ゲームの存在意義とは何だろう──と、プレイしながらふと考えた。
多くのゲームは「普段できないことをやらせてくれる」メディアだ。
空を飛ぶ。魔法を使う。戦争をする。プロスポーツ選手になる……。ゲームは、日常にはない刺激や体験を仮想空間の中で提供してくれる。
では、本作が提供するのは何か。
一つの命を奪う重みと向き合う“狩り”という行為そのものだ。
動物の足跡や排泄物の痕跡を探し、どこに群れが移動したのかを慎重に追い、見つけたらそっと近づく。
姿を見られるのはもちろん、動物はこちらの匂いや音にも反応する。
最大限の注意を払った上で、スコープを覗いて引き金を引き、一発の銃弾で動物を仕留める。
『Way of the Hunter 2』とは、こういうゲームだ。
ひたすらにフィールドを歩き回り、やっと見つけた群れの一頭に狙いを定め、引き金を引き、そして急所を外し、仕留め損ねる。そういうシチュエーションも少なくない。だからこそ、仕留められた時の喜びは格別なのだ。
派手な爽快感もなければ、倒した敵の数を競うスコアボードもない。だが、ここには「自分がいま、この大自然の中にいる」という静かな実感と、「動物の命を奪った」という重たい感覚がある。
※この記事は『Way of the Hunter 2』の魅力をもっと知ってもらいたいTHQ Nordic Japanさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
ハンティングシミュレーターの系譜を継ぐ続編
『Way of the Hunter 2』は、Nine Rocks Gamesが開発し、THQ Nordicがパブリッシングを手がけるオープンワールド狩猟シミュレーターだ。
2022年に発売された前作『Way of the Hunter』の続編にあたり、2026年3月26日よりSteamにて早期アクセスが開始された。PS5/Xbox Series X|S版も将来的に予定されている。
リアル志向のハンティングゲームといえば『theHunter: Call of the Wild』が代名詞的な存在だが、『Way of the Hunter』シリーズはそれよりもさらにシミュレーション寄りのゲームデザインを志向しており、あらゆる要素が「本物の狩猟に近づける」方向で設計されている。
今作では使用しているエンジンがUnreal Engine 5へ移行した。特に植生の表現が飛躍的に向上している。そしてこの「草のリアルさ」は、単に見た目がきれいになったという話では終わらない。それについては後で詳しく書く。
舞台となるのはカナダの広大な狩猟エリア「ニューローレンシア」。プレイヤーは新米ハンターとして、家族経営の狩猟保護区「ハース・アンド・ハント」を再建しながら、4人のNPCたちと関わるストーリーを進めていく。
狩猟対象はヘラジカ、クマ、バイソンといった大型の獣から、シチメンチョウやウサギなどの小型動物、さらには各種の鳥類まで多岐にわたる。
「草がリアル」が意味するもの
このゲームを起動して最初に感じるのは、とにかく自然描写の密度がすごいということだ。端的に言うと、“草”があまりにもリアルなのだ。
「グラフィックスがきれい」という感想はゲームレビューにありふれている。だが本作における草や木のリアルさは、ゲームプレイと地続きになっている。
倒れた草からは群れの移動がわかる。風に揺れる草は風向きを教えてくれる。その風はこちらの匂いを運び、匂いが獲物に届けば、動物は逃げる。
つまり、草のリアルさはビジュアルだけでなく、ゲーム性にも影響を及ぼしているのだ。
広大なフィールドも同様で、ただ広いだけではない。距離が遠くなると正確な狙いが難しく、スコープを覗いても急所に当てられない。そのため、獲物までの距離を正確に把握し、自分の銃の有効射程圏内に入るまで、時間をかけて近づく必要がある。
この「近づく」という行為に、風向き、地形、姿勢(立つ・しゃがむ・匍匐)のすべてが関わってくる。
息を止めて、一発を撃つという行為
本作を遊び始めてすぐに気づいたのは、これは筆者が知っているFPSとはまるで別物だということだ。
画面の見た目はたしかにFPS的だ。一人称視点で銃を構え、スコープを覗く。だが、その先にある体験はまったく異なる。『VALORANT』や『Apex Legends』のように、動く敵にクロスヘアを素早く合わせる、そういう反射神経のゲームではない。
本作における射撃は、ずっと静かで、ずっと長い。
獲物を見つける。距離を測る。射撃姿勢を安定させる。そして息を止める。照準が安定したその瞬間にトリガーを引く。その間は短くても数十秒、長ければそれ以上になることもザラにある。
ここに至るまでの数十分、そして引き金を引くまでの静寂の時間を楽しむのがこのゲームの「遊び」なのだ。
正直に書くと、筆者はまだこのゲームを「うまく遊べている」と言える自信がない。標準の難易度設定は決して簡単ではなかった。
見つけた獲物が遠すぎて撃てない。近づこうとしたら風向きが変わって逃げられたことがある。30分以上フィールドを彷徨ったあげく、結局一発も撃てずに終わったこともある。
その間も一切BGMがない。音楽がないのだ。聞こえるのは環境音だけ。
風、鳥の声、自分の足音。この無音の中を歩いていると、不思議と焦りが消えていく。獲物を見つけられなくても、この森を歩いていると集中力が研ぎ澄まされていく。筆者はプレイ中に“禅”に近い感覚があった。
このゲームが提供しているのは「めまぐるしく押し寄せてくる刺激」ではなく「いまここにいること」の体験だ。BGMや派手なエフェクトで気分を盛り上げるのではなく、プレイヤー自身が自然の中に入り込む余白を作っている。
この設計は万人向けではないだろうが、ハマる人にとっては他のどんなゲームでも味わえない時間になるはずだ。
孤独な森の、唯一の相棒
今作の新要素として目玉になっているのが、猟犬の存在だ。
猟犬は動物の痕跡を探し出したり、撃った後の血痕を追跡したりしてくれるバディだ。人間の目では見落としてしまいがちな痕跡も、犬は確実に拾い上げてくれる。
広大なフィールドで獲物の気配すら掴めずにいるとき、犬が草むらに鼻を近づけて反応する瞬間は、それだけで次の一手が生まれる。訓練を重ねることで行動が洗練され、コマンドへの反応もよくなっていく。
ゲームメカニクスとしては「追跡のサポート役」という位置づけだが、それ以上に、この犬がそばにいてくれることの意味は大きい。
先に書いたとおり、本作にはBGMがない。広大なフィールドをひとりで何十分も歩く。ストーリーに関わるNPCたちも存在するが、彼らはあくまでクエストを通じた関係であり、一緒にフィールドを歩くわけではない。狩りの時間は、基本的にひとりだ。
この孤独の中で、猟犬は唯一「応答してくれる存在」なのだ。指示を出せば反応する。獲物の痕跡を見つければ知らせてくれる。物言わぬ大自然の中で、この犬だけが自分と世界をつないでくれる。
この森が、特別な場所になる人へ
意外と言ったら失礼かもしれないが、チュートリアルはかなり丁寧に作られている。
基本的な移動やアクションの操作から、犬への指示の出し方まで、段階を踏んで教えてくれる。早期アクセスのタイトルにしては手厚い導入だ。
リアル志向のシミュレーターはチュートリアルや説明が殆どなく、突き放しがちなタイトルが多いが、本作はそうではない。狩猟シミュレーション初心者でも「何をすればいいか」は理解できるようになっている。
ただし、チュートリアルが丁寧だからといって、その先のゲーム本編が優しいわけではない。先述のとおり標準難易度でも普通に手こずるし、一発で仕留めることを前提にしているゲームの要求水準はなかなか高い。
ただ、これは「ゲームバランスが悪い」のではなく、「このゲームはそういうゲームなのだ」というほうが正確だと筆者は思う。簡単に獲物が倒せたら、獲物の命と向き合う緊張の時間に意味がなくなってしまうからだ。
『Way of the Hunter 2』は、万人に勧められるゲームではないかもしれない。テンポの良いアクションが好きな人や、明確なゴールに向かって効率よく進めたい人には向かないだろう。
だが「いつもと違う時間の流れ方」を求めている人にとって、この森はちょっと特別な場所になるかもしれない。
「普段できないことをやる」ゲームは多い。
だが、この静けさを提供してくれるゲームは、そう多くない。
最後に、本作は現在早期アクセスの期間中であり、正式リリースに向けてアップデートが順次行われる予定だ。
2026年4月のアップデートでは、夜間の狩猟を拡張する「サーマルナイトビジョン(クリップオン+モノキュラー)」の追加や、フィールド内の壊れた橋やトンネルを修復できる「インフラ改善」などのアップデートが行われる。さらに、新マップや新装備、マルチプレイ要素の追加も予定されている(公式サイト)。
また、開発チームはプレイヤーからのフィードバックを積極的に受け付けており、日本のプレイヤーからの要望も歓迎しているとのことだ。本作をプレイしたうえで気になる点や改善してほしい点などがあれば、ぜひ、「こちら」のフォームから送ってほしい。













