NCSOFTといえば、その名をMMORPGの歴史に深く刻んできたゲームメーカーである。そんな同社が「TPS」という新たなジャンルに挑んだら、やっぱりMMORPGで培ったノウハウを惜しみなく盛り込んできた。
そんな、よくばりセットとも呼ぶべき意欲的なタイトルが『シンダーシティ』である。
本稿では、韓国で開催されたゲームショウG-STAR 2025の会場で撮影したプレイムービーとともに、そのユニークなコンセプトを紹介しよう。
取材・文/kawasaki
MMORPGの雄が手がける「よくばりセット」TPS
『シンダーシティ』は、MMORPGの文脈でTPSを開発する、“MMOタクティカルシューター”を標榜している。その最大の特徴は、TPSでありながらMMORPG要素をふんだんに盛り込んでいる部分だ。
近年は『Destiny 2』や『ボーダーランズ』をはじめとしたルーターシューターが人気を博しており、FPS/TPSにアイテム収集やキャラクターの成長要素を組み込むことは、もはやそれほど珍しくはない。
しかしシンダーシティを手がけるのは、MMORPGの老舗であるNCSOFTである。既存のルーターシューター以上に、その醍醐味をぶっ込んでいるそうだ。
一例を挙げると、プレイヤーが着用する兵装には、様々な特性やアビリティが付与されており、これを収集・強化していく。これはMMORPGにおける職業やスキルツリーに近い役割だ。
なかには支援に特化した兵装もあり、これを利用すれば、たとえエイミングが苦手な人でも協力プレイでチームに貢献できるとのこと。
オープンワールド部分に関しては、単にマップが広いだけでなく、プレイヤーがログアウトしても世界が続くというシームレスな環境を実現。また、敵やNPCの行動はAIで制御されているほか、現時点でも100人規模でのマルチプレイ環境が実現できているそうだ。
23世紀の未来を取り戻す歴史改編SFモノ
本作の舞台となるのは、歴史が改変された23世紀の未来。
紹介しているプレイ動画では、荒廃した未来の韓国・ソウルを舞台に、「セブン」というメインキャラが、突然変異した謎の生物と戦うミッションを進めている。
現時点のビルドでは、肝心のMMOやオープンワールド要素が実装されておらず、正直いってタイトル全体としての真価は未知数だ。しかし、TPSとしての基本スペックの高さは、じゅうぶんに見て取れるだろう。
ゲームエンジンにはUnreal Engine 5を採用し、NVIDIAの画期的なフレーム補完技術の「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)にも対応。リリース時には、最新バージョンのDLSS 4にも対応してくれるはず。
動画の最後では、「アイアンスマッシャー」というボス敵を撃破している。ゆくゆくは、こういった巨大ボスに100人規模のレイドバトルで挑戦できるのかと思うと、生粋のTPSファンでなくても興味を引かれる人が多そうだ。
本作の対応プラットフォームはPCおよびコンソールで、2026年内にグローバル向けのリリースが予定されている。TPSと聞いて、エイミングが苦手な人にとっては尻込みしてしまいがちだが、そういった人も覚えておいたほうがよさそうな一作だ。










