「単に探索できる場所」としての世界は作らない。地に足の着いた、それでいて感情を動かせるロマンチックな空間を作る
──このゲームでは、風景や自然の描写が本当に見事です。こうした表現を実現するために、どんなリサーチを行ったのでしょうか?
Arek氏:
私たちがいつも行っているのは、できる限り「現実世界を参考にする」ことです。ゲームの中で訪れる場所は現実のものではありませんが、それでも参照可能なオリジナルは存在します。
たとえば舞台のひとつであるペルーについて言えば、現実の自然環境を参照しつつ、その上にロマンを加えています。これはゲームですから、私たちは自然を単に探索するだけの場所としてではなく、それを通して感情が動かせる場所にしたいと考えています。
私たちは、説得力のある形で世界を構築することに最善を尽くしています。ですから「ジャングルを出すためにジャングルを作る」ことをしようとは思いません。
植物がどう育つか、なぜこの場所ではより多く育ち、別の場所ではあまり育たないのかを考えます。建築についても同じですね。現実世界からの参照に基づきつつ、私たち自身の趣を添えた美しい世界を構築することが、私たちのやりたいことです。
──今回プレイしたデモ版では、多くの素材が収集できました。こうした素材はゲーム中でどのように使用できるのか、少しヒントをいただけますか?
Raul氏:
鋭いですね。実はまだそれについて話す準備はあまりできていないのですが、少しだけヒントを出しましょう。このゲームには、オリジナル版にはなかった「クラフト」の要素がありますよ。
リイマジンするうえで考えたことなのですが、たとえば以前は、ララが放棄された墓所の中で回復アイテムの「メディパック」を見つけるといったことがありました。それは少し場違いに感じられたのではないかと思います。だから私たちは、もう少し地に足のついた方法がないか考えていたのです。
Arekは「説得力のある形で世界を構築する」と言っていましたが、ある意味ではその話にも繋がります。この話には本当はもう少し続きがあるのですが、詳細についてはもうしばらくお待ちください。
Jeff氏:
ここには確かな課題がひとつあります。ララをよりリアルな空間に持ち込むほど、以前ならうまくごまかせていたことが通用しなくなってくるのです。
だから、より良い方法を見つけなければなりません。ただ、その新しい方法は、とても面白いものになると思います。これについて、もっとお話しできることをとても楽しみにしています。
「戦闘」は独立したシステムではない。キャラクター性や世界観、探索などのゲーム性に正しく接続されている状態を目指した
──戦闘についての所感なのですが、本作は二丁拳銃と射撃のクラシックな手触りは残しつつ、それが現代的な戦闘アクションのメカニクスに適応されていると感じました。新たなアクションをデザインするにあたっては、かなり試行錯誤もされたのでしょうか?
Raul氏:
ええ、ものすごくたくさんです。時間が足りなくなるかもしれないですね(笑)。
そう感じていただけたことは、私にとってもチームにとっても、とても嬉しいです。というのも、いまおっしゃった「オリジナルの手触りを残しつつ、現代的にする」というのは、まさに私たちが目標としていたデザインだったからです。
ゲーム開発全般に言えることだとは思いますが、戦闘について、私たちはいくつも異なるバージョンを試しています。「リイマジニング」とは大きなプロセスであって、最初から目指すべき目標があるわけではありません。何度も試行と反復を繰り返し、自分たちでプレイして確かめ、他の人々の手にコントローラーを渡して反応を見ました。
私たちがはっきり目指すべきだとわかっていたのは「二丁拳銃の操作感がしっくりくるものでなくてはならない」ということでした。
『サバイバー』の時には弓での戦闘に焦点をあて、その感触を生々しいものにするというアプローチをとっていましたが、本作では別の方向へ進みたいと思っていました。
クラシックなララを尊重し、彼女の象徴的な武器を使うことが本当に素晴らしいことだと感じられるようにしたいと思っていました。それが、ララというキャラクターについての一貫した説得力を持たせることにもなるからです。
──単に戦闘を現代的なメカニクスに寄せるという以上のことを目指したわけですね。
Raul氏:
戦闘について、もうひとつ果たしたかったのが「他のすべてと一貫して調和している」ようにすることでもありました。もしこれが単なる戦闘だけのゲームであれば、話は簡単です。ですがJeffが言っていたように、本作にはパズルがあり、探索があります。だから私たちは、戦闘に関するデザイン目標のすべてが、ゲームのあらゆる側面にも繋がっていくようにしたかったのです。
その一例が、ララのアクロバットアクションです。逆立ちやピルエットといった、クラシックなララが持っていた動きはすべて持たせたくて、その方法を探していました。そこで取り入れたのが「フォーカスモード」です。
これは試行錯誤の中で生まれた大きな変更点のひとつです。プレイヤーはララらしく動けるようになり、華麗なピルエットを披露しつつ、しかも敵に対しては優位ももたらすアクションにもなる。うまくハマったような感覚がありました。
最新研究を反映し、恐竜には羽毛をつける。でもオリジナルのイメージを損なうのではなく、それをより特徴的に際立たせる方法で
──デモ版のプレイの中で、恐竜に「羽毛」があることに気づいたのですが、これは恐竜についての最新の研究を取り入れたからでしょうか?
Arek氏:
それには2つの側面があります。1つには、現在の恐竜研究が30年前とはまったく異なっていることです。いまでは彼らが羽毛を持っていた可能性が証明されていますよね?
でも同時に、それはリイマジンの一部でもあるのです。私たちはヴェロキラプトルやT-レックスといったシリーズにとってアイコニックな要素を取り入れつつ、その上から私たちなりの要素も加えたのです。
T-レックスの例で言えば、彼は「緑のトカゲ」というのが非常に象徴的なイメージですが、そこに赤い羽毛を加えることで、より際立ってユニークな存在にすることができます。
Jeff氏:
付け加えて言えば、オリジナルのキャラクターたちには、「シルエットのDNA」とでもいうべきものがあります。私たちのリイマジンのプロセスでは、そうしたオリジナルの感触は保ちながら、一方で現実感やいまやほとんどの人たちが知っている事実が損なわれているとも感じさせない、そうした調整が重要でした。
そして、羽毛があることで彼らを象徴するあの後頭部の「トゲ」を表現する役割を与えることにしました。それは同時に、キャラクターのセレブレーションでもあります。
──オリジナル版のビジュアルイメージを損なうことなく現代的な知見を調和させ、そこにゲーム的な説得力も含めようとしている、ということですね。
Jeff氏:
特に素早いラプトルの場合、羽毛を持つことが空気力学的な役割を果たすわけですから、そのアイデアを説得力のあるものにしてくれます。鼻先を長く伸ばした姿は、スポーツカーのように風を切って進むさまを感じさせるでしょう。これらは、すべて意図的なデザインです。
T-レックスに関して言えば、羽毛は美しい雲霧林という周囲の環境の中に溶け込ませるという役割も担っています。さらに馴染み深いオリジナル版の緑と黄色のカラーリングに赤の差し色が加わることで、背景から際立って見えるようになります。まさに、『トゥームレイダー』シリーズの象徴的な存在になるのです。

ファンに向けたイースターエッグは盛りだくさん。話したくてウズウズ
──『トゥームレイダー』シリーズには、世界中に多くのファンがいるタイトルです。本作では、彼らに向けたサプライズであったり、過去作からのオマージュなどはたくさん含まれているのでしょうか?
Raul氏:
すごくワクワクする質問ですね。たくさんありますよ! シリーズファンの方であれば、たくさんのイースターエッグやサプライズを見つけられると思います。私たち自身も、それについてお話しできるようになるのがとても楽しみです。
いまは開発チーム以外の方に初めて本作をプレイしてもらっている段階なのですが、私たちもようやく皆さんの反応から手ごたえを感じはじめてきました。
もどかしいですね。ゲーム発売前のインタビューの悪いところは、私たちが「よし、なんでも全部話をさせてくれ!」と言いたくなってしまうことです(笑)。まだそうすることはできないのですが。ともかく、ファンの方に喜んでもらえるものはたくさん用意しているので、期待してください。
Jeff氏:
でも読者のみなさんに言えることが、ひとつだけあります。公開しているトレーラー映像の中にも、おそらくまだ1人だけしか気づいていないイースターエッグが1つあります。ぜひじっくりとご覧になって、見つけられるか試してみてください。
Raul氏:
ぜひ探してみてください(笑)。
──『レガシー・オブ・アトランティス』『トゥームレイダー:カタリスト』の同時発表や、制作中のTVシリーズなど、ここにきてシリーズ再活性化の動きが活発になっていると感じます。それに関しての思いをお聞かせ願えますか?
Jeff氏:
私たちは、皆さんに『トゥームレイダー』を心から愛してほしいですし、望むだけ『トゥームレイダー』の世界に浸かってほしいと思っています。
とはいえ、開発チームとしては、他メディアとのタイアップとして優れたゲームを作りたいと思っているわけではなく、あくまで「優れたゲームを作ること」こそ重要です。それを助けるものがあるのは、大きな利点ですね。
また、ファンの皆さんがずっと探し、望んできたことが実を結び始めているのを目撃できているのは素晴らしいですね。ですから『トゥームレイダー』には明るい未来が広がっていますよ。
たくさん計画を用意していますし、今回の作品はそのスタート地点です。もししばらくシリーズから離れていた方がいれば、いまこそ戻ってくる絶好のチャンスですよ!とお伝えしたいですね。
Raul氏:
それに、ララの30周年も近づいていますよね。ビデオゲームのアイコンのひとつにもなっている彼女を盛大にお祝いするのに、ふさわしいタイミングです。
みなさんが最初に触れる『トゥームレイダー』がゲームであれ、映画であれ、コミックであれ──誰にとっても、どこであっても、「手に取れるトゥームレイダー」が確実に存在することが、私の願いです。
できることなら、初めてシリーズに触れる人が私たちの作品を遊んでくれたら、それを契機に過去作も振り返ってくれると嬉しいですね。
あるいはテレビシリーズから入った人が、私たちのゲームに来てくれるというのもいいですね。さまざまな方法でララの物語を届けられることに、とてもワクワクしています。
──最後に、ファンとして、そして開発者として、『トゥームレイダー』シリーズへの個人的な想いを聞かせてください。
Raul氏:
私たち3人全員、そして開発チームの多くのメンバーが、『トゥームレイダー』とともに育ちました。だから、いまそれを作ることができる立場にいるというのは、たいへんな喜びであり、途方もない名誉で、毎日その気持ちを感じています。
私の願いは、私たちがこの作品を正当に扱えていることです。そしてファンの皆さんも、私たちと同じくらい、この作品を愛してくれることを願っています。
──ありがとうございました!(了)
自分たち自身、開発者である前に『トゥームレイダー』のファンだ──そう語る3人の言葉は、自分たちが作っているゲームの面白さへの自信と、30年という歴史の中で積み重ねられてきた作品への愛にあふれているように感じられた。
常にオリジナルと比較される「リイマジン」は、ある意味でオリジナル以上に作るのが難しいタイトルだろう。だが、今回のインタビューでは、そこに怯む様子は全くなかった。
むしろ見えたのは、時代の流れや技術の進歩でゲームの映像がよりリアルになったことで、「ごまかし」が効かなくなってきた『トゥームレイダー』を、どう説得力のある形に再解釈するのかという熱意と、プレイヤーに対しての誠実さだ。
余談ながら、トレーラー映像にはおそらくまだ1人しか見つけてないイースターエッグがある、という話も興味深かった。本作がリリースされるのは2027年の2月13日。まだ時間もたっぷりあるので、興味のある方はそこから始めてみるのはいかがだろうか。


