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『Fate/Samurai Remnant』は圧倒的な力量差のある「人間VSサーヴァントの戦い」をアクションゲームで表現することに挑戦している!「聖杯戦争を作りたい!」と熱望していたPに話を聞いてみた【TGS2023】

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当初は『信長の野望』級の本格シミュレーション要素も作っていた……!?

──アクション、探索と並ぶ重要な要素になりそうな「霊地争奪」についても少しお聞きしてみたいです。

庄氏:
 『Fate』シリーズってそれこそ『Fate/stay night』のころから、直接戦うだけではなくて、外側のところで策をめぐらせている描写がありましたよね。「霊地争奪」はそういった直接的な戦い以外の魅力を落とし込もう、というコンセプトから生まれたシミュレーションゲーム風の内容となっています。

 実は開発当初には、江戸全体を表現したうえで各マスター&サーヴァントの行動をシミュレートするような、非常に本格的なシミュレーションゲームにしようとしていたこともあるんです。言うなれば『信長の野望』をアクションゲームと一緒に作っているような感じになっていたんですね(笑)。

 ただゲーム全体のバランスを見たとき、さすがに本格的すぎて良くないということでブレーキをかけました。なので当初の大スケールのものをどんどん研ぎ澄ませていって、今の形に収まったという具合です。

──コーエーテクモゲームスさんのシミュレーションゲームと聞くと、ついすごいものを想像してしまってちょっと身構えていたので安心しました(笑)。

庄氏:
 先ほどアクションの敷居を下げたというお話がありましたが、霊地争奪についても同じことが言えると思います。ノベルゲームやRPGをいつも遊んでいる方からすると、恐らく本格的なシミュレーションというのもハードルが高く感じられてしまうと思うんですね。なので完成形ではマス目を移動するだけのような、誰でも楽しめるものに落ち着いています。

 なので身構えず、ぜひ気軽に遊んでみてください。こちらもゲームの進行に合わせてやれることが増えていったりだとか、より考えて成功する達成感を味わえるものになっていきますので、安心して楽しんでいただけると思いますね。

──これは主人公のステータスアップにもつながるんですよね?

庄氏:
 はい、霊脈をおさえることによって伊織の能力が向上して、アクションパートの中でもそれを感じていただけると思います。「アクションは苦手だけど考えるのは得意」という方は霊地争奪の方を効率よく進めていただき、アクション部分の難易度を下げるという遊び方もできるようになっています。

──ちなみに霊地争奪以外の育成要素ってどのようなものがあるんでしょう?

庄氏:
 たくさんありますよ! 本作は伊織の成長の物語でもありますので。

 まず代表的なものだと伊織には5つの型があって、その中のスキルツリーでアクションの幅や能力を増やしていくことができます。またセイバーはもちろん、逸れのサーヴァントについてもそれぞれスキルツリーが用意されています。ただ、逸れのサーヴァントのスキルツリーはセイバーと比べると小規模なものとなっていますね。

 もうひとつ分かりやすいものだと、伊織が使う日本刀は4つの部位に分けられていて、それぞれカスタマイズが可能です。これは「魔術拵」と呼ばれるハクスラ風のシステムでして、戦闘で集めた部位から好きなものを選んで装着する……というものになっています。

 このカスタマイズも、自分がどの“型”が得意なのか、どんなスキルを主に使っているのか、などに応じて適するものが変わっていきますので、ぜひ色々な構成を試してみていただければ。効果やその数値は非常に多岐にわたるので、やり込み要素とも言えるところですね。

──なるほど。

庄氏:
 成長要素とは少し違うかもしれませんが、街ごとにさまざまなクエストが用意されているのはもちろん、ストーリー中でもサブクエスト的なものが随所に散りばめられています。

 また「逸れのサーヴァント」や、自分以外の陣営の物語を体験できるようなコンテンツもあります。これらはお話の流れで登場したタイミングに遊んでいただいても良いですし、2周目にプレイするというのも良いんじゃないかなと。ちなみに、2周目は強くなった状態で遊べるようになっています。

 なので成長要素という意味でも、ゲーム全体の物語体験という意味でも「超絶ボリュームあります!」というのをお伝えしたいですね(笑)。

『Fate』らしさを追求しつつ、持ち味は伊織&セイバーの“バディ感”

──本作は『Fate』シリーズのタイトルということでストーリー体験が軸だと思っていましたが、ここまでのお話を聞いていてゲームプレイ面でもすごく盛りだくさんなんだな……と。ちょっと震えています(笑)。

庄氏:
 もちろん物語についても『Fate』らしさを追求していまして。例えば『Fate/stay night』であればいくつものヒロインルートがあり、バッドエンドもたくさんありましたよね。本作ではそのまま再現しているというわけではないんですが、物語上の大きな分岐というものはあります。

 やはりお話が分かれるというのも『Fate』シリーズの楽しみのひとつだと思いますので、そこは本作でも踏襲しています。ストーリー上の大きな分岐だったり、2周目だからこそ現れるお話やエンディングも用意されていますので、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいですね!

『Fate/Samurai Remnant』インタビュー【TGS2023】_003
(画像は『Fate/Samurai Remnant』公式サイトより)

──ありがとうございます。本作の見どころのひとつとして、伊織とセイバーの“バディ感”というものが挙げられていました。これから発売を迎えるにあたり、特にその“バディ感”を感じて欲しいポイントというのはどういった部分になるのでしょうか。

庄氏:
 これも大きくふたつに分けて話させていただきます。

 ひとつはやはりアクションの面ですね。「共鳴絶技」や「協力技」といったふたりだからこそ出せる強力な技を筆頭に、音声やカットインをふくめてバディ感を演出できるよう取り組んでいます。例えば戦闘中にセイバーが声をかけてくれたり、逆に自分の方から声をかけたり……といった具合で、さまざまな要素からバディ感を味わっていただけると思います。

 もうひとつはフィールドの探索です。本作では江戸の色々な街が登場するんですが、どこへ行くにもセイバーがくっついて歩き回ってくれる……時には自分から先へ行ったりもするんですけど(笑)。とにかく相棒と一緒に常に過ごしているような感覚を抱けるよう、意識しています。

 もちろん、メインストーリーの中でも伊織&セイバーというバディがどういう結末をたどるのか……というところを掘り下げています。なのでぜひ、2周目3周目まで遊んでいただきたいですね。

──今回の試遊でも軽く探索パートを体験できましたが、セイバーはすごく自由奔放というか、一緒にいて楽しい存在でした。

庄氏:
 セイバーはこの時代に来たばかりなので、色々なものに興味津々でかわいいですよね(笑)。

 一応、召喚された際にある程度の知識は持っているんですが、本人の価値観が変わっているわけではないので。フリーダムなセイバーに対して伊織がつどつど「街を壊すなよ」みたいに注意する、良いコンビに描けたんじゃないかなと思います。

『Fate/Samurai Remnant』インタビュー【TGS2023】_004
(画像は『Fate/Samurai Remnant』公式サイトより)

──では最後になりますが、まもなくの発売を待ち望むファンの皆さんに向けてメッセージをいただけたらと思います。

庄氏:
 まずは何よりも『Fate』ファンの皆さんに遊んでいただきたいな、と思っております。私自身も『Fate/stay night』のころからのファンで、ずっと「聖杯戦争を作りたい!」と思っていたところもありますね。

 そして今回はTYPE-MOONの皆さんに、ゼロから新しい『Fate』を作るにあたって多大なご協力をいただきました。なので『Fate』ファンの皆さんにご満足いただけるものになっているのではないかな、と。

 それから逆に『Fate』を知らない方や、名前は知っているけど触れる機会がなかったという方にも本作はおすすめできる作品です。『Fate』シリーズは奥深い世界設定や物語が魅力なだけに敷居の高さを感じている人もゼロではないかと思いますので、そういった方も楽しめる「ゼロから遊べる『Fate』」というのも裏のコンセプトとして作ってきました。

 あらゆる方に『Fate』の魅力を感じていただける作品に仕上げましたので……全員、買って遊んでください!(笑)

──本日はありがとうございました。

庄氏:
 ありがとうございました。(了)

『Fate/Samurai Remnant』インタビュー【TGS2023】_005

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ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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