いい味になっています。

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また、ネイキッドの前に姿を現し、彼と対決する “コブラ部隊” の面々も非常に個性的で、蜂を操って攻撃してきたり、透明化して周囲の景色に溶け込んで攻撃してきたりと、どいつもこいつも人智を超えた、とんでもない能力の持ち主。

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彼らとの決戦は常に驚きの連続でしたが、特にザ・ソロー戦のインパクトは凄まじいものがありました。少なくとも私がプレイしてきた中では、後にも先にもこの戦いと似たボス戦はありません。

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衝撃的な能力を持ち、一筋縄ではいかないコブラ部隊ですが、それぞれに弱点があるというのが面白いポイント。

この弱点を見つける過程もまた楽しいのですが、弱点を把握しすぎた結果、最終的にほぼ作業ゲーになってしまうメンバーがいるのはご愛敬。この作業ゲーは、プレイヤーがそれまで頑張って道を切り開いてきた証。オリジナルから十数年の時を経て発売された『MGSΔ』でも、つつがなく作業をさせていただきました。

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ある程度の弱点があるとはいえ、中にはそこまで弱体化しないメンバーもいます。
その中のひとりが火炎放射器を扱う宇宙からの帰還者 “ザ・フューリー” で、個人的な話にはなりますが、最高難易度で挑んだときは、倒すまでに8時間くらいかかってしまいました。さすがに下手すぎやしねぇか!!

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ただ、そんなザ・フューリーよりも苦手で戦いたくないのが、こちらのジ・エンド。
彼は100歳を超える老齢の狙撃手であり、森に溶け込み自然と一体化してスネークを狙います。3マップにわたる広大な森の中から彼を見つけ出して攻撃をしなければ、プレイヤーに勝ち目はありません

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スネークがジ・エンドを見つけるのが先か、ジ・エンドがスネークを見つけるのが先か。

究極の鬼ごっこともいえる彼との戦いは非常にサバイバル感が強く、とんでもない手練れのプレイヤーでない限り長期戦になってしまうでしょう。

ただでさえジ・エンドが潜んでいる場所を探すだけでも大変なのに、ようやく見つけたと思っても、スネークが十分に接近する前にジ・エンドがスネークの存在に気がつくことが多く、その場合、100歳を超えているとは思えないスピードで逃げていってしまうのですからたまりません。

その逃げ去る姿は、もはや妖怪の類です。ダッシュジジイ。

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しかも、非常に面倒なことに、ジ・エンドがスネークに向けて放つのは麻酔銃です。

どうして麻酔銃で撃たれると面倒なことになってしまうのかというと、普通の銃でスネークのライフが0になった場合は、すぐにゲームオーバーになって、そのエリアからゲームがやり直しになりますが、ジ・エンドの麻酔銃によってスタミナが尽きてしまった場合、かなり前のステージにまで運ばれてやり直しをさせられてしまうのです。

さすがにこの仕打ちには、幾度となく心が折れ、何度かリセットボタンを押すことを余儀なくされました。

こういった要素があるため、ジ・エンド戦は緊張感と焦燥感がガチでエグいです。
基本的にずっと寝ているのに、獲物を相手にするときだけは覚醒して圧倒的な力を見せつける老狙撃手というジ・エンドのキャラクター設定自体は本当に大好きなんですが、マジで戦いたくありません。

この気持ちは色褪せることなく、今でも新鮮に心の中に残り続けています。

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ただ、そんなジ・エンドにも驚きの撃破法が複数あるというのが『MGS3』の面白いところ。

どれも初見ではまず気がつけないようなやり方なのですが、オリジナル版をプレイした学生当時、ジ・エンドが倒せないままテスト勉強期間に入ってしまい、しばらくの間ゲームを没収された結果、とある撃破方法の条件を意図せず満たしてジ・エンドが死んでしまったので、マジでビックリしました。

『MGS3』、恐ろしいゲームですよ。

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ライター
レトロゲームから最新ゲームまで、面白そうだと感じた家庭用ゲームを後先考えず手当たり次第に買い漁る男。500を越えてから、積み上げたゲームを数えるのは止めました。 ディズニーアニメ・お笑い・音楽・漫画などにも広く浅く手を伸ばし、動画投稿者としても蠢いています。
Twitter:@DuckheadW
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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