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ローカライズとは言葉の壁を超えて、クリエイターの想いや作品に込められた願いを海の向こうのユーザーに忠実に届けること──クラウディッドレパードエンタテインメント代表インタビュー

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アジアでのマーケティングの存在感が拡大。一念発起して独立することに

──ご自身で会社を立ち上げるにあたり、何かきっかけがあったのでしょうか?

陳氏:
長らくSCEでローカライズを担当し、アジアのユーザーに認められ、マーケットとして成り立つようになりました。当時のプレイステーションは中国語版・韓国語版のソフトが数多く発売されていたので、アジアのゲーマーのうち、約9割をプレイステーションユーザーが占めていたんです。

ほどなくしてほかのプラットフォーマーやソフトメーカーも中国語版、韓国語版のソフトを発売する重要性に気づき、アジア圏へ正式参入していきました。当時、「ほかのプラットフォームでも中国語版のソフトを出したい」という相談がソフトメーカーから来ていたのですが、SCEに所属していたので協力ができなかったんです

アジアでのゲーム市場の存在感が増していったタイミングでしたので、プレイステーションだけではなくマルチプラットフォームで展開できるなら、コンテンツはさらに発展できるのではないかと考え、一念発起してSCEを退職し、クラウディッドレパードエンタテインメントを設立しました。それが7年前、2019年8月のことです。

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──設立当初から日本ファルコムさんのタイトルをローカライズ展開されていたことに驚いた記憶があります。どういった経緯で日本ファルコムタイトルを担当されることになったのでしょうか。

陳氏:
SCEにいたときもそうですが、コンテンツに対してもパートナーの皆様に対しても、妥協しないこと、誠実さと情熱をずっと持ち続けたいと思っています。ファルコム様に関しては、一昨年ご逝去された加藤正幸前会長と近藤季洋社長に評価していただいて、さまざまなタイトルを任せていただくことができました。

──アジアや中国でもファルコムさんのタイトルは人気が高いですよね。

陳氏:
たいへんな人気になっており、自分のことのようによろこんでいます。自分もゲームユーザーのひとりなので、「ユーザーにとって何がよろこんでいただけるか」、「何をすればもっと楽しんでもらえるのか」ばかりを考えていました。

ローカライズだけではなくマーケティングにおいても何ができるかを考え、最適な付加価値を創造したり、コンテンツの価値を毀損せずに展開するにはどうすればいいのかを考え抜きました。

そこは一切妥協したくないところで、そういった想いがあるからこそ、ファルコム様はじめ、多くのパートナー様と信頼関係を築くことができたんです。そこが私にとって、そして弊社にとって最大の強みだと思っています。

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(画像は『英雄伝説 閃の軌跡 I:改 -Thors Military Academy 1204-』Steamページより)

──クラウディッドレパードエンタテインメントのローカライズ展開からはコンシューマーへのこだわりを感じます。

陳氏:
コンシューマーに対する愛が強いのは間違いないのですが、自分はずっとプレイステーションに育てられてきた人間です。弊社に在籍しているメンバーも、同じようにプレイステーションや日本のゲームメーカーに長年在籍したベテランのメンバーが多いんです。

私たちの蓄積してきたノウハウや経験をとくに活かせるのはコンシューマーですから、Nintendo SwitchやSteamなども含めたコンシューマーで何を発揮できるかということをいちばん考えていて、その結果ですね。

──会社立ち上げから現在までで、とくに印象に残っている展開やタイトルを教えてください。

陳氏:
設立初期で印象に残っているのは、やはりファルコム様の『英雄伝説 創の軌跡』です。それまで海外版は日本国内との同時発売ができていなかったんですね。

『創の軌跡』は、どうしても「日本と同時発売」を実現したかったんです。近藤社長に「ぜひチャレンジさせてください」と相談させていただき、同時発売を発表したときには、台湾、韓国、中国などアジアのユーザーからたいへんよろこんでいただけました。おかげさまで、ファルコム様タイトルのアジア版は弊社が担当する、というイメージを作ることもできました。

最近の実績ですと、最初にお話させていただいた『Back to the Dawn』です。インディータイトルをコンシューマーに展開したとき、どのようにサポートすればいいのか。その答えのひとつが提示できたと思っています。

自分は絵も描けませんし、シナリオもプログラムも作れません。だから皆様と違う角度でコンテンツの価値をどのように最大限に広げていくかということを考えています。そういった点を『Back to the Dawn』では実現できましたので、今後も引き続き注力していきたいと考えています。

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『Back to the Dawn』

中堅規模で翻訳・QA・マーケ・映像まで全チームを内製

──「世界同時発売」と言葉で言うのは簡単ですが、実際には相当な労力が必要ですよね? 失礼な言い方になるかもしれませんが、決して大きな会社ではないクラウディッドレパードエンタテインメントさんが、なぜ「世界同時発売」を実現できているのでしょうか?

陳氏:
おっしゃるとおり、たいへんではありますが、CLEには、過去にいっしょにローカライズやパブリッシングを手がけてきたメンバーが多く在籍していることが大きいです。彼らの力には本当に助けられています。優秀なメンバーに支えられながら、楽しみつつ毎日チャレンジしています。

──日本に拠点を置く会社の強みといいますか、日本の会社だからこそ、円滑にローカライズができたのでしょうか?

陳氏:
時差がないことが、日本のメーカー様にとってやりやすいという評価もいただいております。ただ私たちは『Back to the Dawn』のように、中国発のタイトルはもちろん、欧米発のタイトルを日本とアジアに展開することも考えています。

そういったルートをすべてハンドリングできるメンバーがいることもクラウディッドレパードエンタテインメントの強みです。弊社のような中堅規模でありながら、社内にローカライズチーム、QAチーム、マーケティングチーム、映像制作チームのすべてを持っている会社は、おそらく世界的に見てもそうはないんですよね。

通常、セカンド、サードパーティーのタイトル、ライセンスアウトタイトルをパブリッシングする場合は、ひとりかふたりほどのローカライズ担当ディレクター、マーケティング担当者がいて、あとは外注することが多いんです。

でも、弊社は各担当にそれぞれの言語ができるスタッフが揃っていますから、大きな仕様変更があってもスムーズかつ迅速に対応できる。そういった体制を整えています。

──現在のゲーム業界で求められているローカライズというのは、どういったものなのかをお聞かせいただけますか。

陳氏:
わかりやすく言うと「より早く」、「クオリティが高く」、「多言語で」ということですね。10年前までは、日本語や英語、欧州言語でした。だんだんと中国語、韓国語、アジア言語と増えていき、現在はタイ語、ポルトガル語など、ローカライズを求められる言語は20を超えています。また、繰り返しとなりますが、どの言語でも同時発売をユーザーから求められているんです。

開発途中でテキストが修正されたとしても迅速に対応可能で、かつ正しく翻訳表現ができる高いクオリティを有していないと、満足いただけない状況となっています。ローカライズ業務は本当に多岐にわたっていて、ただ翻訳するだけではなく、多方面に配慮する必要があるんです。

──御社はローカライズのほかパブリッシングも行っていますし、パッケージ版も取り扱っています。多面的な展開が特徴としてあると思うのですが、どのような狙いがあるのでしょうか。

陳氏:
私自身がそうなのですが、ゲームファンはパッケージ版が大好きですよね(笑)。モノを実際に手にして、自分のコレクションとして残したいという方は世界中にたくさんいらっしゃいます。

そういった人たちのために、できるだけパッケージ版を発売したいですし、よろこんでいただけるものを限定版として作って楽しんでいただきたいと考えています。

『軌跡』シリーズや『Back to the Dawn』、『シティーハンター COLLECTOR’S EDITION』『スーパーボンバーマン コレクション 日本限定版』なども、どこまで妥協のないクオリティを私たちが実現できるかを貫きました。この点はパッケージ版を作るときにとても大事にしているところです。

もちろん、ダウンロード版ならではの便利さも理解していますので、ダウンロード版を否定するつもりはありませんが、パッケージ版を欲しい方がいらっしゃる限り、私たちはパッケージ版をずっと出し続けたいと思っています。

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『スーパーボンバーマン コレクション 日本限定版』

十二支テーマの新作ローグライク『13Z -十三座戦記-』を初公開

──なるほど。これからも海外のデベロッパー作品を日本、アジアで独自にパブリッシュしていくのでしょうか。

陳氏:
すでに何タイトルか準備をしています。せっかくの機会ですので、まだ発表前のタイトルなのですが、今期CLEが注力する1本をご紹介させてください。『13Z -十三座戦記-』という十二支をテーマにしたローグライクタイトルです。

日本の方も馴染みのある干支の動物をモチーフとしており、独特のアートワークが特徴です。最大で4人同時にオンラインプレイできますので、いままでのローグライクにはあまりなかった協力プレイが楽しめます。日本をはじめ全世界のユーザーに楽しんでいただきたいですね。

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『13Z -十三座戦記-』

──スクープ情報をありがとうございます! 『13Z -十三座戦記-』も陳さんが目利きをして選ばれたタイトルなのでしょうか?

陳氏:
そうですね。動物を模したキャラクターのアクションも特徴的なタイトルなんです。たとえば、主人公のひとりにキツネの女の子がいるのですが、変身して猛スピードでフィールドを走り回ったり、瞬間的に動いて敵に攻撃できたりします。一方で、パンダを選ぶと一撃で敵を倒せるくらいパワフルになったり。

キャラクターによって戦い方がまったく異なり、攻略方法が大きく変わるところが魅力的だと思いました。そのうえで友だち4人といっしょに遊べるというのはなかなかないと思います。挑戦を重ねて強くなる神話アクションローグライクに仕上がっていますので、ぜひコンシューマーのユーザーの皆さんにも楽しんでいただきたいです。

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『13Z -十三座戦記-』

──ビジュアルや色味もとても独特ですよね。

陳氏:
オリエンタル風な世界観も取り入れた独特な感覚で制作されていて、この個性的で印象深いデザインは、本作の大きな魅力のひとつになっていると思います。

また、『Back to the Dawn』と同様に、今回も弊社で日本語ボイスを収録させていただきます。

──キャラクター数が多いと思いますので、収録はたいへんそうですね。

陳氏:
十二支と戦っていくというストーリー設定ですので、少なくとも12人のキャラクターがいますからね(笑)。「キャラごとの個性をボイスでどう表現するか」は、現在調整しているところで、ものすごくたいへんではあります。

──『Back to the Dawn』もそうでしたが、『13Z -十三座戦記- 』も「ケモノの擬人化」的なタイトルですよね。「クラウディッドレパードエンタテインメントはケモノ好きなのでは?」と思われそうだなと(笑)。

陳氏:
社内のスタッフにまさにそう言われました(笑)。『13Z -十三座戦記- 』を手がけることを社内で知らせたときに、みんな口を揃えて「会社名も動物だし、扱うタイトルも動物だ」と(笑)。本当にたまたまなんですけどね(笑)。

──(笑)。最後にクラウディッドレパードエンタテインメントさんの今後の抱負、戦略などをお聞かせください。

陳氏:
『Back to the Dawn』をはじめ、すでに発表している『Wandering Sword』、そして先ほどお話した『13Z -十三座戦記-』は、アジアだけではなく日本のユーザーはもちろん、全世界のユーザーに対して、私たちから新しい形を提示し、深くゲームを楽しんでいただきたいと思っています。

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『Wandering Sword』

今後、タイトルはいくつか用意しているのですが、まずオススメしたいのは『13Z -十三座戦記-』です。これから新情報を順次発表していきますので、期待していてください。

ゲームの楽しさをさらに多くの人たちに伝えていければと考えていますので、「どうすればよりよくなるのか」というご意見など、皆さんからの声も届けていただけるとうれしいです。今後とも応援をよろしくお願いいたします。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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