サッカーゲームは好きだけど、現実のサッカーはあまり詳しくない。
そんな人、いませんか?
実は筆者もその1人。サッカーゲームは色々と遊ぶけど、(現実の)ワールドカップやオリンピックに対しては、意外と食指が伸びなかったりする。
そんな筆者でも楽しむことができ、しかもリアルのサッカーにも興味を抱いてしまったゲームが、11月5日発売のサッカークラブ経営シミュレーション『Football Manager 26』だ。
Football Managerは、超が付くほどリアル指向のサッカーゲームとして、長年人気の経営シミュレーションのシリーズである。そんなシリーズを、リアルのサッカーに疎い筆者でも楽しめたのはなぜか?
その理由は、監督たるプレイヤーの脇を固めるコーチ陣の圧倒的なサポート体制にある。
彼らコーチ陣にお任せしながら、興味がある部分をちょろっといじるだけで、激ムズだと思っていたクラブチームの監督業が、まったく滞りなく行えてしまうのだ。
“サッカークラブの経営シュミュレーション”と聞いて、思わず「うわ、難しそう……」と感じてしまったそこのあなた、ぜひ読んでほしい。
サッカーを知らなくても勝てる!? 初心者監督の丸投げクラブ運営
まずは上の画面を見てほしい。
この情報の洪水のような画面が、本作のメイン画面だ。本作ではサッカーの試合中を除き、ほぼ常時、このような画面を見続けることになる。
情報量の多さもさることながら、テキスト中心のあまりにも簡素すぎる画面に、今回の取材でシリーズに初めて触れた筆者は途方に暮れてしまった……。
藁にもすがるような想いで隣にいる広報さんを見るも、「今回の取材は2時間のフリープレイなので、お好きなように楽しんでください^^」とニッコリ。取材に同行した電ファミ編集者Kも、「サッカーは知らないので……」と目を背けてしまった。
そこで筆者は、どうせ右も左も分からないんだし、開き直って部下のスタッフにチームの全権を一任することに。
トレーニングメニューやクラブの運営方針をはじめ、選手のスカウトや契約更新といった人事、試合中のフォーメーションなどの戦略まで、本来は監督がすべきあらゆることをスタッフに丸投げしたのだ。
筆者の仕事は、スタッフからの「ほうれんそう」を受け、笑顔で承認ボタンを押すことだけ。シミュレーションゲームとして、これで大丈夫なのだろうかと戸惑いつつもプレイを進めていった。
ところが……。
「あ。これ、意外といいかも?」すぐにそう感じた。
こういった適当すぎるプレイでも、クラブ運営が滞りなく進み、なんとなく経営シミュレーションをプレイしている気分に浸れるのだ。まるで大企業の社長みたいに、提出される書類にポンポン印鑑を押してクラブ経営を行うのが、妙な優越感に浸れてしまう。
サッカーの戦術も知らない監督は初陣もコーチ陣に丸投げ
そんなこんなで、ろくな指示も出さずにクラブ運営を丸投げしまくった筆者は、初の公式戦を迎えることに。果たして──。
筆者が率いるのは、味の素スタジアムを本拠地とするJ1チーム「FC東京」。
対戦相手はJ2の「徳島ヴォルティス」だ。

チーム運営こそコーチ陣に丸投げした筆者だが、勝敗がかかる試合となれば話は別だ。サッカーゲームは経験があるし、的確な采配をビシバシ決めてやろうじゃねえかと意気込む。
まずは、基本となるフォーメーションの策定だ。
「4-2-3-1」「4-3-3」「4-2-4」。
……なるほど、わからん。とりあえずコーチに委任。
次は戦術。
「コントロールポゼッション」「ゲーゲンプレス」「ティキタカ」。
……さっぱりわからん。というか、ティキタカって南米の遺跡か何かですか?
仕方ないからコーチに委任。
そして最後はスタメン選手のポジショニングや、ベンチの控え選手の選出だ。
うん、DFの長友佑都選手のことは筆者でも知ってる。しかも奥さんは女優の平 愛梨さんだ!
ポジショニングは……。うーん、委任!
以上!
けっきょく、試合中のゲームプランもすべて優秀なコーチ陣におんぶにだっこ状態である。
筆者が行ったことは、試合前やハーフタイムに、「君たちならやれる」や「自分の力を証明しろ」などと、選手たちを叱咤激励すること。そして、サイドラインから「落ち着け」「もっと頑張れ」などの声かけだ。
「そんなの誰だってできるだろ!」
読者からの罵声が飛んできそうだが、実はこれだけはコーチ陣に委任することができない。選手たちとのコミュニケーションを通じて、彼らのやる気スイッチを押すことができるのは監督だけなのだ。そう自分に言い聞かせながら、固唾をのんで試合を見守る。
……ところが、我がFC東京は5対0で快勝していたのだ。
「気持ちがチームを勝利へと導く」ってこういうことか?
試合もコーチ陣に丸投げしたことを棚上げして、筆者は自身の采配に酔いしれていた。
丸投げでも、全部自分でやってもOK。初心者から上級者まで楽しめるサッカークラブ経営シム
プレイする前は敷居を感じさせたサッカークラブ運営だが、実際にプレイしてみると、拍子抜けするほど簡単であった。
しかも、今回筆者が行った「コーチ陣へ丸投げプレイ」は、あくまで遊び方の一例である。プレイヤーが望めば、それとは真逆の「全部自分でやっちゃうプレイ」も可能だ。
ちなみに本作では、クラブ運営にまつわるあれこれをプレイヤーが直接操作するのか、あるいはコーチ陣に委任するのかを個別に設定できる。選手の契約更新やスカウト、ユース選手の育成やレンタル移籍、記者会見などのメディア対応、クラブビジョン、財務管理、役員会との交渉などなど、合計で90以上もの項目があるのだ。
本作のコーチ陣やスタッフは非常に優秀で、文句ひとつ言わずに委任した業務をこなしてくれる。だから筆者のようなサッカーに詳しくない人でも、安心して彼らを頼ることで、すんなりと進められる。
そして、ゲームを進めてサッカーの知識を得たら、興味を持った部分に少しずつ口出ししていこう。きっと、次第に「あれもしたい、これもしたい」といった欲求が膨らむだろうし、その総てに応えてくれるゲームだ。
丸投げでも、全部自分でやってもOK。
その範囲を決めるのはプレイヤー自身だ。
Football Managerシリーズは歴史のあるサッカークラブ経営シムということで、上級者にとっては大満足のゲームだということは取材前から分かりきっていた。しかし、いっぽうで、筆者のような未経験者にとってはハードルを感じさせるのではとビクビクしていたのだが、実際にプレイしてみたら、全くそんなことはなかった。
Football Manager 26は、初心者から上級者まで楽しめるサッカークラブ経営シムである。少しでもサッカーに興味のある人は、安心して手に取ってほしい。
※開発中のバージョンを取材しているため、本稿に掲載された情報は今後修正される場合があります












