10月30日は、スーパーファミコン用RPG『真・女神転生』が発売された日だ。
ファミコンで発売された『女神転生』シリーズのコンセプトを継承しつつ、プラットフォームをスーパーファミコンに移し、その世界観とシステムを進化させた、記念すべき「真」シリーズの第1作だ。

ゲームの舞台となるのは、199X年の現代の東京。平穏に過ごしていた主人公は、ある日「悪魔召喚プログラム」を入手したことをきっかけに、東京に現れた悪魔たち、そして人類の未来を左右する壮大なスケールの戦いに巻き込まれていくことになる。
当時のRPGといえば中世ヨーロッパ風のファンタジーや、遠未来のSFが主流だった中で、吉祥寺、新宿、銀座といった馴染み深い実在の地名が舞台となり、そこに「悪魔」という非日常が侵食してくる独特の雰囲気とダークなシナリオは、多くのプレイヤーに衝撃を与えた。

『女神転生』シリーズといえば、出現する悪魔と「会話(COMP)」して仲間に引き入れたり、仲間になった悪魔同士を「合体」させて別の強力な悪魔を生み出すシステムでおなじみ。『真・女神転生』でもその根幹は健在だ。

明確な「正義」が提示されないシリアスなシナリオも本作の魅力。ゲーム中での行動や選択肢によって、主人公の属性は「ロウ(秩序)」「カオス(混沌)」「ニュートラル(中庸)」の間で変化していく。
ゲーム終盤、主人公がどの属性(アラインメント)になっているかによって、協力する勢力や展開が大きく分岐し、エンディングも変化する。絶対的な神の秩序を選ぶか、力による自由な混沌を選ぶか、あるいはそのどちらにも与しない茨の道を選ぶか。
この重い選択をプレイヤーに委ねるシステムは、周回プレイの楽しさを生み出す。以降、属性によるルート分岐は『真・女神転生』シリーズでは恒例の要素となった。

いまもなお続く『真・女神転生』シリーズの礎を築いたのはもちろん、アトラスのもう一つの看板である『ペルソナ』シリーズもまた、本作のゲームシステムや世界観を発展させた外伝作『真・女神転生if…』(1994年)を経て誕生した、本作の遺伝子を色濃く受け継ぐ作品であると言えるだろう。
