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ろくろを回してガチ陶芸→作った陶器で大乱闘!『Kiln』は自分で作る「創造」の喜びと相手の力作を粉砕する「破壊」の快感を同時に味わえるカオスなバトルゲームだった

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『Kiln』『Keeper』開発者インタビュー

ここからは、BitSummit会場のDouble Fineブースにおいて行われた『Kiln』プロジェクトリードのDerek Brand氏と、同じくDouble Fineブースにて出展中の『Keeper』クリエイティブリードのLee Petty氏へのインタビューをお届けする。

おふたりとも、短い時間ながら作品に込めた思いを熱く語ってくれた。

『Kiln』レビュー・感想・評価:自分で作る「創造」の喜びと相手の力作を粉砕する「破壊」の快感を同時に味わえる_021
Derek Brand氏

──『Kiln』における「陶器とバトル」というユニークなコンセプトが生まれた背景について教えて下さい。

Derek Brand氏(以下、Derek氏):
私はもともとコンセプトアートを担当していたのですが、所属しているDouble Fineでは、社内でときどき短期のゲーム制作イベントを開催しているんです。

2017年ごろ、私はずっと「プレイヤーが自分のキャラクターを作り、そのキャラクター同士で戦えるゲーム」を作りたいと考えていました。そのアイデアを調べているなかで、陶器の画像に出会ったんです。これはコントローラーを使ううえですごくよい題材だと感じました。

そこで2017年に小さなチームでプロトタイプを作ってみたら、すごくよい手応えだったんです。とはいえ、当時の私たちは陶芸についてはまったく無知で、ただアイデアの取っ掛かりとして使っていただけでした。

しかし本格的にプロジェクトとして作り始めてみると、私たちはどんどん陶芸そのものに惚れ込んでしまったんです。そこで陶芸教室にも通い、それがプロジェクト全体の方向性に大きく影響しました。それ以降は、陶芸的な側面を本気で押し出していこうと方向性を定めました。

──プロトタイプから製品版にいたるまでに、どのようなブラッシュアップを行ってきましたか?

Derek氏:
プロトタイプとは大きく違うものになっていますが、ゲームの目的はほぼ変わっていません。「ツボを作って戦う」「チームで水を集めて敵の窯を消火しに行く」という基本構造は同じです。とはいえ、変わった部分も非常に多いです。

私たちには「Shape Matters(形が重要だ)」というモットーがあり、製品版ではこれをかなり押し進めました。つまり、自分が作ったものによってキャラクターのできることが決まる、ということです。

これはプロトタイプの段階にはなかった要素ですね。

──「創造と破壊」がこのゲームのテーマですが、同時に「陶器を壊したくなる」という子どものいたずら心のようなものも関係あるように感じました。このテーマに込められた思いをお聞かせ願えますか?

Derek氏:
ええ、ゲーム全体がそこに立脚しています。

「なにかを作ることのカタルシス」と「なにかを壊すことのカタルシス」、その両面を突き詰めようとしました。プレイヤーがリラックスしながらお気に入りのクールなキャラクターを作る満足感を味わえるように、そしてその一方で、そこから一転して物を壊しまくれるようにしたんです。

ほら、たまにキッチンに行って食器を思いっきり叩き割りたくなることって、あるでしょう?(笑)

──陶芸の要素には、コアなプレイヤーが力作を作りあげるポテンシャルがあるように感じています。すでに、制作陣も驚くようなものを作りあげたプレイヤーは現れていますか?

Derek氏:
はい、たくさんいますよ! コミュニティには本当に感心しっぱなしです。すごく美しい作品を作る人もいれば、笑えるおもしろいキャラクターを作る人もいます。ポップカルチャーのキャラクターやDouble Fineの過去作のキャラクターをモチーフにしたものもありました。

ロビーに入るのが楽しくて、たとえばあるときは、誰かが工事用のカラーコーンのツボをたくさん作って、ロビーのあちこちに配置していたこともありました。

──ルールが非常にシンプルなため、あまり複雑なことは考えずに動き回れることも本作の魅力だと思います。これは制作側としても意図してのことなのでしょうか?

Derek氏:
はい、そうですね。マルチプレイヤーゲームは、ときに新規プレイヤーを疎外してしまうことがありますよね。陶芸というのは親しみやすく、敷居の低いものであるべきだと感じましたし、私たちはプレイヤーに陶芸を知ってもらいたかったんです。なので、ゲームの競技的な側面も同じように親しみやすくなるよう努めました。

ただ、作るものの可能性は無数にあるので、戦略性もじゅうぶんにあると思っています。チームでいろいろなツボの組み合わせを試したくなる、そんな奥深さがあるはずです。

──本作を始めて遊ぶプレイヤーたちに、どのような点をアピールしたいですか?

Derek氏:
「自分でキャラクターを作り、そのキャラクターが命を吹き込まれて動き出すところを見てみたい」と思ったことはありませんか?

このゲームは、それを試してみるのにうってつけの場所だと思います。みんながゲーム内で「なにを作るのか」を見るのは、いつも本当に驚きの連続です。

ゲームに不慣れな人でも、ロビーに入るだけでほかのプレイヤーが作った作品を見ることができます。だから、もし「作る」という部分に少し気後れしてしまっても、ほかの人が作ったツボを使ってみるところからゲームに入っていくこともできるんです。

ぜひ一度遊んでみてほしいですし、皆さんがどんなものを作るのか、今から楽しみで仕方ありません。

──次に、『Keeper』についておうかがいします。本作はLeeさんの個人的な体験が基になっているとお伺いしました。本作のアイデアが生まれた背景について教えて頂けますか?

Lee Petty氏(以下、Lee氏):
はい、『Keeper』のアイデアが最初に生まれたきっかけは、パンデミックのロックダウン中のことでした。私はひとりで山にハイキングに出かけていて、生命の未来について考えていたんです。

『Kiln』レビュー・感想・評価:自分で作る「創造」の喜びと相手の力作を粉砕する「破壊」の快感を同時に味わえる_022
Lee Petty氏

「もし人類がいなくなってしまったら、生命はどのように発展し、変化し続けていくのだろう?」と。

──本作の「言葉を使わない」というゲームデザインは言葉の壁がなく、日本のゲーマーにもダイレクトに響くのではないかと思います。彼らに本作のどんな点に注目してほしいですか?

Lee氏:
私たちは物語を伝えるのに言葉を使わなくていいようにこのゲームをデザインしました。音楽とアニメーションがあれば、物語を伝えられると思っています。

プレイヤーが、この物語がなにについてのものなのか、自分なりの解釈や考えを抱けるようないっぷう変わった世界を作ろうとしたんです。

──テキストや音声を使わずに表現するうえで、いろいろな苦労があったと思います。どのような工夫を凝らしましたか?

Lee氏:
言葉やUIをいっさい使わずに「プレイヤーを前に導く」、「パズルを提示する」といった方法を見つけなければなりませんでした。

そこで私たちは、カメラワークと鳥のアニメーションを使い、プレイヤーにどこへ向かうべきかを示すようにしたんです。

──「旅をする灯台」というのは非常にユニークなアイデアだと思います。やはりスタジオとしても、 Double Fineはアイデアの力で勝負するという思いがあるのでしょうか?

Lee氏:
ええ、Double Fineでは、私たちは「クリエイティブ主導のスタジオ」だと言うのを好んでいます。

といっても最初から「なにか違うものを作ろう」と考えているわけではなく、自分たちが個人的に繋がりを感じていたり、情熱を注げるものを作ろうとしているんです。そして、その美しさや楽しさで、ちょっと違ったものを求めているプレイヤーを惹きつけられたらと思っています。(了)

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編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。最も脳を焼かれたゲームキャラは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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