あの『VA-11 Hall-A』の開発元Sukeban Gamesの最新作『.45 パラベラム ブラッドハウンド』が東京ゲームショウ2026に出展していたため、さっそく遊んできた。
本作は『VA-11 Hall-A』のような会話劇を主軸にした物語ではなく、敵とスピーディーな戦闘を繰り広げて戦う「サイバーパンクアクティブアクション」だ。試遊で感じたのは、サイバーパンクという世界観に“どっぷり”浸かるための想像力を搔き立ててくれる演出の数々だった。
敵の攻撃をひたすら回避してゲージを貯め、攻撃コマンドの入力時に”時を止める”緩急のある戦闘システムも際立っていたので、ぜひ見てみてほしい。
南米の街並みや人々の陰鬱な雰囲気がいろんな角度で伝わってくる
本作でまず印象的だったのは、”映え”のバーゲンセールのような”角度の多彩さ”だ。
プレイヤーは近未来を舞台とした南米の街並みを探索していくのだが……移動ひとつひとつで”いろんな角度に切り替わりまくる”ので、世界の外からこの舞台を覗いているような気持ちになる。主人公であり元兵士の「レイラ・ミカヅチ」を操作しているはずが、まるで「カメラ映像を切り替えて追っている」ような妙な感覚だ。
視点はエリアを移動するごとに切り替わり、1つのエリアはコンパクトにまとまっている。”数秒”で次のエリアにシームレスに変わっていくなかで、高いビル群が密集していれば下部から見上げ、らせん階段を降りるときは上から見下ろしたりとそのエリアの特色が目立ちやすい画角になっていると感じた。

道中には、1度きりしか話せない町の住人や、ゴスファッションに身を包んだ少女たちとの会話劇も繰り広げられる。彼ら彼女らの話しぶりからは、どこか閑散とした雰囲気や諦念のような空気が蔓延っているような気がした。それに、世界のどこからでも鉄や錆の匂いがしてきそうだ。
Sukeban Gamesの過去作『VA-11 Hall-A』では世界の全体像が説明されるというよりは、キャラクターそれぞれの個人的な視点や事情から語られる部分部分の情報をプレイヤーの想像力で補完する、「語られない部分」を感じ取る面白さがあったように思う。
本作でも、UIやテキストの風味はかつてのままに、エリアごとに異なる画角の演出や住人の小話がもたらす”断片的”な印象から、描かれていない部分の想像力を掻き立ててくれる『VA-11 Hall-A』的な懐かしさをおぼえた。
また、イベントやキャラクターなどのシーンは、普段の”引き”の強い印象とは対照的にアップのアニメーションで映し出されている。ここは「物語が動いている」と直感的にわかるメリハリの強い演出となっていた。
なお、試遊前にはブースにいたメインディレクターのクリス氏にいくつかお話を聞くことができた。同氏によると、本作の舞台は同氏が住むアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの風景や面白い壁・窓を実際に撮影し、背景にしたり参考にしているとのことで、実在の構造物からインスピレーションを得ているようだ。建物の造形にどこか“リアル”を感じたなら、それは“南米の雰囲気”そのものかもしれない。
クセのある部分も含めて、アクションが苦手な人にもプレイしてほしい
探索を続けていくと、特定の場所で敵と遭遇して戦闘に突入する。本作の戦闘は主に「ひたすら避ける」「時を止めて攻撃」のサイクルを繰り返して進行する。段階ごとに自分がいま何に集中すればいいかはっきりしており、途中でゆっくり考えこむこともできるので、スピーディーな戦闘に不慣れな人でも取っつきやすいシステムと言えそうだ。
まずはひたすら敵の攻撃を「避ける」ところから始まるのだが、試遊環境では敵の攻撃が極端に激しいということはなく、比較的避けやすいものだった。道中で遭遇する敵が複数になるほど複雑化していくものの「赤いランプで察知する」「近接攻撃を誘う」「投射物の着弾点を誘導する」などの基本的な部分を押さえておけば、繰り返していくうちに慣れていくことができるだろう。
アクションの苦手な筆者が苦慮したのは「攻撃」の部分だ。本作では「避ける」を繰り返すとゲージが溜まり、時を止めて「アクションメニュー」を選択できるようになる。内容は装備している銃で攻撃したり、あらかじめセットしているスキルを使用したり、アイテムを使うなどさまざまだ。
攻撃は一度のアクションで最大3回までセットすることができた。だが、最初のうちはとりあえず3回セットし続けていたものの、結果自分の被弾率が増えていくこともあった。
何度か挑戦していくなかで、アクションメニューは「入力中は時が止まっている」が、実行後の「攻撃動作中は時が動いている」ことに気づいた。
攻撃動作は隙が大きい。そのため、敵が攻撃を終えた“直後”に時を止める、先の展開がわからない場合は攻撃の回数を押さえるなどの工夫が必要とされた。
また、道中に出てきた中ボスらしき敵は特定の方向の攻撃を防御するバリアを展開したり、そもそも対象から遠すぎると武器の射程外となってしまったりと、時を止めるタイミングに加えて「方向」や「位置」に気を配る必要があった。
しかし、これらの気づきは試遊中、比較的すぐに発見できたものだ。敵がどんなことをしてくるかは見てわかりやすい上、敵の行動パターンや自分がどんなアクションを出すのが最適なのか、繰り返して覚えていくことも醍醐味の一つに感じられた。

「普段ビジュアルノベルばっかやってる人も、この作品をきっかけにアクションを楽しんでほしい」そうクリス氏は語る。『パラサイト・イヴ』を原点とした本作の戦闘システムは、時を止めて起こす「アクションメニュー」の質をどれだけ高められるかが面白さの“核”となるように思えた。
アクションに不慣れな人はまずは時を止めてみてじっくり考えるところから、熟練の人は行動の最適化やパターン化を楽しめる側面がありそうだ。

Sukeban Gamesの新作と聞くと、「次はどんな近未来ディストピアの世界観が見れるのか」と期待に胸を膨らませるゲーマーの方々も多いだろう。本作『.45 パラベラムブラッドハウンド』は、先述の通り会話劇を主軸にした物語ではなく、よりスピーディーなシューティングアクションが主軸となる。
だが、本作の“断片的”に見えて統一感のある世界観をどう楽しみ解釈するかは、プレイヤーそれぞれに委ねられているようだ。プレイフィールには想像力を掻き立てる演出の数々があり、戦闘の深みもある。
試遊ブースでは、これまで未公開だった本作の情報を含むタブロイド紙『.45PB TIMES』も配布されている。本文では語り切れなかった、濃密な世界観を補完してくれる登場人物やゲームの攻略情報、制作背景など、眺めるだけで楽しい資料となっているため、訪れてみてはいかがだろうか。











