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ゲームの企画書やラフ画は、なぜ残らないのか──開発資料を「文化資源」として守るために、ゲーム会社・国・大学が手を組む最前線をレポート【CEDEC 2026】

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あなたが遊んだゲームの企画書やラフスケッチ、開発中に書かれたメモ書き──そうした「開発資料」の多くは、実はほとんど残らないまま失われていく
企業の”機密”であるがゆえに社外には出しにくく、かといって社内で体系的に保存されるとも限らないからだ。

だが、ゲームを文化として捉えるなら、これらは技術と歴史を伝えるかけがえのない一次資料でもある。『CEDEC 2026』のパネルディスカッション「ゲーム開発関連資料を『文化資源』としてどう残すか? ―公的機関との連携に向けての対話」では、この”散逸しやすい宝”をどう残すかが議論された。

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登壇したのは、学会・ゲーム企業・メディアなど、異なる立場からゲーム保存に取り組む6名。開発資料を、ゲーム会社・国・大学が連携してどう守っていくのか──その最前線を本稿で紹介する。

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取材・文/植田亮平
編集/kawasaki

意外と残らない、ゲームの開発資料たち

本セッションで議論されたのは、主にゲームそのものではなく、ゲームを作るにあたって大量に生まれる膨大な中間生産物……つまり「開発資料」だ。

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まずは現状がどうなっているかを知っておこう。
現在、ゲームを含むコンテンツ産業は政府の「戦略17分野」の中核に含まれており、国としてもこれまで以上に「ゲームの保存」は重要なミッションとなっている。

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立命館大学の尾鼻准教授はその一例として、文化庁が推進する「メディア芸術ナショナルセンター(仮称)」を紹介している(もちろんここに保存される資料には中間生産物──開発資料──も含まれる)。

ゲームを保存するためにはもはやゲーム企業だけの努力ではなく、そこに国や大学も加わって取り組んでいくことが重要だと尾鼻准教授は述べる。

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続いて、ZEN大学の細井教授から、日本と海外におけるメディア芸術館所蔵マップを比較した資料が紹介された。

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上が日本の所蔵マップ、下が海外の所蔵マップである。
青色で示されているのがゲームの項目なのだが、見比べてみると分かる通り、日本の所蔵数は海外に比べて圧倒的に「マンガ・アニメ」に偏っており、ゲームの所蔵点数は……

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わずかこれだけしかない。

海外のゲーム保存状況を見ると、その多くは大学などの研究機関やNPOなどの公的機関、いわば「産業の外」にある活動が主なケースであり、日本においてはこうした公的機関との連携が特に求められているとのこと。

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またその点に関して、スクウェア・エニックスの三宅氏からも、ゲーム資料を「外に逃がしていくこと」の重要性が語られた。
ゲーム会社は営利企業であり、社内の方針や開発チームの運営方法によって資料の管理体制が大きく異なるためだ。

元ファミ通編集長の浜村氏からも補足として、こんなエピソードが語られた。
曰く、メディアで働いていた時代、某ゲーム企業の開発者から浜村氏に「これ、あげるよ」とゲームの開発資料を譲られたことがあるとか。あくまで”昔の話”だが、現場としてはこのようなことが起こりうるのが現状だ。

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開発資料は未来への資産!スクエニが取り組む「SAVE project」

このような現状に対して、積極的に社内で開発資料の保存を進めようとする企業もある。その一つが、本セッションで三宅氏から紹介されたスクウェア・エニックスの「SAVE project」だ。

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内容は上記の通り、資料を保存するための社内チームを立ちあげたというもの。実際に動いている人数は少ないものの、これは非常に大事な試みだと三宅氏は語る。

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というのも、こうした活動はゲームの文化的資源を保全すると同時に、ゲーム開発においても重要な素材と成りうるからだ。過去の開発資料が社内に残っていれば、後にゲームを開発するうえでのアイデア創出に繋がるほか、過去作品のリマスターやリメイクを制作する際などにも役立つ。

強力なIPを複数保有するスクエニでは特に必須の取り組みと言えるだろう。

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どのような資料を残すべきかについて、株式会社ミラクルアーツの三津原氏からも意見が飛んだ。

開発資料と聞くと、大抵はイラストやデザイン案、企画書や仕様書などが思い浮かぶが、三津原氏はそれだけではなく、例えば複数人が書き込んだホワイトボードの写真やメモ書きなども重要な開発資料足りうると言う。むしろ、こうした何気ない資料こそが最も捨てられやすく、外部へ散逸していく恐れがあるのだ。

ZEN大学の細井教授も、そうした「資料の散逸」について警鐘を鳴らす。例えば、海外のゲームミュージアムにはゲームハードのモックアップなど、超がつくほど貴重な資料が展示されている。そうした資料が国内ではなく海外に収蔵されているという現実は、我々日本人が危機感を持って受け入れるべきことであると氏は述べた。

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とはいえ、日本のゲーム保存事業に関する年度予算は着実に増加傾向を示しており、冒頭に紹介したミュージアム計画含め、様々な支援が行われていることも確かである。

また、ニンテンドーミュージアムなどをはじめ、ゲーム産業側も自社の保有する開発資料を社内、社外問わずに保存・展示する取り組みが進んでいる。ゲーム資料を保存しようという意識は、今まで以上に業界全体で広がっていると見ていいだろう。

ゲームファンとしても、こうした資料が失われるのはとても悲しいことだ。私たちが愛するゲームの歴史を守るために、そしてゲームの正しい知識をこれからも参照できるように。引き続きこうした活動を支援し見守っていきたいと思う。

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。

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