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幻のゲームキューブ版『MOTHER』のビジュアルをモノリスソフトの本根康之氏が公開。フェルトテイストで80年代アメリカを表現

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 モノリスソフトに所属する本根康之氏は自身のTwitterアカウント上で、幻のゲームキューブ版『MOTHER』に関する情報を発信している。

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(画像は本根 康之(@honnesan)さん | Twitterより)
幻のゲームキューブ版『MOTHER』のビジュアルをモノリスソフトの本根康之氏が公開。フェルトテイストで80年代アメリカを表現_002
(画像は本根 康之(@honnesan)さん | Twitterより)

 『MOTHER』シリーズは、コピーライターやタレントとして活動する糸井重里氏によって立ち上げられたRPGである。1作目は1989年にファミリーコンピュータで発売された『MOTHER』。当時のRPGはファンタジー世界が主流だったが、本作は現実寄りの世界観が大きな特徴であった。

 主人公たちはバットやフライパンといった武器を扱い、回復アイテムは実際にありそうな食べ物をデパートやハンバーガーショップで買い、時には風邪をひいたり喘息になったりもする。そして、PSIと呼ばれる超能力を駆使しながら世界の危機に立ち向かうのだ。

 2作目は1994年にスーパーファミコンで発売された『MOTHER2 ギーグの逆襲』である。現実的な世界観やPSIといった要素は変わらないが続編ではなく、前作をベースにしつつ完全に新しく描かれた一作となっている。本作には有名なエピソードが多く、TV CMにタレントの木村拓哉氏が出演したことや、「大人も子供も、おねーさんも。」というキャッチコピーで知っているという人も多いだろう。

 また、開発が非常に難航している際、当時HAL研究所の社長であった故・岩田聡氏が協力しに行き、「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」と語ったこともよく知られている。

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(画像はMOTHER | Wii U | 任天堂より)
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(画像はMOTHER2 ギーグの逆襲 | Wii U | 任天堂より)

 そして、3作目となるはずだった『MOTHER3』も開発がうまくいかなかった。はじめはスーパーファミコン用タイトルとして開発されたが、時間がかかりニンテンドウ64向けタイトルに変更。イベントでプレイアブル出展が行われる程度までは開発が進んだものの、結局は2000年に開発中止が決定してしまった。

 しかし、2003年4月に再び『MOTHER3』の開発が行われていることが明らかになる。今度はゲームボーイアドバンス向けのタイトルとなり、2006年4月に無事発売されることになる。『MOTHER2 ギーグの逆襲』から10年かけてようやく完成したということもあり、その反響はとても大きいものだった。

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(画像はMOTHER3 | Wii U | 任天堂より)

 以上が『MOTHER』シリーズのおおまかな歴史となるが、実は『MOTHER2 ギーグの逆襲』と『MOTHER3』の間にもうひとつ幻のタイトルが存在したことが明らかになる。『クロノ・トリガー』『ゼノギアス』などのグラフィックを手がけた本根康之氏は、2003年夏にゲームキューブ版『MOTHER』の話が持ち上がったと語っているのだ。

 

 このツイートによると本根氏は、岩田聡氏(この時は任天堂の代表取締役社長)と糸井氏が同席する会議に出席し、フェルトテイストで80年代アメリカを表現したビジュアルを披露したという。糸井氏はこれを評価したものの、そもそもこのタイトルの開発に乗り気ではなかったようだ。

 ゲームキューブ版『MOTHER』を立ち上げようとしたのは岩田氏のようだったが、うまくいかずに話は流れてしまった。誰にも知られず消えていくだけのビジュアルをひと目見ることができただけでも、シリーズファンにとっては大きな喜びとなるだろう。

ライター/渡邉卓也

ライター
幻のゲームキューブ版『MOTHER』のビジュアルをモノリスソフトの本根康之氏が公開。フェルトテイストで80年代アメリカを表現_008
渡邉卓也
「マリオの乳で育った男」と自称するフリー・ゲームライター。いくつかのメディアでゲームニュース、レビュー、コラムなどを担当。自分が書いた記事で気に入っているのは「なぜこのゲームが「モンハン」の次に売れるのか…? 『Ice Station Z』から見る3DSという市場の特殊性とゲームの評価の難しさ」。好きなキャラクターは「しずえ」と「カービィ」。
Twitter:@SSSSSDM

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