『Half-Life 2』のアートを手掛けたことで知られるヴィクトル・アントノフ氏。その最期の作品となった『ガンズ・オブ・エスカトン』は、ガンマンという「生と死」と密接に結びついた存在を主人公に据えながら、そこへ意外にも「オカルト」を掛け合わせた一作だ。
そして──めちゃくちゃソウルライクだ。
主人公は、ピストルを携えた「ガンマン」。舞台は砂塵の舞う、荒廃した世界。一見すれば西部劇そのもののような光景が広がっているが、本作を唯一無二の存在にしているのは、この世界にオカルトな恐怖とダークファンタジーが重ねられている点だろう。
死にまくって覚え、焚き火でセーブし、巨大な敵に立ち向かう。やはり、めちゃくちゃソウルライクなのである。
2026年8月にドイツ・ケルンで開催されたGamescomにて、開発者であるEduard Malykh氏とともに本作をひと足先にプレイする機会をいただいた。その手応えを紹介していこう。
文/anymo
死んで覚える、まぎれもない「ソウルライク」
実際にプレイしてまず感じたのは、その徹底した「ソウルライク」らしさだった。
たとえば、自身を強化し、装備を変更する拠点であり、同時にリスポーン地点にもなる「焚き火」が登場する。
そして、何度も死ぬことを前提に上達していく手触りも、大きな特徴のひとつだ。チュートリアルを終えてすぐの最序盤に現れる敵は、たった3体。それでも、本作の要である「銃撃・パリィ・弱点狙い」を押さえていなければ、あっさりと何度もやられてしまうだろう。
戦闘では、敵の攻撃をパリィする場面も非常に多い。近接攻撃は相手の動きで、遠距離攻撃は音と銃口の光でタイミングを見極める。うまくパリィが決まると敵の動きがスローモーションになり、弱点へ弾を撃ち込みやすくなる。
その弱点を撃ち抜くために欠かせないのが、「コーデックス」だ。これは敵に関する情報が記されたノートのようなもので、敵と対峙しながらしばらく開いていると、狙うべき弱点と、撃つべき順番を示した絵が浮かび上がってくる。
なお、本作に登場する武器はすべて、実在の銃をモデルにしているとのこと。
今回メインで使用したピストルは、1発撃つごとにふたたびシリンダーを下げなければならない。いっぽうで、ウィンチェスターのようなレバーアクション式は装填を中断しても射撃を続行できるが、機構によっては中断すると撃てなくなる武器もある。ショットガンは、左右の銃身を撃ち分けることも可能だ。
一発一発にしっかりとした重みがあり、ガンマンらしい緊張感を存分に味わうことができる。
キャラクタービルドは、自分ではなく「仲間」を選んでつくり上げる
プレイを始めてすぐ、プレイヤーは6名のキャラクターから1名を選ぶことになる。
ただし、これはプレイヤー本人の姿ではなく、「ゲームの中で出会う仲間」だ。プレイヤーは彼ら彼女ら──開発者は「設計者」と呼んでいる──が持つ能力を解放し、それを自らのものとして自身のビルドをつくり上げていく。
今回確認できた「設計者」は5名。前半の3名は物理系、後半の2名は魔法系のアビリティをそれぞれ得意とするようだ。
HUNTER:
戦術的な準備と適応力を重視するアーキタイプ。敵の弱点を研究して戦略的な優位を得るとともに、特定の脅威に合わせた専用の弾薬を作り、待ち伏せを仕掛けることで、自分の思いどおりの条件で戦闘の主導権を握る。SHERIFF:
生と死のあいだの紙一重を渡り歩く存在。博打打ちのような笑みを浮かべ、ギリギリの瞬間に危険をパリィしてみせ、リスクを見せ場へと変える。彼とともにあれば、あらゆる遭遇がイチかバチかのカードゲームのようなものになる。DEADEYE:
デッドアイのスタイルは、正確さを何より重んじる。彼女は狙い澄ました射撃を連続で放って効率を最大限に高め、跳弾を用いて複数の標的を撃ち抜いたり、通常では狙えない角度に弾を届かせたりする。さらに敵から敵へと標的を切り替え、戦闘の勢いを保ち続ける。BOKOR:
儀式魔術と霊的な操作を極めたアーキタイプ。彼の「gris-gris」の呪文は敵を弱体化させ、生命力そのものを操る。こうした神秘的な介入を通じて、戦いの流れを支配する。REVEREND:
聖なる儀式と霊的な鍛錬を拠りどころとする。「Dust」を神聖な資源として管理しながら、崇高な目的のための祈りを捧げる。聖なる祈祷を通じて武器を祝福し、戦いの場では信仰の器として立ち続ける。※翻訳は筆者によるもの
今回のプレイでは、Eduard氏おすすめの「ハンター」を選択した。
スキルは特殊な視認能力で、範囲内の敵とその弱点がハイライトされ、先述のコーデックスを使わずとも優位に立ち回ることができる。ただし、能力を使うとHPの下に表示されるゲージを消費するため、使わないときはこまめにオフにするよう心がけたい。
砂塵吹き荒れる荒廃世界に顕現する、眼球の天使。西部劇×オカルトダークファンタジーな世界がたまらない
ここまでゲームプレイを中心に触れてきたが、ヴィクトル・アントノフ氏による世界観もまた、本作の最大の魅力のひとつだ。19世紀アメリカをモチーフにしつつ、宇宙論的で壮大な物語を描き出している。
西部劇的なエッセンスを強く感じさせるステージに現れるのは、デュラハンのような姿や、グロテスクな眼球といった、明らかに人智を超えた存在たち。それらは「見てはいけないナニカ」のような、根源的な恐怖と強烈な禁忌の感覚をプレイヤーに突きつけてくる。
主人公自身もまた、「知らないことばかり」のミステリアスな存在だ。冒頭で選んだ6人の仲間たちとの対話を深め、彼らを「思い出して」いくことで、物語と世界観を少しずつ掘り下げていく──そんな構成になっているという。
プレイ中、Eduard氏が繰り返し語ってくれたのは、本作が「急がず、基本を覚えれば一気に楽になる」「死んで上達していくゲーム」だということ。まさにソウルライクらしく、困難に立ち向かいながら自らの成長を実感できる作品だ。
さらに、巨大なレベルが全6ステージ用意され、各ステージにはボス1体と複数のミニボスが待ち受ける。探索なしのクリアでも約30時間、探索まで含めればさらにボリュームのあるプレイが楽しめるという。
『ガンズ・オブ・エスカトン』は2026年発売予定。砂塵と恐怖が吹き荒れる唯一無二の世界にロマンを感じ、なおかつゲームを通じて確かな習熟の手応えを味わいたいなら、本作はきっとピッタリの一本だ。









