2026年5月22日から24日まで、京都みやこめっせでインディーゲームの祭典『BitSummit PUNCH』が開催されている。 世界中から様々なインディーゲームが出展される本イベント。早速筆者も現地へ足を運び、さまざまなゲームを楽しんでいるのだが……。
その中で、めちゃくちゃ刺さる一本を発見した。
MatsuOkaGumiの手がける短編SFアドベンチャー、『Calling』である。
本作のゲーム内容は、「宇宙に一人取り残されたパイロットとなって、地球にいるオペレーターとリアルタイムで通信する」という何とも硬派なもの。アンディ・ウィアーの『火星の人』や最近話題の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を連想させる、非常にワクワクさせられる舞台設定だ。
この設定だけでも面白いのだが、さらに面白いのがそのゲーム内容。NPCと交信するという一見地味な内容に見せかけて、その中身は緊張の連続が続く何ともスリリングなものとなっている。
ノイズにまみれて途切れがちな通信の中、何とかオペレーターの指示を聞き取り、その声を決して絶やさないよう必死に通信を試みるゲームプレイは、常にハラハラしてとても緊張感あふれるものだった。
舞台設定、ゲームシステム、物語と全てがマッチした素晴らしいSFモノである。そんな本作の内容について、この記事で是非ともお伝えしたい。
決して通信を絶やしてはならない
本作でプレイヤーが演じることになるのは、真っ暗な宇宙を彷徨う小さな宇宙船のパイロットだ。あまり詳しくは語られないが、どうやら主人公は探査任務の途中、何かしらの理由でこの広い宇宙に一人取り残されてしまったらしい。
真っ暗でシステムがダウンしてしまった船内。孤独な宇宙で、助けもこない。これは万事休すか……とそう思われたとき、船にある一つの通信が届く。
通信に応答すると、画面の向こうには可愛い女の子の姿が。
彼女は地球にある基地から通信を飛ばしていることをプレイヤーに告げるが、通信は一方通行となっており、こちらから彼女に直接何かを告げることはできない(この設定も非常にそそられる)。
さて、何とか通信が届いたということで、プレイヤーはまず船のシステムを修理するため、彼女の指示に従って手元のパネルで様々な操作を行うことに。ここからがゲームプレイスタートとなる。
本作の物語、およびゲームプレイは常に固定のUI上で進行していく。画面左側がオペレーターとの通信画面、画面右側がプレイヤーの操作するパネルという配置で、全てがこの画面の中でリアルタイムに展開されていく。
その中で特に重要なのが、通信を常に維持し続けること。コントローラーの左右両スティックをグリグリと回しながら、ラジオの周波数を合わせる感覚で常に通信環境を安定させる必要がある。
もちろん通信の状況はリアルタイムで変化するので、その都度コントローラーを操作して、オペレーターの指示が明瞭に聞こえるように維持しなければならない。
また、時には通信中に画面右のパネルで、オペレーターの指示に従った操作を求められることもある。
ここでは爆弾処理ゲームのようにオペレーターの指示を正しく聴いて実行する必要があるのだが、なにせ通信環境が安定しないので非常に聞き取りにくい場面や、通信を安定させるのに気を取られてそもそも指示を聞き逃してしまう場面も存在する。
ゲームプレイ中にはシステムが自動でバックログを取ってくれるので、それを参照することも可能……なのだが、通信状況が良くないとバックログ自体が途切れたり誤字になっていたりと、これに頼りきるのも難しい。
さらに、指示は全てリアルタイムで飛んでくる。そのうえゲーム中のタスクにもそれぞれ時間制限が設けられている為、ゲーム中はとにかく非常に焦らされる。幸いパネル自体の操作は簡単だが、慣れない人にとってはこの一見複雑そうなUI自体がトラップとなって襲い掛かるだろう。
そしてこのゲームで何よりも恐ろしいのが、通信が途切れたときの心細さである。宇宙でただ一人きり、何をすればいいかもわからず誰も頼れる相手がいないという状況が、プレイヤーの心を少しずつ蝕んでいく。
こんな状況に置かれたら半泣き確定だ。 そんなとき、画面の向こうで女の子がこちらに適切な指示を与えコミュニケーションを取ってくれることが、どれほど「救い」になるか──。
そんなプレイヤーの置かれた状況が、「決してこの通信を絶やしてはならない」というゲームへの没入感に繋がっている。
UIが固定なのもこの没入感をさらに高める演出となって、試遊中はついつい手が汗ばんでしまうのを感じた。設定とも上手くかみ合った、とても良くできたシステムだと思う。
ちなみに、「なんか難しそう」と思われる方のために、ゲーム側からの救済措置も用意されている。一度正確に聞き取ったオペレーションは以降常にバックログに保持されいつでも参照できるほか、ゲーム中に指示されるパスワードや操作手順などはゲームオーバーになっても変更されない。
つまり、こういったゲームが苦手でも、通信を絶やしさえしなければ(あと人の話をちゃんと聴いてさえいれば)、繰り返しプレイすることで必ずクリアにまではたどり着くシステムとなっている。
レベルデザインについては引き続き調整を重ねていくとのことだったが、筆者的には既にスリルと分かりやすさが良い塩梅となっているように感じた。
地球への帰還が目的……ではない魅力的なストーリー
そんなこんなで、彼女の従いながらなんとか船のシステムを復旧させることに成功すると、彼女は現在のプレイヤーが置かれている状況について教えてくれる。
どうやらプレイヤーは既にミッションを終えて太陽系に帰還しており、地球と通信に成功したのもそのためらしい。それではこれより地球に帰還……かと思いきや、彼女はプレイヤーに衝撃の事実を告げる。
なんと、プレイヤーが宇宙を旅している間に、既に地球は戦争により滅びの一途を辿っているとのことだった。
計画に間に合わなかったとプレイヤーに告げる彼女。これも地球と宇宙では時間の流れが異なる故か……と『インターステラー』もビックリな展開に度肝を抜いていると、彼女から「そのまま他の惑星へと向かってほしい」という指示が。
いったい地球では何が起きているのか、そして、プレイヤーにオペレーションする彼女の目的とは……!?
と、先の展開が気になりすぎるところで今回の試遊は終了となった。
どうだろうか、あまりにも面白すぎるゲームだとは思わないだろうか。
ストーリーについて、私の隣でプレイを眺めてくださった開発者の方曰く、本作はマルチエンドを採用する計画らしい。
ここからは私の妄想だが、例えば物語の途中で彼女の指示をあえて無視したり、あるいはリアルタイムで送られてくる通信の中に何か重要なヒントなりが用意されていて、それをプレイヤーが推理していく……なんて展開もあるのかと思うと、とてもワクワクする。
いずれにせよ、システムや設定だけではない、物語としての魅力も十分に感じられるゲームであることは間違いないだろう。これからさらに開発が進んでストーリーが出来上がるのが非常に楽しみだ。
固定UIで進むアドベンチャーゲームとして、そしてSFモノのアドベンチャーゲームとして、名作になりうるポテンシャルを本作から強く感じ取った。こういったタイプのゲームが好きな読者の方には間違いなく刺さる作品だと思うので、是非チェックしていただきたい。
本作で何度も心を救ってくれた可愛いオペレーターに、また会える日が楽しみだ。











