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わたしのなかのかくめい【緒方佑奈 晴れ、時々彩雲】

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こんにちは、緒方佑奈です。

まずは第一話を読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

多くの方から反響の声をいただけて、最後まで諦めずに書いて良かったと、過去の自分が報われる気持ちになりました。(⇽枕元にSOSの紙を置くくらい追い込まれていた人)

文章しかりお芝居しかり、表現活動それ自体が好きなのはもちろんですが、自分の表現が誰かに伝わった時の嬉しさは格別なものがあります。

やっぱり私は、このお仕事が好きです。

さて、第二話となる今回は、私の所属する声優アーティストユニット「DIALOGUE+」のお話をしたいと思います。過言ではなく、この仲間たちとの出会いがなければ今の私は存在しません。私の世界を変えた彼女たちとのお話。是非、最後まで目を通していただけると嬉しいです。

緒方佑奈エッセイ「わたしのなかのかくめい」:【緒方佑奈 晴れ、時々彩雲】_001

中学生の時。同じクラスの男の子から、放課後少し時間が欲しいと声を掛けられたことがありました。 いつも陽気にお喋りしているクラスのムードメーカー的な子からの呼び出し。遠巻きにクラスメイトたちが、こちらの様子をチラチラと伺っています。

「ごめん、急に呼び出して…。」
「いいよ、別に…。」

歯切れの悪い会話。
察しの悪い私でも流石に分かりました。

これは絶対にアレだ。

私たちの周り半径30cmの空間がとてつもない緊張感に包まれている中、廊下には遠巻き男女のクスクスと笑う声が響いています。

「……。緒方ってさ、好きな人とかいる…?」

勇気を振り絞って伝えてくれた言葉。
この言葉を出すだけでも相当エネルギーを使ったはずです。しっかりと最後まで気持ちを受け止めてあげたら良かった…と今なら思います。

けれど、私は怖かったのです。
誰かの好意を断るということが。
ごめんなさいということが。
男の子から続きの言葉が出る前に、私ははっきりと言いました。

「いない。だって私、人間が嫌いだから。」

▷▶︎▷

“人間が嫌い”という言葉を、私は結構長いあいだ口にしていました。厨二病も相まって中高6年間はそう言い張っていたような。 けれどよくよく振り返って考えてみると、私は人間が嫌いだったというよりも、単に人とコミュニケーションを取るのが怖かっただけでした。

“こうしたい”というこだわりは強い。なのに、それを主張するのはかっこ悪い気がするし、何よりその場の空気を乱したくないから、色々思うところはあるけど黙る!という厄介な性格。

「第一希望はコレだけど、どれになっても大丈夫よ〜」となるだけの器があれば、これでも成立したのでしょうが、当時の私にその器はもちろんなく、親からは「佑奈はすぐ顔に出るからね〜」と言われる始末。場の空気を乱したくないという願い虚しく、私は無言の圧で場の重力を増やすこともしばしばでした。

例えば、習い事で習っていたジャズダンス。

発表会で着る衣装の色を赤、青、緑、黄色の中から選べた時がありました。

他の子が「どれも可愛いね〜」と言っている中、私は絶対に赤が良くて。

他の色なんかありえない!赤!赤!赤!

と心の底で唱えながら、口先では「ほんとだね〜どれもいいね〜」と大人ぶった発言をしていました。すると案の定、赤の衣装は素直に意見を言った別の子の元へ渡り、私は緑を着ることに。

浮かない顔色。緑のスパンコールが照明に反射して、さらに血色が薄れて見えます。覇気がない。踊りも上手く見えない。リハーサルスタジオの鏡にはよろよろと踊る私が写っていました。

「緑でも佑奈のダンスはかっこいいよ?」

母になだめてもらって、本番はいつも通り踊ることが出来ましたが、一連の会話を振り返って私はさらに落ち込みます。

衣装ひとつでこんなになって…子供みたいだ…。(※子供です…)人と関わると未熟な私が露呈してしまう…。(※未熟なんだから仕方n…)

そんなこんながあって、私は単独行動することが多くなりました。こだわりを突き通しても一人なら誰にも迷惑はかかりません。カフェや映画はもちろん、焼肉や遊園地もひとりで楽しめるまでに成長(…?…退化?)をとげました。

しかし、2020年。

そんな私のもとに衝撃のニュースが走ります。
声優アーティストユニット「DIALOGUE+」のメンバーに選ばれたのです。

緒方佑奈エッセイ「わたしのなかのかくめい」:【緒方佑奈 晴れ、時々彩雲】_002

8人の新人女性声優で組むユニット。
正直最初は、嬉しさよりも不安が勝りました。

ダンスは好きだけど、歌は苦手でライブに行った経験は片手で数えるほどしかない…。

女の子8人のグループだなんて…。上手くやっていける自信が全然ない…。

過去にタイムスリップできるなら、「大丈夫!最高に素敵なメンバーが揃っているから、安心して頑張りな!」と言ってやるんですが、当然そんな機会が訪れることはなく。

とにかく殻に閉じこもった活動初期。プライベートなことも弱音も一切口に出さず、仕事が終わったら爆速で帰る”社交性ゼロ人間”としてユニット内に存在していました。単独行動ばかりしてきたから、人との距離の詰め方が分からなかったのです。

しかも、やはり…というべきか、歌が苦手すぎてライブの度に「私がユニットの足を引っ張っている」と申し訳ない気持ちになって。気持ちの伝え方も歌の上達の仕方も分からないから、落ち込みながら家で一人、自己流の練習をする日々が続きました。メンバーの前では見せなかったけど、泣きながら帰ることも多かったです。(我ながら不器用すぎる…)

そんな日々が数年続いたある日。ついに私はやらかしてしまいます。 とあるライブのリハーサルをする予定だったその日。いつも通り現場に入って、リハ着に着替えて、ストレッチをして。イヤモニをつけて、さあ始めようと音が耳に流れてきた瞬間。

自分でも驚くくらい大量の涙が目から零れました。メンバーも、バンドさんも、スタッフさんも、皆が見ている目の前で、盛大に泣き崩れる私。なんで…今はだめ…と涙を止めようとしたけれど、結局その日は立て直せなくて。リハーサルは見学することになりました。

明日からどんな顔して現場に行けばいいんだろう…と絶望の気持ちで帰り支度をしていると、「一緒に帰ろう」と声を掛けてくれるメンバーが。

それまでは深層の気持ちを他人に言ったことのなかった私。全員の前で泣くという最も恥ずかしいことをした後だったからでしょうか。帰り道、当時抱えていたモヤモヤをその子に打ち明けました。

「歌もコミュニケーションも何もかも、全部上手くできない自分が嫌だ!こんな世界爆発してしまえ!!」

すると…。
こんな支離滅裂な私の発言に対し、彼女は理解を示してくれるどころか、共感をし、赤坂の夜空に向かって共に叫んでくれたのです。

「そうだ隕石、降ってこい!!!」
「爆発だ!!!」

▷▶︎▷

その後、地球は爆発しなかったけれど。
その頃から、私の世界は変わっていきました。

かっこ悪いところを見せても大丈夫。

隣にいる仲間も“何か足りない自分”を抱えながら戦っている。

安心したら、見えるものが増えて。
解釈の仕方も変わります。

私たちはみんな、どこかかっこ良くて、どこかかっこ悪い…。ん…?ちょっと待って。
不器用な我ら人間…超可愛くない…?

赤坂の夜を経て、私は大人の階段を登ったのです。人間は可愛い。今では人間解析メモなる秘密のフォルダを作るほど、人間観察は趣味のひとつになりました。(※この人どんな人だろう?と自分なりに推察したメモが入っています)

DIALOGUE+に至っては中盤でお伝えした通り。最高に素敵な仲間たちなので、ほぼ毎週レッスンで会っていてもお喋りが尽きません。数ヶ月に一度は「うちらってほんと仲良しだよねw」と誰かが突っ込んでしまうほどの仲の良さです。

さらに最近は、setlogというアプリまで始めちゃって、毎日日常のあれこれを共有しています。家族以上の会話率…。さすがDIALOGUE+…。私たちはどこまでいってしまうのでしょうか?

緒方佑奈エッセイ「わたしのなかのかくめい」:【緒方佑奈 晴れ、時々彩雲】_003

今月24日に活動7周年を迎えたDIALOGUE+。

このメンバーだったから、私は今ここにいる。
本気でそう思っています。

みんな、こんな私を受け入れてくれて、本当にありがとうね。
この先も、行けるところまで、どうか一緒に。

p.s.
8月2日、LINE CUBE SHIBUYA にて、
DIALOGUE+LIVE2026「Dear our Summer」が開催されます。
2025 年から約一年間、この会場を目指して駆け抜けてきました。
悔いのないよう、想いを込めて。
最高の仲間と共に、私たちの夏をお届けします。

編集:川野優希
制作協力:ハナテンワークス株式会社

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