カナダが世界に誇るものとは、何だろうか?
メープルシロップ、ナイアガラの滝、そして『Warframe』だ。
2026年7月某日、カナダに『Warframe』を愛するファン“4000人以上”が押し寄せた。
それもそのはず、銀河をまたにかけて冒険を繰り広げるオンライン協力アクションゲーム『Warframe』最大のファンイベント「TennoCon 2026」が開催されたからだ。
開催地は、本作を手がけたDigital Extremesの地元カナダのオンタリオ州ロンドンだ。
会場には早朝から長蛇の列。手づくりグッズを抱えたファンたちが世界中から集まっていた。スタッフに聞いたところ、チケットは予約開始から一瞬で売り切れたという。
記事執筆時点で“8500万人”の登録者数を誇る『Warframe』は、約13年にわたり基本無料で運営が継続されている人気作だ。プレイヤーは強化外骨格Warframe(ウォーフレーム)を用いて、宇宙に蔓延る各勢力の闘争に身を投じる。
多くの基本無料タイトルが生まれては消えていくなか、なぜ本作はこれほどまでに長く、そして熱狂的に愛されているのだろうか。
その答えを探るべく、私は現地に集まった『Warframe』のファン(以下、テンノ)と、開発陣に話を聞いてみた。【※】
※テンノ
『Warframe』における主人公の呼称のひとつ。作中における戦士や種族・勢力を指す言葉で、古代文明の強化外骨格「Warframe」を操り、宇宙の調和を守るために戦う。ユーザー間ではプレイヤーやファンのことを示す言葉としても使われる。
取材・文/TsushimaHiro
カナダ現地のテンノに『Warframe』愛を語ってもらった
まずは会場の入口だ。
まだオープンすらしていないのに、街角を埋め尽くすほど長蛇の列ができている。
最初に目についたのは、悪魔をモチーフにしたWarframe「Uriel」のイラストが描かれたジャケットを羽織る女性だった。
北米カナダも、7月は夏真っ盛り。照りつける太陽のもと、手作りジャケット持参で列に並ぶその気合いの入りかたは尋常ではない。さっそく、声をかけてみよう。
──おはようございます、テンノ。いくつか質問してもいいですか?
「Uriel」ジャケットのテンノ:
もちろん、いいよ!
──その「Uriel」のジャケット、ご自身で作られたんですか?
「Uriel」ジャケットのテンノ:
そうだよ!見て、このアクリルキーホルダーとキーチェーンも作ったんだ。
タブレットで描いたイラストを使ったんだよ。
──これも、手作りなんですね。
「Uriel」ジャケットのテンノ:
そうだよ!ねぇ、ステッカーもあるから、あなたに1枚あげる。
好きなのを選んでいいよ。

──ありがとうございます!せっかくなのでいただきます。ちなみにこれは愚問かもしれませんが、一番お気に入りのWarframeはどれですか?
「Uriel」ジャケットのテンノ:
私が好きなWarframeは「Uriel」だね!もちろん「Uriel」だよ。決まってるっしょ!【※】
※Uriel
悪魔をモチーフにしたWarframeで、とある場所に封印されていた。小型の悪魔を召喚してさまざまな能力を発動するほか、高火力の範囲攻撃や高い機動力を兼ね備えている。
彼女はそう答えて、誇らしげにポーズをとって見せてくれた。ジャケットを手作りしているだけでも驚きだが、アクセサリーまで『Warframe』の登場人物で統一しているハンドメイドとはおそれいった。
すると、嬉しそうにジャケットをアピールする彼女の傍にいた男性テンノがこちらに歩み寄ってきた。
男性テンノ:
よく来たな!俺の作ったリストバンドもあげるぜ!
たくさんあるんだよ!
手渡されたのは「Rap tap tap」と描かれたゴム製のバンドだった。【※】
話しかけたらグッズを渡してくれる優しいテンノたち。
あたたかい……。いざ敵を前にするとヴァンサバ終盤級のスピードで狩りつくす宇宙の戦士たちも、実際に目の前にしたらなんてあたたかい存在なんだ。
※「Rap tap tap」
『Warframe』のクエスト「Harrowの鎖」にて登場する台詞。プレイヤーの間ではホラー要素の強い演出として広く知られているクエストで、この台詞が発せられるシーンも印象深いものとして語られている。
会場もいざオープン。中に入ってみると、ここでも一瞬で列ができた。
待機列にはフォトスポットや、色彩が変化し続ける巨大な「Ember Heirloom」の立体像も飾られており、記念撮影を楽しむテンノが後を絶たない。
列に並んでいる間も、誰もが自分の「好き」を惜しみなく分け合っており、交流が発生している。いちプレイヤーとしては、ここにいる全員がテンノだと思うと感慨深い。
テンノたちは星々のように目を輝かせながら、両手に抱えきれないほどのグッズを爆買いしていった。
筆者は現地で、彼はゲーム内の装備アイテムである「MOD」を物理カードとして持っているテンノを見かけた。これは、グッズを購入するともらえるものだ。
話を聞いてみたところ、彼は『Warframe』を10年以上遊んでいるというベテランだった。
──すごい枚数のカードですね。おそらく相当数のグッズを購入されたのだとおもわれますが、『Warframe』はどれくらいプレイされているのですか?
ベテランテンノ:
いいでしょ。『Warframe』は少なくとも11年以上は途切れずプレイし続けているよ。
──『Warframe』はサービス開始から約13年が経過しましたが、今もなお多くのユーザーに愛されている理由を、ぜひプレイヤー目線で教えていただけないでしょうか。
ベテランテンノ:
僕が『Warframe』を好きな理由は、圧倒的に強い存在になれるからだね。
それに“楽しくて無料”だし。あと、どのプラットフォームでもだいたい動くんだ。
それを11年間続けているよ。僕はただ、走り回って壊しまくるのが好きなんだろうね。
──お気に入りのWarframeはどれですか?
ベテランテンノ:
「Uriel」が好きだね。あと、最近アップデートで追加された「SiriusとOrion」にはとくに注目しているよ。【※】
※SiriusとOrion
『Warframe』のシネマティックストーリー「翡翠の影:星座」と同時に登場したWarframe。2体1組という特殊な形態をもち、互いが激しく衝突することで敵にダメージを与えつつ戦闘中に交代することも可能。それぞれが異なる能力を有している。
「無料で最強になれる!わかるでしょ?」
さらに、筆者は現地で『Warframe』のコスプレをしているグループにも問いを投げかけてみた。すると、かぶりものを身につけた男性が「待ってました」とばかりに答えてくれた。
──『Warframe』が13年間も親しまれている理由はどこにあると思いますか?

中央のテンノ:
そりゃあ、無料で最強の戦士になれるからだよ。わかるでしょ?
誰でも宇宙で自分だけの「WARFRAME」を作れるんだから、最高だよ!
あと、頻繁なアップデートも大きいと思うな。開発者のコミュニケーションの取り方やコミュニティとの向き合い方が、実際にゲームを前進させるためにすごく役立っていると思うんだ。
彼らが取り組み続けてきたこと、その創作ビジョンも含めてひとつのプロジェクトとして育ててきたからこそ、僕らは宇宙の戦士になれているのだと思う。
──すてきなコメントをありがとうございます。「Nezha」のテンノさんはいかがですか?【※】

「Nezha」テンノ:
どうして『Warframe』が好きかって?まず、ストーリー、音楽、アートスタイルだね。
それにゲームプレイも含めて長年人々を惹きつけてきたんだと思う。それが今でも活きているよ。
これがほかのゲームだとシステムそのものが古くなってしまったり、コミュニティが死んでしまうんだ。でも『Warframe』はそうならなかったね。
※「Nezha」
少年タイプのWarframe。スライディングする際の“すべり力”が尋常ではなく、走るよりすべった方が速い場合がある。通過した地面に炎のダメージフィールドを生成する特殊能力を持つ。また、炎のリングを召喚したり、地面から突き出した槍で敵を攻撃する必殺技を有している。
キャップのテンノ:
(隣の)彼も言っていたけど、私が特に言いたいのは「無料で遊べる」ということだよ。『Warframe』は、誰でも簡単にはじめられるからね!
それでいて、ゲーム内にはたくさんのコンテンツがあって、しかも質が高いの。シンプルに楽しいし、いろんな武器がたくさんあるし、常にあたらしいものを出し続けているわ。
──確かに更新しつづけていますね。
キャップのテンノ:
そう!確かなのは、『Warframe』が常に進化し続けるゲームだってこと!
それが、今も長く遊ばれていることにつながっているのだと思うの。
──『Warframe』の運営についてはどうでしょうか?
キャップのテンノ:
そうね。DEの開発者は『Warframe』のコミュニティを本当に大事にしてくれるわ。
コミュニティに自分たちの熱量を届けるために、常にあたらしいコンテンツを追加してくれるの。
ときには、コミュニティの描いたファンアートを称えてくれることもあるの。
現代のゲームのなかでも、コミュニティのサポートが最高だと思う。
──ありがとうございました。
現地のテンノたちに話を伺ったところ、口を揃え「無料で最強になれる」、「頻繁なアップデート」、「DEはコミュニティを大事にしている」といった意見が多数出てきた。
奇しくも、テンノたちの言葉はこのあと聞くことになる開発陣の思いと重なることとなる。
コスプレ会場でまさかのプロポーズ。これが「テンノ婚」
「TennoCon 2026」では『Warframe』やDEの新作『Soulframe』のコスプレイベントも開催されていた。4000人以上のファンが注目する本イベントには、プロのコスプレイヤーも参加する。
次々と登場するWarframeのコスプレイヤーは、ランウェイ形式で手作り衣装を披露した。
ゲームの踊りを完全再現した「Yareli Prime」、巷のファッションフレームで一躍人気となった「Gauss Moto」スキンと「Grendel Turbis」スキンのコスプレイヤーも登場し、会場は爆上がり。
クオリティの高いコスプレ衣装に会場は拍手喝采。しかし、全員が出そろったあと、ステージが唐突にロマンティックな雰囲気になった。
そこに、ひとりのコスプレイヤーに真剣な眼差しで語りかける男性が現れたのだ。
彼は4000人以上のテンノに囲まれながらも、こう語っていた。
「君と一緒にゲームを思いっきり楽しむことが、僕にとって一番楽しい瞬間なんだ。
君がいれば、毎日を楽しく過ごしたり、未来を思い描くことができる。
君と一緒にいると、僕はより良い人間になろうと努力できるんだ。
そして、君もそうしてくれているのが分かるんだよ。」
なんと、プロポーズである。
これが本当の「テンノ婚」だというのか。【※】
震える指に指輪をはめる男性。この反応を見るに、コスプレイヤーの女性も事前に知らされずにサプライズで告白されたのだろうと思う。
後にDEのメインスタッフに話を聞いたところ、この“テンノ婚”はわりと毎年恒例の行事らしく、事前にスタッフにも知らされずに行われているとのこと。
会場は祝福の空気で満ち溢れていた。
なお、奇しくも告白されたコスプレイヤーは事前に会場で撮影させてもらった方だった。お幸せに、テンノ。
ちなみに、コスプレ大会で最優秀賞を獲得したのは「Lotus」のコスプレイヤーであるelle.pyneさんだ。優勝者には1万カナダドル(記事執筆時点で、日本円にして約115万円)が贈呈された。

なお、会場では『Warframe』や開発元が同じゲーム『Soulframe』の楽曲をフルオーケストラ演奏で視聴できるライブイベントも開催されていた。
和太鼓や『Warframe』をテーマにした壮大なダンスも披露され、会場の熱は最高潮に達した。コンサート映像はYouTubeにフルで公開されている。
次のページからは、開発陣へのインタビューをお届けする。『Warframe』の新章「Tau」のボリューム感や、どのようにしてWarframeを思いついているのか聞いてみたので、気になった方はぜひ読んでみてほしい。































