つづいて、Digital Extremes(以下、DE)の手がける新作ファンタジー・アクションRPG『Soulframe』について。DEの現社長、シェルドン・カーター氏(以下、カーター氏)に話を伺った。
『Soulframe』は、謎の勢力により汚染される自然環境やどうぶつたちを解放する“使者”となり、ときに巨大な狼と共闘することもあるオンライン協力プレイに対応したアクションゲームだ。記事執筆時点ではテスト版が限定的に配信されている。
特筆すべきは、妊婦のキャラクターメイキングからスタートし、その子どもが主人公となるユニークなオープニングシーンだ。
今回は、『Soulframe』がなぜ母親のキャラメイクからはじまるのかと、TennoLiveで披露された本作のあらたなストーリークエスト「戦の歌(War Songs)」を中心に、その世界設定とこれからのビジョンについてカーター氏に伺った。

新作『Soulframe』は“母”をめぐる物語
──まずお聞きしたいのは、本作で何を描こうとしているのかです。冒頭で「主人公の母親」のキャラメイクを行うシーンがありますが、これにはどのような意図があったのでしょうか。
カーター氏:
これにはふたつの意味があります。ひとつは、「それを試してみたかった」ということです。
『Soulframe』には「先祖」という意味が込められています。ですので、母親を基に自分がどうであるかを選ぶという形式は、私たちにとって非常に重要な意味を持っています。
そしてもうひとつは、今回披露した「戦の歌(War Songs)」の映像につながってくる部分です。
──と言いますと。
カーター氏:
デモをプレイすると、使者(プレイヤー)の母親がこの物語の主要なキャラクターであるという事実を体感してもらえます。
プレイヤーは使者と侵略者の戦いに関して、母親がいかに重要だったかを目の当たりにすることになるでしょう。
というのも、私は「終わりを見据えてはじめる」ことがとても好きなんです。早い段階で、母親とプレイヤーを結びつけておいて、「戦の歌」でそれを回収する。今回はそういう仕掛けになっています。
新章「戦の歌」では闇堕ちも可能に?
──次に、本作の世界設定とテーマについてお聞きします。『Soulframe』は外部勢力「オード」に汚染された自然を取り戻していく物語が展開されますが、スピード感のある戦闘が中心の『Warframe』に対し、『Soulframe』はゆっくりしている印象です。これは、意図しているものなのでしょうか。
カーター氏:
いい質問ですね。ある意味では、そのとおりです。
『Soulframe』は時間をかけてじっくりプレイするゲームとして設計しました。プレイヤーは汚染された世界を見渡し、自分の力をすこしずつ育てながら取り戻していくことになるでしょう。
また、どうぶつを救い出すことはできますが、けっして捕獲するわけではありません。そういう点が私たちは気に入っています。彼らと共に、力を育てていく感覚ですね。
──汚染された自然環境を解放しながら、囚われたどうぶつたちを救い出すプレイフィールはテスト版の初期から実装されていましたね。
カーター氏:
はい。だからこそ、今年の「TennoCon」で披露した内容はその「逆パターン」を示しました。今度はプレイヤー自身が汚染されてしまい、最終的に動物たちに救われるという展開になっています。
──いわゆる“闇堕ち”してでも敵に立ち向かうダークヒーローのような存在にもなれる、ということですか。
カーター氏:
正確には穢れを力に変えて敵に立ち向かう、というニュアンスですね。これは、これまで積み上げてきたストーリーが回収されるものになっていると感じています。
これまで配信されていた「プレリュード」をプレイしてきた人であれば、この時点で「自然環境を救う」という関係性をどうぶつたちと築いているはずです。それを、「戦の歌」では、逆転させています。
『Warframe』とは正反対のゲーム
カーター氏:
それでは、さきほどの質問にお答えしましょう。『Warframe』はスピード感があり、弾丸のように跳び回って敵を倒しまくるゲームです。
対して『Soulframe』は意図的にゆっくりとしたペースにしています。そうすることで、いま言ったような衝撃を、より強く与えられるようにしているんです。
──スピード感に慣れた『Warframe』のプレイヤーは、この異なるペースを、どう受け止めると思いますか。
カーター氏:
異なる体験を得ることになると思います。『Warframe』の客層と『Soulframe』の客層が違うのだと感じています。
もちろん、私たちのライブサービスの運営方法やコミュニティとの関わり方が好きだというファンのクロスオーバーはあると思います。
そうした人たちは、両方プレイしてくれるでしょう。ただ、それ以外は一般的に言えば、まったく異なるタイプのプレイヤーだと思います。
──そもそも違った客層を目指して制作されていたのですね。
カーター氏
そうですね。フォーラムやチャットを見ていても、分かるんです。
『Warframe』プレイヤーが入ってきて、「ここでも、バレットジャンプができればいいのに」と言います。
一方で、『Soulframe』プレイヤーは、「いや、いや、DEを信じてくれ」という感じですね(笑)。
──どちらの気持ちもわかる気がします。
カーター氏:
まあ、今回のイベントで狼に乗れる「マウント」システムを発表しましたが、すこし速く移動できるようにはなります。
ただ、これは特定の進行スタイルやコミュニティとの関わり方が好きな人でない限り、まったく別のものにアピールしていると思います。
実際、登録者の状況からもそれが分かるんです。同じメールアドレスを使っている人が多いので、『Warframe』からの登録なのか、まったくの新規なのかが、だいたい分かるようになっています。100%正確とは言えませんが、私たちにできる最善の判別方法です。
──割合的にはどのようになりましたか?
カーター氏:
そうですね、『Soulframe』のプレイヤーの多くは新規ユーザーです。
ファンタジーゲームが好きで、自然の回復というテーマに、本当に興味を持ってくれている人たちがいる。そう感じています。
その地に生きる祖先から学ぶ“継承の物語”。自然の回復を描く
──お応えできる範囲で教えていただきたいのですが、初期の『Warframe』と同じく本作は謎に満ちている部分が多いです。将来的に『Soulframe』は、プレイヤーにどのような体験を与えたいと思っていますか?
カーター氏:
これは……大きな質問ですね。
「自然を取り戻す」という全体的なテーマは、私たちがやっていることの根幹です。でも、それだけではない。自分の、この世界における「居場所」を見つけること。そして、自分より前に生きてきた人々が、どのようにその居場所へと導いてくれるか。そういう“継承の物語”でもあるのです。
その地に生きていた祖先がいて、旅のなかで祖先について学んでいく。そういう物語が込められています。
カーター氏:
そしてもうひとつ、オードを排除する物語があります。オードが何をしているのか、なぜここにいるのか、どうやって排除するのか。その旅が、どのようなものなのか。
主人公が、それとどう関係しているのか。母親がどのように影響を受けたか……という形で、そのはじまりの一部はお見せしています。
ですが、まだ、主人公とオードとの繋がりや、なぜオードがここにいるのか、なぜ「使者」を求めているのか、という部分には触れていません。
──たしかに、現段階では未だ謎の多いストーリーになっています。
カーター氏:
デモのなかでは“星と彗星”について触れていますが……それが、オードのしていることと、どう関係しているのか。大きな謎が、提示されていると思います。
その答えに関してすべてをお伝えすることはできませんが……この旅が、「先祖たちの魂」と「自然の回復」の物語である、ということは言えます。
『Soulframe』で行える個性の表現は“鎧と武器”で
──つぎはシステムに関する質問を。『Soulframe』も『Warframe』と同様に最初は3つのスタイル(パクト)から選ぶ形式でしたが、これは「パクト=Warframe」のような考え方に近いのでしょうか。
カーター氏:
はい、それは間違いなく主要な要素のひとつとなるでしょう。
パクトは、どうぶつから得られるものもあれば、祖先から得られるものもあります。それらのストーリーに参加することで、パクトを得る。ですので、それが、ゲームのより多くの物語を語っていく手段になっていくでしょう。
ただ、それはあくまで一要素で、ほかの種類のクエストなど、別の側面も使っていくつもりです。もうひとつ付け加えるなら、祖先たちはそれぞれ独立した存在で、それぞれが積み上げていく、独自の物語を持っています。
──つぎに個性について、『Warframe』ではプレイヤーは「ファッションフレーム」やプレイスタイルで自己表現ができますが、『Soulframe』では自己表現は、どういう形で行えるようになるでしょうか。
カーター氏:
コスメティックの方向に、より近くなると思います。
いまでもコミュニティがさまざまな鎧のスタイルを組み合わせてカスタマイズしているのを見ると、あなたの言う個性の表現に対する関心はかなり高いと感じています。
付け加えるなら、武器の一部や刻印を最終的にカスタマイズできるようにする仕組みですね。これは、プレイヤー独自のプレイスタイルの表現になると考えています。『Warframe』にはない要素です。
──使用できる武器は弓矢や剣など、中世ファンタジー風のものが多いようですね。
カーター氏:
『Warframe』では自分の武器をMODで改造することはできますが、MODが付いた状態の武器を他人に譲渡することはできません。
一方で、『Soulframe』では自分の思い通りの武器を作ることができ、そこには自分の刻印が入る。それを見つけたのが誰かが分かるようになるんです。
そして、それを他の誰かに譲渡することもできる。これは、また別の表現となるでしょうね。
狼に乗るためには、子犬から絆を育むことに
──次はマウントシステムについて。狼や黒い馬に乗れることがあらたに判明しましたが、今後はさらにマウントを追加していく予定はありますか。
カーター氏:
いい質問ですね。マウントについては、時間をかけたいと思っています。導入自体も、じっくりと時間をかけてきました。
というのも、ゲームのなかで、まず狼との絆を築いてほしいのです。特定のクエストをクリアすると小さな子犬をもらえます。それを、自分のマウントになるまで、育てていく。その絆を築くことが、プレイヤーの旅の、最初の段階の根幹にある、と思っています。
カーター氏:
とはいえ、マウントシステムが整えば、当然、ゲーム内のほかのものにも、乗れるようになる可能性があります。
デモでお見せしようとしたのは、その一例です。「メンディカント・レインブレイカー」というライダーがいて、彼を落馬させればしばらくの間、その馬を奪うことができます。
マウントシステムの可能性の幅は、非常に大きいと思っています。ただ、私たちの考え方としては、まず小さくはじめたいと考えています。幅広いラインナップを見せる前に、まずは自分のマウントとの絆を深めていただくところからはじめたいと思っています。
戦いのない、「居心地のいい」システムを実装したい
──つぎは釣りシステムについて。「釣り」のような平和なアクティビティに関して、今後はオードから救った村を解放していく、といった要素も期待できるのでしょうか。
カーター氏:
そうですね。私たちのこのゲームに対するビジョンには、いわゆる「MMOライト」な感覚があります。
クランを持ちたい、ソーシャルなシステムを持ちたい、釣りをしたい……そのほかにも、プレイヤーが行えるアクティビティを実装したいと思っています。
いい考え方としては、「戦闘とはまったく関係のないシステム」に足を踏み入れているということ。むしろ、居心地のいいシステムと言えると思います。
そういう内容を取り入れたいですね。なぜなら、取り戻した世界は常に脅威にさらされ続けているべきではありませんから。
──ということは、いずれはハウジングなどの生活要素にも期待してよろしいのでしょうか。
カーター氏:
それをどう実現するかは、まだ決まっていませんが……戦闘とは関係のないシステムは、私たちが進んでいる次のステップだと思っています。
──最後に、日本のプレイヤーに向けて、『Soulframe』、そして『Warframe』について、ひとことお願いします。
カーター氏:
はい。『Soulframe』で日本のプレイヤーのみなさまとちいさな足がかりを持てていることを、本当に嬉しく思っています。確実にコミュニティがあり、それは大変素晴らしいことです。
そして『Warframe』では、さらに大きなコミュニティがあり、それが成長し続けています。それも、とても嬉しく思っています。TennoLiveやデモでご覧いただいた内容を気に入っていただけたのであれば、私たちと同じように楽しみにしていただければと思います。
──ありがとうございました。
実際に『Warframe』の開発国であるカナダのファンイベントに訪れてみると、その言葉はありとあらゆる国々のテンノたちも含め日本のテンノたちと共通の認識と愛をもっていたように感じられた。冒頭でも書いたが、もはや社会現象である。
13年前に本作がリリースされたときには、再販しないと明言された「Excalibur Prime」のスキンを持つテンノが嫉妬羨望の眼差しで見られるようになるとは想像もしていなかった。
この13年間を振り返ってみれば、私を含むプレイヤー=テンノたちの歩みは地道で泥臭く、いつか花開く日を夢見て修練を積み重ねるという、まさに日本古代の戦士の修行めいたものであったように思える。
それは開発陣も同じで、幾多もの失敗や反省を繰り返しながらもより良いコンテンツをユーザーに届けようとする真摯な姿勢がコミュニティに伝わり、熱意がイベントに反映されたのかもしれない。
この記事をここまで読んでくださった方に声を大にして伝えたいのだが、『Warframe』は現地のテンノが言っていたように「圧倒的に強い存在になれる」タイトルだし、「弾丸のように飛び回って壊しまくれる爽快なアクションゲーム」だ。
特筆すべきは、自身の使用するWarframeの見た目や能力、武器も含めてカスタマイズできるという点だ。
自分の好きな見た目の強化外骨格を使って宇宙を自在に飛び回り、みんなに披露しながら事件や問題を解決するヒーローとなる……。本作の楽しみかたは千差万別だが、筆者は本作の面白さはここにあると思っている。
一方、ストーリーの面で言うと主人公が輝くタイミングは従来の作品と比較してもかなり遅めだ。長い旅路、修行の先にようやく待ち受ける激熱展開から「エピソード1」がはじまると言っていい。
最初は、地道な修行がつづくかもしれない。だが、その先には宇宙を縦横無尽に駆け、敵を薙ぎ払う爽快感が待っている。しかも主人公は”あなた”自身だ。
ひとりでも、親切なテンノと組んでも、その物語は続いていく。ときに師弟関係を結んでも面白い。

そして、開発者に想いを伝えたくなったら、ぜひカナダで毎年開催されている「TennoCon」に参加してみてほしい。世界中のテンノに囲まれて、唯一無二の体験をできるはずだ。
そして、あらたにはじまる『Soulframe』の物語にも要注目だ。筆者はつぎは後悔しないよう、限定アイテムは先んじて購入しておくことにした。
『Warframe』はPC、PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch、モバイル(iOS、Android)に向けて無料で配信中だ。2026年内には、これまでのなかで最大規模のアップデート「Tau」の実装も控えている。


















