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「頭蓋骨を噛み砕かれる体験」を味わえる、尖った新作VRゲーム──それを開発したのが『ソルサク』コアメンバーという安心感。VRで「死の追体験」を追及した結果、なにが生まれたのか?

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「脊椎エクスカリバー」──自身の脊椎や内臓を口から引き抜いて最強の剣とする禁断の技。発動後、術者は死亡する。

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©2013 Sony Interactive Entertainment Inc.

ちょっと何言ってるかよくわからないこの技が世に出てしまってから約11年の時がたった。

この技は、MP(マジックポイント)の概念が存在しない世界で、供物を捧げ代償を支払うことで魔法を扱う「魔法使いの戦い」を描いた『SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)』というゲームにて扱える魔法の一種だ。

脳や眼、皮膚(皮)などを代償に魔法を放つダークな世界観で描かれた本作は、その狂気的設定で発売から約11年経った今でも熱烈なファンに支持されている。

そんな『ソルサク』の主要メンバーが集い、新作VRゲームの制作プロジェクトが始動してから約1年……『SOUL COVENANT(ソウル・コヴェナント)』の発売日が間近に迫っている。

「死の追体験」をテーマかつ、『ソルサク』の精神的続編と銘打っている本作であるが、

仲間の亡骸から作られた武器を握りしめて戦ったり……

頭蓋骨をガリガリバリバリゴリゴリボキボキ砕かれる体験を臨場感たっぷりに味わえたり……

VRであることを最大限に活用して、“プレイヤーに絶望を叩きつけること”に余念がない。

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今回、電ファミニコゲーマーでは、2024年4月19日に発売を控える新作VRゲーム『ソウル・コヴェナント』の主要メンバーである鳥山晃之氏岡村光氏下川輝宏氏のお三方にお集まりいただき、お話を伺った。

新プロジェクト始動から1年、どのようにゲーム開発を行ってきたのか。VRゲームだからこその苦労やこだわり。『ソウル・コヴェナント』の見どころについてもお聞きした。

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▲左から鳥山晃之氏、岡村光氏、下川輝宏氏。

聞き手/豊田恵吾
編集/竹中プレジデント
撮影/増田雄介

※この記事は『SOUL COVENANT』の魅力をもっと知ってもらいたいThirdverseさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


 東京ゲームショウでは230分待ちの列ができるくらい話題に

──『ソウル・サクリファイス』(以下、ソルサク)のコアメンバーが集っての新プロジェクト始動の発表から約1年……東京ゲームショウ2023でも話題になっていた“頭蓋骨をガリガリバリバリゴリゴリボキボキ砕かれる”体験がついにユーザーのもとに届くわけですね。

鳥山晃之氏(以下、鳥山氏):
開発メンバーにはこの1年、本当に頑張っていただきました。

今作『ソウル・コヴェナント』は「死の追体験」をテーマに作っているので、TGSの試遊プレイでの捕食される体験はプロモーションにおいても重要でした。

人間には「怖い……けれど先が見たい」という怖いもの見たさの心理があります。その感覚をうまくユーザーにお見せすることができたのではないかと思っています。

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岡村光氏(以下、岡村氏):
TGSへの出展は未知の部分も多く、どうなるか不安でしたが、感触はすごくよかったです。整理券もあっという間に配りきってしまって……配り終わるまで何分くらいでしたっけ?

鳥山氏:
整理券はかなりの枚数を用意していたのですが、開場から10分程度でなくなってしまいました。待機列も最長で230分待ちになっていたと思います。

──230分!? 新幹線で東京から広島まで行ける時間じゃないですか。それはすごいですね……!

鳥山氏:
正直なところ、ここまで人が集まるとは思っていなかったのでビックリしました。

昼過ぎくらいから賑やかになってくれるといいなぁ……くらいに考えていたので、まさか朝いちで整理券がなくなるくらい注目いただけるとは。

岡村氏:
1日目の整理券配布に間に合わなかった方が2日目朝いちにダッシュで来てくださったり、整理券がないとご案内したら「並びます!」と言ってくださる方もいました。

──ブースにいらっしゃった方々はやはり『ソルサク』ファンが多かったんでしょうか?

鳥山氏:
『ソルサク』ファンの方もいらっしゃいましたが、どちらかと言うとVRゲームでストーリー性のある作品に興味がある方やPS VR2自体を体験してみたい方が多かった印象です。

下川輝宏氏(以下、下川氏):
TGSではVR機器の展示もあって、試遊プレイ後にVR機器を見に行く方も見かけましたね。

鳥山氏:
そうそう。「プレイするためにはどの機器を買ったらいいのか?」という質問を受けたり、なかには「この後、お店に予約しに行く」とおっしゃる方もいて。

VR機器は決して安くないのですが、そう思ってくださるのが嬉しかったですし、同時にVRでプレイしたいと思えるゲームがこれまで少なかったことを痛感しました。この作品をプレイするためにVR機器を買ってくれる方がいらっしゃるようなら本当にありがたいですね。

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仲間の亡骸から作られた武器を握って戦うのはVRだからこその体験

──仲間の亡骸から作られた武器を握って戦うことも本作の特徴だと思うのですが、そもそも「仲間の亡骸を武器にする」という狂気的な発想はどこから生まれたのでしょうか?

下川氏:
まず、Thirdverseさんの特色としてVRで剣を振るゲームというのがあったので、そこを土台に『ソウル・コヴェナント』ならではの体験を考えていきました。

本作のテーマである「死の追体験」や『ソルサク』の精神的続編ということを踏まえていくと、やはり武器は特別なものであるべきなんじゃないかと。

──そこで生み出されたのが仲間の亡骸を武器にするアイデアだったと……。

下川氏:
そうですね。脊椎エクスカリバー……ではないですが、仲間の亡骸から作られた武器を握るというのは、VRゲームだからこその体験になるのでは? と。

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岡村氏:
その設定を見たとき、すごく下川さん的な発想だと思いました。

VRはコンシューマーと違って、自らの手で武器を握っている感触を感じられるゲームなので、その生々しさはVRだからこそ実感できる体験ですよね。

もちろん普通に剣を振って敵を倒すだけでも楽しいのですが、設定を織り交ぜることで「さっきまで共に戦っていた仲間をいま自分の手で握っている」という特別な体験になる。そういう設定とゲーム体験を上手く合わせられるのが下川さんのすごいところですね。

鳥山氏:
この設定を最初に説明されたときは「大丈夫ですか?」と心配になりました(笑)。

下川氏:
でも『ソルサク』時代から同じように「大丈夫ですか?」と言われ続けてここまで来ているので、見慣れた光景なはずです(笑)。

一同:
(笑)。

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──仲間の亡骸が武器になるというのは 『ソルサク』っぽさがありますよね。

下川氏:
『ソルサク』の精神的続編ということで、武器を考える際にそういうオーダーはあったので、代名詞とも言える脊椎を武器に……と。

──そもそも『ソルサク』の「脊椎エクスカリバー」という発想はどういう経緯で生まれたものなんでしょう?

下川氏:
『ソルサク』は完全新作ゲームだったので、何かしら際立たせたいと思っていたんです。そこで、一番の売りである生贄魔法をどうするか考えていて……「口に手を突っ込んで脊椎を引き抜いて」みたいな(笑)。

岡村氏:
下川さん大丈夫かなと思いましたよ(笑)。

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鳥山氏:
当時は表現が厳しかったので、本当に大変でした……。決裁権のある偉い方たちにどうやって説明しようかと悩みました(笑)。

下川氏:
「言葉から絵が浮かぶ」と、岡村さんの反応がよかったのは覚えています。ただ、生贄魔法についてはいくつかの案がボツにされましたよね。

鳥山氏:
あれはもうレーティング的にダメなラインだったので……。倫理チェック部門からNGが出たものもあったので、当時は周囲からすごく心配されていたんです(笑)。

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▲脊椎エクスカリバーよりも恐ろしい魔法が考案されていたらしい……。
©2013 Sony Interactive Entertainment Inc.

──まさか脊椎エクスカリバーより上があったとは……。とはいえ、『チェンソーマン』の“田中脊髄剣”に対するSNSでの反応しかり、『ソルサク』発売当時の2013年から時代は変わって、最近はそういう描写に対する受け止められかたも変化している印象です。

鳥山氏:
『鬼滅の刃』『進撃の巨人』など、人によっては残酷な世界に見える描写の作品がアニメ化して人気を博していますし、そういう作風が一般的に受け入れられるようになってきたということなんだと思います。

下川氏:
そうですね。当時は賛否両論があったと思うのですが、今回はすんなり受け入れられている気はします。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。
サブデスク
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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