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タクシーの走行距離で美少女を育成…!? 下町のタクシー会社が“人間とクローンが戦う壮大な世界観”のスマホゲームを開発した理由を聞いてみた

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下町と企業PRが目的!

――ところで、こちらの会社に伺ってまず思ったんですが、下町風情あふれるというか……こちらの建物も木造で、入口の階段もずいぶん急で(笑)。

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中澤氏:
 そうそう。この入ってくるところの階段が急ってよく言われます(笑)。まさに下町の会社ですね。よく「建て替えないんですか?」と聞かれるんですけど、とてもじゃないけど建て替える余裕はないんです。昔から「タクシーは建屋でやるんじゃない」っていう考えでやってます。

 でも新卒採用していくとなると、そういうところも考えなくちゃいけないのかなあ、とは思いますけどね。でもいまさら、この昭和感は崩せないんで。逆にその昭和感を強調する形にしていったほうがいいのかなあとは思っています。玄関のところに互助交通の社章を入れた大きなのれんがかかっていたでしょう。あれは去年作ったものです。味噌屋さんかなにか、みたいでしょ(笑)。

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互助交通の社章が入ったのれん。

――逆に昭和感を演出するために作られたと。そういうところでも、ひとつの差別化になっていますね。

中澤氏:
 あれだけでもだいぶ玄関のイメージが変わりますんで、そういうことを少しずつ進めていければとは思っています。
 タクシーってどこを使っても大差ないと思っている人も多いと思うんです。そこでうちの会社を少しでも選んでもらえるように、と。どうせ乗るなら互助交通の名前を覚えてもらって、うちのタクシーを選んでもらえるように、という思いがあります。うちは80台を保有していて、下町だけでなく都内全域を走っていますから、都内どこでも電話してもらえれば行きますよ。

ヨッピーさんの記事がきっかけでネットに目覚めた…!?

――それにしても互助交通さん、色々な取り組みをされているイメージがあります。確か以前も採用で、面白い記事を出してらっしゃいましたよね。

中澤氏:
 ヨッピーさんとラーメンを食べているやつですね(笑)。
 3年前にホームページ診断をしてくれる会社さんに見てもらったら、「書いてあることはいいけど、もう古い。これから世に見てもらいたいなら、デザインを変えていかなきゃダメですよ」とダメ出しされてしまいました。そんな時期に、ちょうど他の代理店さんから「バーグハンバーグバーグさんと一緒にやりませんか」というお話をいただいて、あれよあれよという間にヨッピーさんと組んで記事をやらせていただきました。

 ですから、3年前のあの記事がきっかけです。あそこらへんから、だんだんうちの会社の方向性も変わってきました(笑)。

――ネットでバズることの味を覚えてしまったわけですよね(笑)。

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中澤氏:
 ええ、おかげさまでねえ(笑)。「あの記事を見た」っていう若者が乗務員として結構面接に来てくれたこともあります。びっくりしましたけど、効果はすごくありましたね。

――タクシー会社全体にとって、やはり若者が少ないということに危機感があるんでしょうか。

中澤氏:
 それはありますね。つい先日も23区でタクシーの初乗り410円が解禁になりましたし、なんとか差別化しようといろんな会社が配車アプリとか作っていますけども、意外と世の中の人って、そんなのには興味ないと思うんですよね。すごく便利になるわけではないし。

 なので、何か発信していきたければ、今までに無いことをぶつけていかないと、誰も見てくれないのかな、という感じはしています。

 そういう意味では、昨年から導入した“痛車”のタクシーは意外とインパクト高かったですね。こういう企画をもう少し増やしていければと思いますし、それを見て面白そうだなと思って入ってくれた若手の新入社員たちで、デザインを出来るような子がいれば、その子たちにデザインしてもらった痛車のタクシーを走らせても面白いな、と思います。そういう取り組みは常にやっていきたいと思っています。

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互助交通の痛タクシー。強烈なインパクトを放っている。

背景にあるのはタクシー業界への危機感

――今乗務員さんの平均年齢ってどのくらいなんですか。

中澤氏:
 60歳くらいです。それが今年の春、新卒の子が10人くらい一気に入ってくれたので、それだけで2歳くらいは下がりましたね。

――新卒を10人も! 結構積極的に採ってらっしゃいますね。

中澤氏:
 今年の春で3年目なんですけど、新卒採用も積極的にやる方向にうちの会社はシフトしました。タクシー会社って中途採用がほとんどで、新卒採用をしているのは大手のごくわずかに限られます。今まで私たちの業界って新卒採用ってやってこなかったんです。特にうちみたいな中小は、全くやってないですね。

 運転スキルなどの問題で不安はあったんですけど、実際に新卒採用をしている大手さんに話を聞くと、「若い子は意外と慎重で、そんな大きな事故にはならない」という話を聞きました。それだったら、そういう子たちを育てていく方向に変わっていこうってことにしました。

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公式サイトでは、「新人Momoco プロドライバーへの道!!」をはじめ、さまざまなコンテンツが日々更新されている。
(画像は互助交通の公式サイトより)

――就活イベントにも参加されているんですよね。

中澤氏:
 イベントも出ていますし、マイナビやリクナビの新卒採用サイトにも出ています。ほぼ毎週のように会社説明会もやっています。そこでもやはり痛車をやるような気風をPRしているんですが、ひとつ他にはない武器にはなっていると思います。

 合同説明会って、たくさんの企業がありますよね。そういう中で、学生さんが「何の会社なんだろう?」って思って、ブースに足を止めてくれたときに、いきなり痛車の写真がバーンって貼ってあると、この会社何やっているんだろうって思いますよね(笑)。

――なるほど、そう考えるとすごく効果ありますよね。

中澤氏:
 最初のうちは「タクシー会社なんて」と思ったとしても、しばらく経った時に「もしかしてあの会社面白いかもな」と思い出してもらえればいいなと思います。超会議でも一人でも多くの若い人に関心を持ってもらえたらいいですね。

ニコニコ超会議2017出展…キッカケはドワンゴ社員の忘れ物!?

――ところで、来週のニコニコ超会議2017にも出展されるということですが、どんなことをされるんですか?

中澤氏:
 せっかくゲームもリリースしたので、「超タクシー with GOJO WORLD」というブース名で、ゲームキャラのラッピングで痛車のタクシーを展示します。通称「痛クシー」です(笑)。

 車種も普通のセドリックじゃなくて、山高帽のようなレトロなフォルムが特徴の「ロンドンタクシー」をフルラッピングします。うちでは「記憶に残るようなタクシーに」と2015年からロンドンタクシーを導入して走らせているんですが、これは見たら相当インパクトがあると思いますよ。

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シックな印象の「ロンドンタクシー」。ニコニコ超会議2017では、これが「痛クシー」に変身するらしい。

 それから、星乃まみさん@ma5mi2ta3n)と亜羽音さん@ahanechan)という有名コスプレイヤーさん2人にお願いして、撮影会のようなちょっとしたイベントもやりたいと思っています。実は前回の2016年も出て、2年連続の出展になります。昨年も痛車を展示させてもらったんですが、今年はさらにグレードアップしますよ。

https://twitter.com/gojyo_taxi/status/838526481806479360

――タクシー会社の出展はもちろん互助交通さんだけですが(笑)、そもそもなぜ超会議に出ようと思ったんですか?

中澤氏:
 以前私の知人がたまたま超会議に出ていて、それをちょっと見に行きまして。会場に行ったらもう若い人の熱量をものすごく感じることができて、若い子たちに発信するんだったらこういう場に積極的に出なきゃダメだよねと思ったんです。

 最初、ドワンゴさんがやっているということも知らなくて。ニコニコ超会議に出たいと思ってもホームページに連絡先が見つからなかったんですよ。そんなときにたまたま、ドワンゴの社員のお客様がうちのタクシーに忘れ物したんですよ。

 で、忘れ物を取りにきたお客様に、「うちニコニコ超会議に出たいんですけど、どうしたらいいでしょうか?」とお話をさせてもらったら、「担当に話をしておきます」ということでご連絡いただけて。あのときはご迷惑をおかけしました、あれは助かりました(笑)。

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――いやー、そんな偶然もあるものなんですね。出てみて感触はどうでしたか?

中澤氏:
 かなりよかったです。有名な企業でもないですけれど、それでもやはり関心は持っていただけました。東京ではまだ痛車を使っているタクシー会社はなかったもので、ネットでも結構拡散していただいて、ばーっと評判になりました。

――ちなみに昨年展示された痛車って、今も現役で走っているんですか?

中澤氏:
 まだ会社の車庫に置いてあるんですけど、実はタクシーってフルラッピングしちゃうと都内だと仕事できないんですよ。都内だとドア4枚までしかラッピングが認められてなくって。痛車ってラッピングするだけでデザイン料を除いて60万円くらいかかるんですが、もう一年経つので、そろそろラッピング剥がしちゃうんです。なのでドア4枚だけの痛車も別に用意して、そちらは都内でもバリバリ走れるようにします。

――ありがとうございました。超会議も楽しみにしています!

取材・文
電ファミニコゲーマー編集部員。映画を観るのとアナログゲームをするのが好き。
Twitter:@_k18

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