2020年末にサポートの終了が予告されているAdobe社の「Flash」。2021年以降はAdobe Flash Playerのアップデートや配布も中止されるということで、当のAdobe社も開発者にFlashからHTML5やWebAssemblyに移行するよう呼びかけている。
1996年に公開されてから20年以上の歴史を持つFlashのサポートが終了するということで、消えようとする大量の資産を保存しようとする取り組みも活発に行われている。ひとつはフラッシュコンテンツを収集し、ローカルで遊べるようにした「Flashpoint」。
これとは別に、Adobe Flash Player自体をエミュレートするプログラム「Ruffle」の開発が、FlashポータルのNewgroundsの元社員であるマイク・ウェールズ氏の手によって進められている。
Ruffleはgithubにてソースコードが公開されており、ローカルのFlashコンテンツをアップロードすることで、ブラウザ上での動作を確認することができる。とはいえ、最終的な目標はAdobe Flash Playerのエミュレーションだ。デスクトップ上での動作のほか、ゆくゆくはブラウザの拡張機能として動作し、ウェブ上のFlashコンテンツを発見してRuffleと置き換え、Adobe Flash Playerと同様に再生することを目指している。
Newgroundsでは内部的にRuffleが採用し、ブラウザのプラグインを必要としていない。Ruffleを採用したすべてのFlashコンテンツでエミュレーションが正常に機能しているかを追跡しており、タッチパネルで動作するかも検証している。最初はアニメーションをカバーし、ゲームもカバーしていく予定となっている。
サポート終了に先駆け、Adobe Flash Playerはすでにセキュリティ更新のアップデートのみが行われている。そのため、ニュースになるのは脆弱性の話が多い。フォーラムに投稿された記事では、Ruffleは完全なオープンソースプロジェクトとして進行し、セキュリティの問題はブラウザに起因するもののみだとウェールズ氏は語っている。
Ruffleのロードマップも公開されており、現在は基本的なアニメーションと音声出力などを検証中だ。Newgroundsではテストとしてアニメーション作品「Heroes of Cybertron」が紹介されている。推定2ヶ月の検証の後、簡単なゲームコンテンツでの動作検証に移る予定だ。
消えゆくコンテンツを保護する取り組みは様々な形で行われている。中には間に合わずに歴史の闇の中に消えていったものも少なくないが、Flashに関しては保存の取り組みが成功しつつあるといえるだろう。
「Flash倉庫」と聞くと懐かしさを感じる方も少なくないのではないだろうか。有志の手によって、未来にFlashを保存する倉庫の開発が進められている。
ライター/古嶋誉幸