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『ウィッチャー3』新DLC「追憶の調べ」の物語は“ダンディリオンの失踪”から始まる。山路和弘氏が再び演じるゲラルトの実機デモから見えてきた、「狂乱の伯爵」と呪われた井戸の伝説【TGS2026】

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『ウィッチャー3 ワイルドハント』の冒険が、約10年ぶりに帰ってくる。

CD PROJEKT REDは東京ゲームショウ2026のRed Bull特設ブースにて、『ウィッチャー3 ワイルドハント』の新拡張パック『追憶の調べ』のプレゼンテーションを実施した。
実機によるゲームプレイデモを交えながら、本拡張で描かれる物語の一端と、9月29日配信のリマスターアップグレードの内容が紹介された。

『ウィッチャー3』新DLC「追憶の調べ」、日本語ボイスによる実機デモをレポート_001

『ウィッチャー3 ワイルドハント』は2015年に発売され、全世界累計6500万本を突破したオープンワールドRPGの金字塔だ。 「追憶の調べ」は、拡張パック「無情なる心」「血塗られた美酒」以来となる完全新作の拡張パック。Fool’s Theoryとの共同開発で、2027年に発売が予定されている。

物語の主軸となるのは、シリーズおなじみのお調子者の吟遊詩人にして、ゲラルトの悪友でもあるダンディリオン。舞台は、彼の故郷である新地域「レッテン」だ。 そして特筆すべきは、今回のデモ版に日本語フルボイスが収録されていたこと。ゲラルト役はもちろん、山路和弘氏だ。

本稿では、デモで明らかになった物語のディテールと新要素を、プレイの流れに沿ってじっくりと追っていく。

取材・文/kawasaki

※開発中のバージョンを取材しているため、固有名詞をはじめとした本稿の掲載情報は今後変更される場合があります

今回のデモプレイ(約35分)で新たにわかったこと
・物語は、故郷レッテンに帰ってきたダンディリオンが失踪するところから動き出す
・ダンディリオンの帰郷の理由は、父の死。失意の中、望まぬ爵位まで背負わされていた
・新キャラクターとして、ダンディリオンのいとこリラが登場。冒険に憧れる自由奔放な女性で、ゲラルトと共に捜索へ出る
・物語の鍵を握るのは、レッテンに伝わる「狂乱の伯爵」ハンバートと呪われた井戸の伝説、そして人々が避ける不吉な森「茨の庭園」
・新武器「銀の鎖」や新怪物、そしてリマスターアップグレードによる戦闘・UI・ビジュアルの刷新もお披露目

祭りの翌朝から始まる、「楽園」レッテンの旅

デモは、ゲラルトの奇妙な夢から始まる。

ゲラルト「あの女は一体……。奇妙な夢だった。それにあの『井戸』は……」

目覚めた場所は、新地域レッテン。前夜はレッテンの伝統行事「ベルテイン」で夜通し盛り上がったらしく、ゲラルトもベルテインの伝統衣装に身を包んでいる。牧歌的な祭りの残り香が漂う、穏やかな朝だ。

プレゼンの進行役を務めたCD PROJEKT REDの本間覚氏(アソシエイトカントリーディレクター)はまず、リマスターアップグレードで強化されたビジュアルを見せてくれた。

より密度を増した植生、改善されたライティング、レイトレーシングやパストレーシングへの対応など、その改良は多岐にわたる。リマスターアップグレードは現行世代プラットフォーム向けの無償アップグレードとして、9月29日に配信予定だ。

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レッテンは本編と同様、自由に探索できるオープンワールド。デモでは船に乗って湖を渡り、ダンディリオンの屋敷を目指した。道中で目を引いたのが、NPCたちの振る舞いだ。

本間氏「実はNPCも船を利用するようになりました。『追憶の調べ』では『ウィッチャー3』のNPC管理をさらに発展させ、より生き生きとした、プレイヤーの行動に反応する世界を実現しています」

船だけでなく馬車を使うNPCの姿も確認できた。こうした小さなディテールの積み重ねが、世界の説得力を底上げしている。

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そして本間氏は、日本語版の制作についてこんなエピソードも明かしてくれた。

本間氏「今回も日本語版を制作するにあたり、久々にゲラルト役の山路和弘さんと収録をご一緒させていただいたんですけれども。もう10年以上ぶりとなりますが、お元気でいらっしゃって。また大量の音声を録ることになるんですけれども、非常に楽しみにしてらっしゃいました」

膨大なボイスを誇る『ウィッチャー3』の日本語版が、10年の時を経て再び動き出している。ファンにとってはこれだけでも朗報だろう。

ちなみに屋敷の到着直前、本間氏が「今回最も重要な新要素と言っても過言ではありません」と紹介したのは──なんと、犬を撫でられるようになったことだった(笑)。

喪に服す屋敷。そしてダンディリオンが消えた

ダンディリオンの実家は、立派な貴族の邸宅だ。本間氏によれば、彼は裕福な貴族の出身で、本名をジュリアン・アルフレッド・パンクラッツという。

だが、屋敷には黒い垂れ幕がかかっていた。祭りの和やかな空気とは打って変わって、一家は喪に服しているのだ。ダンディリオンが長い年月を経て故郷へ戻ってきた理由の一端が、そこにある。

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屋敷でゲラルトを迎えたのは、ダンディリオンの祖母。だが、当の本人の姿がない。

祖母「いいえ、時間どおりですよ。うちの孫は皆優秀でね。できた子ばかりなの。ただ、この通り1つだけ欠点がある。遅刻癖だ。待つ間にお茶でもどうかしら、ウィッチャーさん」

そこへ駆け込んできたのが、ダンディリオンのいとこ・リラだ。昨夜から彼の姿が見えず、部屋にも戻っていないという。しかも、届いた荷物の中身は──彼が肌身離さず持ち歩いていたはずのリュートだった。

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ゲラルト「ダンディリオンは酒のせいで友人や股袋、尊厳を失ってきた。だがリュートは初めてだ」

捜索隊を出すべきだと訴えるリラに対し、祖母は「空腹が二日酔いに勝れば顔を出すでしょう」と取り合わない。この応酬の中で、リラの口から重要な事実が語られる。

リラ「彼の様子を見たでしょ。父親が亡くなって失意のうちに帰郷した矢先に、望みもしない爵位まで背負わされて。きっと何か良くないことが起きたに違いないわ」

ダンディリオンは、父の死をきっかけに故郷へ戻っていた。あの陽気な吟遊詩人の帰郷の裏に、こんな事情があったのだ。

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さらにゲラルトが夢の話──井戸、茨、スミレ──を口にすると、リラは目の色を変える。

リラ「ゲラルト、それは悪夢じゃない。凶兆よ」

祖母「くだらないことをベラベラと。凶兆の夢? 馬鹿馬鹿しい。孫に余計なことを吹き込まないでちょうだい」

何かを知っていながら口をつぐむ祖母と、それに反発するリラ。家族の間に横たわる緊張感が、日本語の掛け合いで生々しく伝わってくるシーンだ。リラは祖母の制止を振り切り、ゲラルトと共にダンディリオンの捜索へ出ることを決める。

リラ「茨の庭園や井戸、狂乱の伯爵に関する謎よ。話にちゃんとついてきて。厩舎で落ち合いましょう」

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一新されたスキルツリーとインベントリ

ここでデモは数時間先へ。ゲラルトはおなじみのウィッチャー装備に着替え、銀と鋼の剣を携えている。もちろん製品版では、この時間をどう過ごすかはプレイヤー次第だ。

この場面で紹介されたのが、リマスターで刷新されたインベントリとスキルツリーだ。インベントリは項目がより分かりやすく整理され、UIも含めて全体的に洗練された印象。スキルツリーはオーバーホールされて成長システムが一新されており、各カテゴリーごとに、プレイスタイルに合わせて自由自在にゲラルトを育てられるという。

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「狂乱の伯爵」──レッテンに眠る血塗られた伝説

リラと合流したゲラルトは、捜索の道すがら彼女の推理を聞く。リラは、レッテンで一番不吉な場所とされる「茨の庭園」がダンディリオンの失踪に関係していると睨んでいた。

リラ「我が家に語り継がれてきた伝承があるの。庭園に隠された、呪われた井戸について」

ゲラルト「井戸か。夢にも出てきた」

さらにリラは、伝説に自身の祖先の名が刻まれていることを明かす。

リラ「伝説には私の祖先、ハンバートの名も出てくるの。庭園のせいで正気を失ったらしい。それでついた異名が『狂乱の伯爵』よ」

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ちなみにこの伝説、幼いリラに語って聞かせたのは、ほかならぬダンディリオンだったという。怖がらせようとしたのかと問うゲラルトに、リラは「私がねだったのよ」と返す。

昔から幽霊や怪物の物語が大好きで、中でも庭園の伝説には一番心を惹かれた──冒険に憧れ、祖母の言いつけに従う気もまるでない。いかにもダンディリオンのいとこらしい、自由奔放なキャラクターだ。

血を吸う茨、咲き誇るスミレ。不吉な森「茨の庭園」へ

馬を降り、2人は徒歩で森へ分け入る。

嫌な雰囲気の漂う、どうにも不気味な場所だ。レッテンの人々がここを避けるのも無理はない。楽園のような第一印象とは裏腹に、この土地は決して平和でのどかなだけの場所ではないのかもしれない。

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リラ「いいえ、ここはまだ端の方。なのに、もう寒気がする」

茨を切り開いて進んだ先で、2人は庭園の入り口に辿り着く。そこでゲラルトが感じ取ったのは、古いものと新しいものが入り混じった、おびただしい血の匂いだった。

ゲラルト「茨が血を吸っているように見えるが」

そして足元には、ゲラルトの夢に現れたスミレの花。中に入ろうとした人間のなれの果てを前に、リラは伝説の全容を語り出す。

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レッテンの村人が魔女を切り刻み、その復讐のためハンバートは村人たちを虐殺。その遺体が井戸に投げ込まれたのち、そこに庭園が生まれた、とリラは静かに伝説について語った。

魔女との恋、虐殺、そして死体の上に芽吹いた茨。牧歌的なレッテンの風景の裏に、これほど血生臭い伝説が眠っていたとは。

ゲラルトが茨の障害を強引に切り開くと、その先でリラとはぐれてしまう。友人探しのはずが、いよいよ本格的なウィッチャーの冒険になってきた。

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新武器「銀の鎖」と新怪物。刷新された戦闘システム

庭園の迷路でリラを捜索するゲラルトの前に、怪物たちが立ちはだかる。

リマスターでは戦闘システムも現代的にアップデートされており、カメラやキャラクターの動きの改善によって、より滑らかで正確な操作感が実現されているという。デモではイャーデンの印で敵の動きを封じる立ち回りも披露された。

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ここまではシリーズおなじみの怪物との戦いだったが、レッテンにはこの土地ならではの脅威も潜んでいる。登場したのは、虫の大群を身にまとった新怪物「スワーミオン」だ。

この強敵に対して本間氏が紹介したのが、ゲラルトの新武器「銀の鎖」である。敵に向けて発射して引き寄せたり、そこから新たな攻撃につなげたりと、戦い方の幅を大きく広げてくれる代物だ。鎖で敵の弱点を突けば、トドメの一撃を叩き込むこともできる。

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夢で見た井戸、そして井戸の底から響く声

戦いの末にリラと再会したゲラルト。彼女は「茨が分かれて道ができたの。まるで庭園が私を案内してくれたみたい」と語る。まるで庭園そのものに引き寄せられているかのようだ。

そして2人の眼前に現れたのは──ゲラルトが夢で見た、あの井戸だった。

かたわらには、苔に覆われ、植物と一体化したかのような騎士の亡骸。リラが「我が家の紋章……」とつぶやいた直後、デモはボス戦へと突入する。

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激闘の末、リラが呆然と語ったのは驚くべき言葉だった。

リラ「あれはハンバートだった。触れられた時、彼がしたことを感じたの。悲しみが波のように押し寄せ、喪失感に引き裂かれた」

伝説の「狂乱の伯爵」は、実在した。そしてリラが彼の血縁であることも、どうやら確かなようだ。

さらにゲラルトは、井戸の底からダンディリオンの叫び声を聞いたという。ダンディリオンの失踪、血を吸う茨の庭園、呪われた井戸──謎は尽きないが、1つだけはっきりしていることがある。彼の身に、何かが起きているということだ。

リラ「ダンディリオンが無事だといいけど」

そしてゲラルトが井戸の底に降り立ったところで、デモは幕を閉じた。

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ゲームプレイの合間に挟まれる解説やこぼれ話も含めて、終始和やかながら密度の濃いセッションだった。

そして今回のデモでは、ゲラルトと悪友ダンディリオンに加えて、『ウィッチャー』にもうひとつ欠かせない「美女」の存在が明らかになったことも記しておきたい。

デモの終盤には、心細くなったリラと抱擁する選択肢も現れたが、今回のデモプレイでは「彼女はダンディリオンのいとこなので」と、手を差し伸べるだけにとどめられた。 ゲラルトとリラの間柄がこの先どう転がるのか、気になるところだ。

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『ウィッチャー3 ワイルドハント』の新拡張パック「追憶の調べ」は2027年発売予定。まずは9月29日配信のリマスターアップグレードで、本間氏の言葉を借りれば「腕慣らし」をしながら続報を待ちたい。

10年の眠りから覚めたレッテンホーヴ家の物語が、どんな結末を迎えるのか。ダンディリオンの無事を祈りつつ、その日を待とう。

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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