犬派になりました。
なってしまったんだよ。きみもこれからワンコが大好きになりなさい。『Beast of Reincarnation(以下、ビースト・オブ・リンカネーション)』を遊ぶことでね。
本作『ビースト・オブ・リンカネーション』は、あのゲームフリークが開発する新作アクションRPG。はるかな未来、ひとりの少女と一匹の犬が、文明の滅んだ日本を冒険していくというタイトルです。今回はその第1章までを先行プレイする機会を得たので、その模様をお届けします。
同作は開発にUnreal Engineが使用されており、これまでのゲームフリークのスタイルからは大きく離れたフォトリアルなグラフィックが特徴。これまでに公開されたPVなどから、ゲーフリ版ソウルライクとか、和風『Horizon Zero Dawn』とか、いろいろ思った方も多いでしょう。
でも間違っています。
なぜならこのゲームは、「ワンちゃんといっしょ!」だからです。
執筆/恵那
お前の名前は今日から「ワンちゃんといっしょ!」だよ! わかったら返事をおし!
ゲームの名前なんて短くてわかりやすいほうが良いに決まってます。
そんなわけで、お前の名前はこれから「ワンちゃんといっしょ!」だ。「!」までが名前だからな。忘れるなよ。
そんなネコ派なのかイヌ派なのか混乱するような名前はちょっと……と考える中道穏犬派の方は、プレイアブル『もののけ姫』みたいなゲームだと思ってください。正直この説明でもそんなに間違っていないような気がします。
いまのうちに謝っておこうと思うのですが、この記事にはアクション性がどうとかパリィの受付時間がどうとかRBボタンを押すと何が出るとか、そんな話は一切出てきません。そういうのが知りたい方はファミ通さんの記事とか読んだほうがいいです。
いまからおれがするのはこいつの話だ!
本作のメインヒロイン・クゥちゃん(くん?)です。
犬を飼っている、実家にデカい犬がいる、これから飼う予定がある、神社に行ったらとりあえず狛犬を撫でてみる、つくばわんわんランドのヘビーユーザーである、毎日架空の飼い犬と散歩に出る。このあたりの方はぜひ遊んでみて欲しいです。
といっても本作、無添加ドッグフードと暖房のきいた寝床で魂まで去勢されてしまったような腑抜けたワンコは登場しません。むしろその逆、相棒のために自分よりはるかに巨大な敵に挑み、吠え立て、共に血を流しながら戦う高潔なワンコこそ、本作のクゥなのだ。
何が言いたいかというと、本作には寄り添ってくれるバディとしてのワンコの魅力が詰まっているんですよ。中でも筆者が一番好きなのが、クゥが主人公と一緒に戦って、一緒に血まみれになっていくところ。
ゲーム中では戦い続けていると、主人公の衣服がどんどん血で汚れていくんですが、それはクゥの方も同じ。戦いが長引くと、真っ白な毛が血でまだらもように。お互いボロボロになりながらも助け、寄り添ってくれるこの姿、めちゃくちゃ良くないですか?
本作、いわゆるソウルライクのようなゲームと比べると、アクション初心者でも遊べるようにいろいろやさしくなっている気配はあるのですが、決して難易度が低いわけじゃありません。
何度もやられ、傷つき、倒れ、なんとか活路を見出していくタイプのゲームです。そうした戦いを経てボロボロな状態でこれが出てくるとね、不思議なことにいつのまにかワンコが大好きになってます。
当然エサやりもできるし、ワンコを撫でることもできます。
激しい戦いのあとは、主人公もワンコもこんな状態。なんかこう、傷ついた者同士が寄り添ってお互いの傷を舐め合うみたいなの、良くないですか……?
ちなみにこの血まみれ状態は、拠点でシャワーを浴びることで解消できるのですが、なんならシャワーの仲間で一緒です。そして「シャワー!?」と聞いて色めき立った紳士諸兄には残念なお知らせですが、とくにそういうシーンはありませんでした。

もちろんこうしたところだけではなく、戦闘中もワンコはしっかり活躍します。冒頭で軽くお伝えしたとおり本作はアクションゲーム。操作できるのは基本的に主人公だけで、クゥは勝手に戦ってくれているのですが、プレイヤーはいつでもスキルの指示を出すことが可能です。
敵を拘束したり、高所へジャンプするために足場を作ってくれたりと、単なる攻撃技ではなくかゆいところに手が届く効果になっており、戦闘中はこれが頼もしい。しかもスキルの判定に成功すると体力の回復までしてくれます。好き。
世界よ、これが温暖湿潤気候生まれのファンタジーだ
そして本作、和風ファンタジー的な……というか『もののけ姫』みたいな雰囲気がすごい。個人的に気になっているのが、植生がやたら地に足のついた日本っぽいこと。端的に言うと、めっちゃ草が生えてます。冗談ではなくて。
多分に感覚的なものなのですが、海外のオープンワールドタイトルなんかと比べると、妙に湿度を感じると言うか、「これが太平洋高気圧と温暖湿潤気候が生んだファンタジーだ……!」という謎の圧が漂っている気がする。
そもそも本作は「植物」が大きなテーマ。物語の世界は「穢れ」と呼ばれる災厄によって侵食されており、それに侵された生き物は、植物と融合したような異形の存在「腐蝕体」へと変貌してしまう。
クゥや主人公のエマもその影響を受けているのですが、それによって植物の力を操ることができ、戦闘や探索ではその力を活かすことで超人的な能力を発揮します。
わかりやすいのが植物のつるで離れた場所に一瞬でジャンプしたり、空中に足場を作る能力で、探索ではこれがかなり便利。戦闘中にも敵の攻撃を回避したり、頭上からの急襲を狙ったりと応用できそうな範囲も広い。
敵として登場する「腐蝕体」も、異形の妖怪のような見た目ではあるのですが「もとは普通の動物だったんだろうな〜」ということが分かるくらいには原型をとどめており、妙な生々しさがあります。
登場するボスたちも、ケモノっぽさと植物っぽさを兼ねたような姿になっており、巨大な敵はまさに「大樹」。
そしてこういう敵に立ち向かっていくワンコがめっちゃ良い。ケモノっぽいかわいさや頼もしさと異形のカッコよさをいい感じで併せ持っていて、ならんで戦うのがめっちゃ楽しいんだ。
全体として、シリアスではあるけどダークというほどではなく、それでいてファンタジー要素がはりきりすぎていない。『もののけ姫』みたいな雰囲気と説明したのですが、「“日本風”じゃなくて“日本的”なファンタジーってこうじゃない!?」みたいな湿度を感じます。
あと、日本を舞台にしたポストアポカリプスものという側面を持ちつつ、神社も富士山も出てこず、代わり出てくるのが小河内ダム【※】の遺構の上に作られた街だったりするのが、なんかシブすぎてよかったです。なんでだよ。
※多摩川上流域を水源とする東京都奥多摩町にあるダム。











