エヌシージャパンのMMORPG『リネージュ2』のオフラインイベント「リネージュ2 大感謝祭」が、10月26日に東京・飯田橋で開催された。
リネージュ2は2004年にサービスが始まった、超が付くほど老舗のPC向けMMORPGだ。移り変わるオンラインゲームのトレンドに合わせてサービスの姿形を変え続け、21年ものあいだ人気を博している。
本作にとってこのような大型のオフイベは、「NCJAPAN SUPER SUMMER FESTIVAL 2018」以来、約7年ぶりとなる。今回、大規模なオフイベを久々に開催した背景には、日本主導のグローバルプロジェクト「サムライ クロウ」があったそうだ。
イベント当日はサムライ クロウの詳細をはじめとした、今後のアップデート情報が公開されたほか、“和”をテーマにした本プロジェクトらしい数々の催しが開催。来場客が一緒に参加できるイベントも行われ、MMORPGならではのコミュニティの醍醐味をたっぷり感じられる内容となっていた。
文/kawasaki
“侍”の新クラスが11月5日世界同時に実装
リネージュ2の開発作業は韓国NCSOFTが行っている。つまりアップデートが行われるときは、最初に韓国語版が実装され、そこから数か月のローカライズ期間を経て、日本をはじめとした多国語版が続く形となる。ファンにとっては常識だろう。
だが11月5日に実施されるサムライ クロウは、日本運営チームが主導で企画し、世界同時にアップデートを迎える。韓国以外を含む全世界のプレイヤーが、より新鮮な気持ちで楽しめるわけだ。
これはリネージュ2の21年の歴史を振り返っても初の試みで、エヌシージャパンとしても相当な力を込めており、それが今回のオフイベ開催につながったとのことだ。
本プロジェクトの目玉となるのは、侍をモチーフにした新クラスの「クロウ」である。
これは刀を使った近接攻撃が主体のクラスで、鋭い一撃や、畳みかけるようなラッシュ攻撃を得意とする。比較的テクニカルで、中級者以上にとっては爽快感のある狩りが楽しめるとのことだ。
会場ではフィールドを縦横無尽に駆け巡りながら、攻撃を繰り出す姿がムービーで紹介された。ターゲット操作などが気になるだが、確かにこれは楽しそうだ。
コンセプトアートをよく見ると、魂を吸収したり、鬼の背後霊のようなものを召喚して戦ったりと、オーソドックスな侍とは少し違ったダークサイド寄りの外見となっている。なお、クロウを選べる種族はカマエルのみとのことだ。
特殊仕様の新サーバーの「クロウ」も同日オープン
新クラスの実装と同日となる11月5日の午後8時には、新サーバーの「クロウ」もオープンする。これは2025年4月にオープンした、現代のMMORPGのプレイスタイルに合わせた「エヴァサービス」を、さらにブラッシュアップさせた特殊仕様のサーバーである。
このサーバーでは全エリアがピースゾーンとなっており、狩場の独占や無差別PKが行えなくなっている。毎日午後8時~午前0時の4時間は「集中プレイタイム」とされ、短時間のゲームプレイでも効率良く楽しめるという。そのほかにも多くのフィールドエリアにボスモンスターが同時多発的にポップし、誰でも挑戦できるそうだ。
さらに今後のアップデートを通じて、異なるサーバー間のプレイヤー同士がバトルコンテンツや取引所を利用したり、世界じゅうのプレイヤーがアリーナで戦ったりできるよう計画しているそうだ。これらの詳細は11月5日に特設サイト上で公開される予定なので、既存サーバーでプレイしている人もチェックしよう。
プレイヤーがギルドリーダーを逆指名する来場客参加型イベントも
MMORPGの主役は(運営ではなく)プレイヤーである。エヌシージャパンにとっては、そういった想いが特に強いそうで、今回のオフイベを開催するにあたり、運営チームから一方的に来場客に伝えるだけでなく、来場客自身が参加するタイプの催しを多く企画したという。
来場客は10名程度に分けられてテーブルに着席。イベント中はテーブル単位で参加する催しが行われ、それを通じて自然とコミュニケーションが発生する形となっていた。


これまでのオフイベ取材では目にしたことがないユニークな試みだと感じたのは、リネージュ2で活動するギルドリーダーがステージに登壇して血盟(ギルド)をアピールし、それを見て興味を持った来場客が加入希望を出すというマッチングイベントだ。
上述のとおり、11月5日には新サーバーがオープンするが、既存サーバーで遊ぶコアプレイヤーのなかには、新たなギルド環境でプレイしたい人もいるだろう。この場でマッチングが成立すると、インゲームで豪華特典がもらえるという点も後押しとなり、運営チームが想像していた以上に盛り上がっていた。
“答えられない質問”に開発・運営がタジタジになる場面も
昼食休憩を終えたイベントの後半は、リネージュ2の公式生番組が現地から放送。会場まで足を運べないファンでも楽しめる内容となっていた。
この放送に合わせて、NCSOFTにてリネージュ2の海外企画リーダーを担当するキム・クンヨン氏も来日。日本運営プロデューサーを務めるアライ氏とともに、サムライ クロウのアップデート経緯や、既存サーバーのバランス調整、そして今後のリネージュ2全体などについて語られた。
来場客から募った質問を、ステージ上で2人に直接投げかけるイベントも行われた。これらの質問は“仕込み”ではなかったそうで、答えることができずタジタジになる場面も。
ちなみに、「さすがにそれは即答できない」という質問に対してはギブアップも行えるのだが、その回数に応じてプレイヤー向けにプレゼントが贈られるルールとなっており、来場客から「ギブアップしろ!」といったヤジが飛ぶ場面も見られた。
そのほかにもキム氏やアライ氏はステージ上から来場客に逆に質問して意見を聞いたり、さらにはカメラに映っていないイベントの休憩時間や終了後にも積極的に対話する姿勢が見られた。
後でアライ氏に直接聞いてみたが、「せっかくリアルイベントを開催するんだから、今リアルな声を直接聞きたかったんです。ステージ上で答えられなかった質問も含め、全部キムさんに伝えますよ」と述べていた。
この番組はYouTubeでアーカイブが公開されている。プレイヤー向けの視聴者プレゼントのシリアルナンバーも公開されているので、今からでも視聴して損はないだろう。
このように、今回のイベントでは来場客が見て楽しむだけでなく、一緒に参加して盛り上がれるように、さまざまな工夫がされていた。MMORPGの醍醐味はプレイヤー同士のコミュニケーションやコミュニティににあると、あらためて実感できたイベントであった。























