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『サユリ』押切蓮介氏キャラデザのホラーゲーム『ノロイあやし』では、女子高生が怪異に殺されまくる。押切先生のファンでもある『ディスガイア』新川宗平氏が「先生に恥はかかせられない」と全力で取り組む開発の舞台裏を聞いた【TGS2026】

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『ハイスコアガール』『サユリ』などで知られる漫画家・押切蓮介氏と、元日本一ソフトウェア代表で『魔界戦記ディスガイア』シリーズのシナリオ・プロデュースを手がけてきた新川宗平氏

そんな異色のタッグによるホラーゲーム『ノロイあやし』は、発表されるやいなや、SNSで爆発的な反響を呼んだ。

とはいえ、本作はまだ発表されたばかり。とにかく面白そうではあるが、「いったいどんなゲームなのか」をつかみきれていない方も、決して少なくないだろう。

わかっているのは、俯瞰かつ立体的な、いわゆるアイソメトリックな視点と、ピクセルアートを採用したビジュアル。友人の不可解な死の真相を追う高校生・セイラが、「七不思議」と「呪殺人形アヤ」の都市伝説が残る学校「U校」で禁断の儀式に手を染め、終わらないタイムループに囚われること。

ジャンル名は「タイムループホラーRTAステルスアクションアドベンチャー」(!?)と、かなり過積載ぎみな命名がなされており、それだけではまだ全貌が掴めない。

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(画像は《ノロイあやし》公開PV | GSE – YouTubeより)

このたび、本作をプロデュースする新川宗平氏にインタビューする機会を得た電ファミ編集部は、本作の実態について、直接質問をぶつけさせていただいた。

実際に話を聞いてみて感じたのは、新川氏のホラー愛、そして「ホラー漫画家」でありゲーマーでもある押切蓮介氏への熱烈なリスペクトだった。

ホラーゲーム『ノロイあやし』新川宗平氏インタビュー:押切蓮介氏がキャラクターデザインを担当_002
(画像は《ノロイあやし》公開PV | GSE – YouTubeより)

なによりもまず「人間はお化けに勝てない」という思想を踏まえて組み上げられた本作のゲームデザインは、「何度も死ぬけど、死ぬたびに攻略が速くなる」構造を持ち、「30通り以上の女子高生の死に様」という異常な目標まで据えて開発が進んでいるそうだ。

『ノロイあやし』とはそもそもどんなゲームで、どんなホラーを目指しているのか。押切蓮介氏に「即答」で依頼を引き受けてもらえたという企画の中身を、新川氏に聞いた。

聞き手・文/TsushimaHiro
編集/うきゅう


新川氏にとって、ホラーは“ライフワーク”3本柱のひとつ。「『ノロイあやし』を作るのは必然だった」

──元日本一ソフトウェアの代表であり、『魔界戦記ディスガイア』シリーズのシナリオやプロデュースなどを手がけてきた新川さんが、今回ホラーアドベンチャーゲームの作品を作ることとなった経緯を教えてください。

新川宗平氏(以下、新川氏):
昔から、ホラーゲームを作ろうという思いはありました。実際、日本一ソフトウェア時代にもホラーゲームを何本か手掛けています。

私には、ライフワークとして考えているジャンルが3つあります。それが「ファンタジー」「ダークコメディ」そして「ホラー」なんです。

4年前に独立し、ファンタジーとしては3月に『エトランジュオーヴァーロード』を発売し、10月22日に発売する『デモンズナイトフィーバー』がダークコメディにあたります。そして、三つ目のライフワークとして取り組みたいと思っていたホラーが、本作『ノロイあやし』です。

ですから、私にとってホラーゲームを作ることは必然的なことでした。『エトランジュオーヴァーロード』や『デモンズナイトフィーバー』を書き終えた流れのまま、すでに制作する前提で企画や脚本を書き始めていました。

──ホラーを作りたいという思いは、昔からあったんですね。

新川氏:
そうですね。ホラーだけでも企画のストックはいくつかありまして、そのうちのひとつとして、この『ノロイあやし』という作品を考えていました。

──本作の発表時には、実際にすさまじい反響を呼んでいました。

新川氏:
私もとても驚きました。発表時には凄まじい反響がありまして、本当にありがたい話ですね。

まず押切蓮介先生が携わっているという点が、ひとつ大きなフックになったのかなと感じています。

また、本作のピクセルアートが醸し出す雰囲気が、ビジュアルとしてもヒキがあり、このふたつが大きな反響を呼んだのだと考えています。

──また、シナリオに関してはご自身のXで「シナリオは90%もうできている」と仰られていたことも印象的でした。

新川氏:
実は、物語の筋自体はすでに完成しているんです。

ではなぜ「シナリオは90%」と表現したのかというと、現在、ゲームを1本道ではなく複数の攻略法がある設計にすべく調整しているからです。そうした仕様に関係するテキストを付け足す必要があるため、シナリオも10%が残っているかたちとなっています。

押切蓮介氏のファンとして、交流を重ねた上での熱烈オファー。その甲斐あって即答で決まるも「先生に恥をかかせるわけにはいかない」とプレッシャーも大

──どのような経緯で押切先生が『ノロイあやし』に携わることとなったのでしょうか。

新川氏:
本作は、もともと私の方で企画コンセプトやシナリオなどをおおむね完成させており、そのうえで「どなたにキャラクターデザインをお願いするのが一番良いのか」を考えました。

そのときに思い浮かんだのが、大ファンである押切蓮介先生だったんです。

押切先生と言えば『ハイスコアガール』なども印象的ですが、私はどちらかというと「ホラー漫画家」というイメージが強く、『ミスミソウ』『サユリ』『ゆうやみ特攻隊』などが大好きです。

なので、「ぜひ押切先生と一回仕事をしたい」と強く思い、お願いすることを決めました。

──押切蓮介氏のホラー作品が大好きだからこそ『ノロイあやし』にお誘いしたと。

新川氏:
ただ、押切先生とは面識がなかったので、ゲームセンターミカドの店長にご紹介いただき、ご縁をいただきました。

それをきっかけに交流させていただくなかで「こういう企画があるんだけど、キャラクターデザインをお願いできませんか」とご相談をさせていただいたんです。

──しっかりと信頼関係を築いたうえで、押切先生へ相談を持ちかけたんですね。どのようなお返事が返ってきたのでしょうか。

新川氏:
押切先生は即答で、迷うことなく引き受けてくださいました。

実は押切先生は『夕闇通り探検隊』をお好きだと公言されているんです。そうした押切先生のご趣味と、本作のテイストがマッチしたことも、先生の即答を引き出せた要因かもしれません。

──ちなみに、押切蓮介氏は、本作では主にどのような要素を担当されているのでしょうか。

新川氏:
押切先生の役割は、キャラクターデザインがメインになります。

すでにストーリーなどを作成した状態でオファーしたので、内容をすごくご理解くださったうえで、キャラクターデザインをしていただくことができました。

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(画像は《ノロイあやし》公開PV | GSE – YouTubeより)

──そんな押切先生がデザインされた主人公は、女子高生という設定です。どういった経緯で本作の主人公像は決定したのでしょうか。

新川氏:
まず、押切先生に絵をお願いする以上、押切先生が描く女の子のイメージがあったので、主人公は女の子であるべきだと考えていました。

あとは、私のホラーゲームの原体験が、初代プレイステーションから1996年に発売された『トワイライトシンドローム』であることも影響しています。

──と、いいますと?

新川氏:
『トワイライトシンドローム』は、学校怪談を扱った作品で、主人公は女子高生たちですよね。

私の原体験であるホラーゲームからの影響と、押切先生が描く魅力的な女の子のイメージ。この2点を理由に、主人公を女子高生にしました。だからこそ、主人公が女子高生であることには、一切の迷いがなかったです。

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(画像は《ノロイあやし》公開PV | GSE – YouTubeより)

──キャラクターデザイン以外にも押切蓮介氏が携わられるご予定はあるのでしょうか。

新川氏:
世界設定やシナリオはすでに私の方で作成してしまっているのですが、「ゲームとして面白いか」「この部分は調整した方が良いのではないか」といった、ゲームマニアとしての押切先生から、ぜひご意見を頂きたいと考えています。

まだ開発状況としては40~50%の進捗ですが、もう少し開発が進めば、押切先生にテストプレイなどもしていただき「一緒に本作を作った」と感じていただけるように、押切先生の感性を取り入れていきたいです。

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(画像は『ノロイあやし』Steamストアページより)

一方で、本作の発表時には「押切先生が携わっている」ことに対する反応が非常に多かったため、我々としてはすごいプレッシャーを感じています。私も一ファンとして、押切先生に恥をかかせるわけにはいかないですから。

だからこそ、押切先生にちゃんと本作を見ていただいて「押切先生が納得したものを皆さんに届けねば」という使命感に、今まさに燃えているところです。

主人公は何度も死ぬ。だって「人間はお化けに勝てない」から。学校の七不思議から「逃げる」「封印する」タイムループホラーRTAステルスアクションアドベンチャー

──本作のゲームシステムはどのようなものになるのでしょうか。

新川氏:
ひとつは学校の中のフィールド上を歩きながら、さまざまな謎を探して解くこと。もうひとつは、作中に登場する「学校の七不思議」のような怪異から逃げたり、回避したり、はたまた封印することがゲームプレイの中心となっています。

──正面から立ち向かうというよりは、対策を立てて、本当に「学校の七不思議」的な対応をしていくということですね。

新川氏:
そうですね。私は基本的に、人間はお化けに勝てないと考えているんです。

なので、逃げることが基本になるいっぽうで、なぜ怪異が出てきているのか、嫌いなものや弱点は何かといった秘密を解き明かすことで「お化けが出てこない」状況を作ることができる、という形でゲームをデザインしています。

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(画像は《ノロイあやし》公開PV | GSE – YouTubeより)

──ちなみに、本作の難しさはどれくらいになるのでしょうか。

新川氏:
ゲームの難度に関しては高く設定していまして、実際にプレイしたら、けっこう死んでしまうと思います。

死んでしまった時に時間が巻き戻ってリスタートする形式になっているのですが、謎をいくつか解いていた場合は、対処法が分かっているから素早く処理をして進行することができるんです。

だから、同じことを繰り返すかたちにはなりますが、圧倒的なスピードで再度探索していくことができる。つまり、どんどんプレイ時間としては短くなっていく設計になっています。

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(画像は『ノロイあやし』Steamストアページより)

──タイムアタックに近い遊びができるわけですね。

新川氏:
そうなんです。ですので、ジャンル名「タイムループホラーRTAステルスアクションアドベンチャー」としています。

開発中ですので正確な時間は不明ですが、最速1時間ぐらいで攻略する方法があるのではないか、と思ってます。

また、全体のボリュームとしては、初見の場合は上手い人でも15時間前後を想定しています。

──スピードクリアの余地も残しつつ、歯ごたえのある探索を味わえると。

新川氏:
そうですね。遊ぶほどに攻略速度が上がるため、その気になればかなりスムーズにゲームをクリアできるはずです。

──本作は「何度も死ぬゲーム」ということですので、主人公である女子高生の死に様がたくさん描かれると思います。主人公の死に様には、どれくらいのバリエーションが用意されているのでしょうか。

新川氏:
主人公の死に方は、かなりバリエーションを用意したいと思っています。
どこまで用意できるかは不明ですが、少なくとも30通りは絶対に欲しいと考えています。

また、死ぬ時には、しっかりとリッチなピクセルアートのアニメーションを用意していこうと考えています。

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──押切先生がデザインした女子高生が、バリエーション豊かに何度も死ぬと。

新川氏:
ピクセルアートのドット絵やアニメーションは開発スタッフが手がけていますが、押切先生にはしっかりご監修いただきます。ですので繰り返しにはなりますが、本作のビジュアルは自信を持ってお出しできるかと思います。

──現在本作の開発進捗は40~50%ほどとのことですが、ホラーゲームを作るにあたって、どういった点に苦労があるのでしょうか。

新川氏:
今後の開発の工程で1番苦労しそうなのは、プレイヤーを怖がらせるためのホラー演出です。

たとえば私は「ジャンプスケア」よりも、真相が明かされていくことで「これって、こういうことだったんだ」と後から気づいて怖くなるような「上等な怖さ」を表現したいと思っています。

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(画像は『ノロイあやし』Steamストアページより)

ですので、そういったホラー演出をどれだけ作中に登場させられるのか、という点でまだまだ苦労があるだろうなと感じています。

あとは、やはり作中に登場する謎の解き方を一本道にしたくないので、ひとつの謎に対して複数難度の解法があり、人によってクリア方法が違うような設計にしたいと考えています。こうした仕様に関しても、なかなか骨が折れそうだなと思いますね。

──ちなみに、本作の体験版をリリースする予定はあるのでしょうか。

新川氏:
体験版などの、発売前に本作をプレイする機会が、いずれ必要になると考えています。

また、本作の場合は、体験版を出したとしても「製品版を遊ばなくても満足」といった状況にはならないと思います。ですので、最低限ゲームイベントに試遊出展したいですね。

──最後に、本作を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いいたします。

新川氏:
なぜ本作の企画・コンセプト・シナリオ・ゲームメカニクスを作ったのかと言えば、まずはやはり、押切先生ファンのためです。そしてもうひとつは、ホラーゲームファンの人たちのためです。くわえて、ピクセルアートが好きな人たちのためでもあります。

最近はリッチなピクセルアートのファンが増えてきていると感じていますので、押切先生、ホラーゲーム、ピクセルアート、どれかひとつでも好きだという人には絶対満足していただけるゲームにしたいと考えています。ぜひ、ご期待ください。(了)


新川氏が何度も口にしたのは「押切先生に恥をかかせるわけにはいかない」という言葉だった。キャラクターデザインを依頼し、その作家のファンとして自らプレッシャーを背負う。

そうした熱量のある姿勢で作られる本作は、いったいどんな恐怖や喜びを与えてくれるのか。ぜひ本作をプレイして、確かめたいところだ。

『ノロイあやし』はPC(Steam)、Nintendo Switch、Nintendo Switch 2へ向けて、2027年に発売される予定だ。

編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚え、ゲームと育った生粋のRPG好き。キャラメイクや物語が分岐するTRPG的な体験を好む生態。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳を経て、『バルダーズ・ゲート3』を独力で全訳し完走。『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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