「東京ゲームショウ2026」に、1990年代に登場したアクションゲーム『Putty』シリーズをNintendo Switch 2向けに再構築した『Putty World 35th Anniversary』(以下、『Putty World』)が出展している。
同会場内では、2027年第2四半期の発売に先駆けて、開発初期段階にあたるプレイアブルな技術・グラフィックスデモを体験することができた。
『Putty』は、パーソナルコンピューター「Amiga」向けに発売されたアクションゲームである。1993年にはスーパーファミコン向けに『Super Putty』(日本語タイトル『パティームーン』)が発売された。
2015年には、かつてAmiga用ソフトとして開発されながらも、販売が見送られてしまった『Putty Squad』がPlayStation 4向けに発売され、一部で話題となった。
そんな『Putty』シリーズの最新作となる本作は、単なるリメイクではなく「もし1990年代半ばの開発者たちが、当時から現在のハードウェアを使うことができていたら、どんなゲームを作っていたのか?」という“もしも”の発想から生み出されたタイトルだ。
今回、わずかな時間ではあったが、そのNintendo Switch 2版を実際にプレイするとともに、本作を手掛けるSystem 3の創業者兼CEOのマーク・ケイル氏へのインタビューも実施。35年の時を経て『Putty』を復活させた理由や、最新ハードだからこそ実現できた表現などについてお話を伺ってきた。

伸びたり縮んだりパンチを繰り出したり!多彩なギミックを活用してステージをクリアしていく2Dアクションゲーム
今回「東京ゲームショウ2026」に出展されていたバージョンは、あくまでも初期プレイアブル版の技術・グラフィックデモだ。そのため、ゲームがすべて完成しているというわけではなく、また操作性に関しても、現状は複雑すぎると考えているようで、リリースまでにさらなるブラッシュアップがおこなわれる可能性がある。
そのため、今回はそうした細かい点に触れるというよりも、実機で触れてみた率直な印象をご紹介していこうと思う。

プレイヤーが操るのは、Puttyと呼ばれる青い球状の体を持つ不思議なキャラクターだ。人型のキャラクターとは大きく異なり、Puttyはコントローラー操作によって自身の体を横や縦方向に大きく伸ばしたり、ときにはミサイルなどを避けるために小さく縮んだり、あるいは敵にパンチを繰り出して倒したりすることができる。
さらに、体全体を風船のように膨らませて、ふんわりと浮かぶなんてことまでできてしまうのだ。まるでゴムのように体の形状を自在に変化させながら動かせるのだが、こうした変形アクションこそが『Putty World』のゲーム性の核となる部分である。


筆者が個人的にこのゲームにふれて印象に残ったのは、ほかのゲームにはない独自性と、どこかで見たことのある懐かしさを両立させている部分だ。
たとえば、ステージ上に置かれているヘルメットは蹴り飛ばすことが可能で、その先にいる敵を連続して倒すことができる。『スーパーマリオブラザーズ』でノコノコの甲羅を蹴るアクションにも近い感覚だ。

また、画面上には兵士をはじめとしたさまざまなキャラクターが登場し、全体的に賑やかな雰囲気が漂っている。こちらはどこか『メタルスラッグ』を彷彿とさせるものがある。
ときには無敵状態になって、敵を蹴散らしていくといったことも可能だ。また、ステージ上に用意された扉から、シークレットレベルにアクセスすることもできる。こうした“無敵”や隠しステージは、2Dアクションゲームではおなじみの要素だ。



ステージ上にはさまざまなギミックが用意されている。バクダンを設置して敵に向けて蹴り飛ばしたり、時限爆弾で大きな爆発を起こして複数の敵をまとめて倒したりすることもできる。
初見ではこうした要素をうまく活用するのが難しい部分もあるが、ゲームに慣れていくにつれて、Puttyをより自由自在に操れるようになっていく楽しさも味わえそうだ。
いずれにせよ、今後さらなるブラッシュアップが進むことで、ゲーム自体もより遊びやすくなっていくだろう。そうした今後の進化も含めて、来年の発売が今から楽しみなタイトルである。

System 3創業者マーク・ケイル氏インタビュー。「もし1990年代当時に、現在のようなハードウェアが存在していたら、『Putty』シリーズはどのようなゲームになっていただろう?」という疑問から、シリーズの復活がはじまった

──35年という長い年月を経て、なぜ今あらためて『Putty』シリーズを復活させようと思ったのでしょうか?
マーク・ケイル氏:
「もし1990年代当時に、現在のようなハードウェアが存在していたら、『Putty』シリーズはどのようなゲームになっていただろう?」というところから考え始めました。その答えが今回の『Putty World』です。
『Putty』は私自身も好きなゲームですし、ファンの皆さんからも長く愛されてきました。35年が経った今、グラフィックやフレームレートなどを現代の技術でアップデートし、改めて作り直したいと考えたのです。
──オリジナル版の開発当時、本当はやりたかったけれど、ハードウェアの制約などで実現できなかったことはありますか?
マーク・ケイル氏:
当時は、Puttyというキャラクターをもっと生き生きと表現したくても、それを実現できませんでした。よりダイナミックな動きや表情など、キャラクターに生命を与えるような表現です。
そうした部分は1990年代のハードウェアでは難しく、Nintendo Switchでも十分ではなかった部分があります。今回のハードウェアによって、ようやく実現できるようになったと考えています。
──今回は『Putty』『Super Putty』『Putty Squad』の3作品をひとつにまとめています。その理由を教えてください。
マーク・ケイル氏:
以前にも『Putty』を復活させたことがありますが、そのときは作品の魅力を十分に引き出せなかったと感じています。クオリティ面でも、自分たちが納得できるものではありませんでした。
だから今回は、それをきちんとやり直したいと思いました。『Putty』シリーズに登場したキャラクターや要素を集め、シリーズ全体をひとつにまとめた、究極のレトロコレクションのような作品を作りたいと考えています。
──今回の作品で、特に注目してほしいポイントはどこでしょうか?
マーク・ケイル氏:
1990年代の任天堂やセガのゲームには、当時の西洋のゲームとは異なる独特の雰囲気がありました。色使いも美しく、非常に特徴的でした。
私たちは、そうした時代のゲームが持っていた感覚を大切にしています。同時に、System 3らしいゲームプレイやユーモアも盛り込みたいと思っています。
──System 3には『The Last Ninja』など、ほかにも多くのIPがあります。そうした作品を今後、新しいハードウェアで復活させる予定はありますか?
マーク・ケイル氏:
はい。今後はバックカタログについても活用していく予定です。私たちは、今でも多くの人たちが欲しいと思っている作品を数多く保有しています。『The Last Ninja』のコレクションをはじめ、過去のさまざまなタイトルについても、今後展開していきたいと考えています。
──System 3は創業以来、独立系企業として自社IPを保有し続けています。ゲーム業界が大きく変化する中で、それを続けられた理由は何だと思いますか?
マーク・ケイル氏:
現在では私たちが持っているIPには非常に大きな価値があります。ただ、20年前には、こうしたIPがレトロゲーム市場やコミュニティにとって、これほど価値のあるものになるとは考えられていませんでした。
私たちは時代に合わせて、新たな市場に向けたゲームを作り続けてきました。レースゲームに取り組み、Ferrariと協力したこともありますし、『Constructor』のような作品も市場に合わせて展開してきました。
そして今、プレイヤーが再びレトロゲームのスタイルを楽しむようになっています。だからこそ、単純なHD化ではなく、操作性やグラフィックを現代向けにアップデートしながら、クラシックゲームに新しいひねりを加えることに意味があると考えています。
──現在の開発状況と、発売時期について教えてください。
マーク・ケイル氏:
『Putty World』は、2027年第2四半期のリリースを予定しています。また、ほかのタイトルも開発パイプラインにあり、今後発表していく予定です。今年10月にはSystem 3の45周年も迎えますので、まずは今回の作品を発表し、その後もさまざまな展開を行っていきたいと考えています。
──ゲーム全体では、どれくらいのボリュームになるのでしょうか?
マーク・ケイル氏:
ゲームには75のレベルがあり、その中にはシークレットレベルも存在します。敵は100種類ほど登場します。全体をプレイする場合、およそ10時間程度のボリュームを想定しています。
──今回の「東京ゲームショウ」については、どのように感じていますか?
マーク・ケイル氏:
東京ゲームショウは、私たちにとって非常に重要なイベントです。30年以上にわたって訪れてきましたが、ここには常に新しい発見があり、私にとって大きなインスピレーションになっています。
日本のゲームメーカーは、プレイヤーが何を求めているのかを非常によく理解していると思います。私は日本市場を、ビデオゲームにおけるイノベーションの中心のひとつとして、ずっと尊敬してきました。
『スペースインベーダー』の時代から、日本のゲーム会社は常に新しい遊びを生み出してきました。東京ゲームショウは、そうしたイノベーションを発表する場として、今でも非常に重要だと思っています。
──最後に、本作の発売を楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願いします。
マーク・ケイル氏:
日本のファンの皆さんには本当に感謝しています。また私個人としては、任天堂にも特別な感謝があります。
ゲームをデジタルだけのものにするのではなく、パッケージやコレクターズエディションとして残していくことは、ビデオゲームの歴史を保存するうえでも重要だと思っています。日本のファンの皆さんのサポートに感謝しています。ありがとうございます。(了)



