ゲームが新型コロナウイルスを止める可能性。ワシントン大学の博士が『Foldit』のプレイをゲーマーに呼びかけ、タンパク質の立体構造を用いたパズルゲーム

 ワシントン大学のタンパク質設計研究所の研究者ブライアン・コエプニック博士が、無料パズルゲーム『Foldit』をプレイし、新型コロナウイルスの抗ウイルス薬研究の一助になるように、YouTubeで呼びかけている。

 ブライアン・コエプニック博士が言及している『Foldit』は、タンパク質の立体構造を利用したパズルゲーム。2008年にリリースされ、現在でも更新が続いているタイトルである。開発したのはワシントン大学で、実はブライアン・コエプニック氏は本作の開発者のひとりだ。

 このゲームの基本的なルールは、三次元で再現された複雑なタンパク質の立体構造を「折りたたむ」こと。というのも、タンパク質は折りたたまれた状態で作用しており、研究のためには立体構造を解析する必要がある。分子は一定の法則性があるものの、実はこの一般的な法則はいまだに発見されていない。そのため、タンパク質の長くて複雑な形状をスーパーコンピューターで解析しようとしても、無限にも等しい多種多様な選択肢があるため、膨大な時間を要することになる。

 そこで役立つのが人間の直観だ。分子の一定の法則を無意識的に見出して、タンパク質がどのような形状をしているのかを推測して、パズルを解くことができる。本当にあり得る構造かどうかはゲームが判定し、存在すればスコアとして反映される。スコアはランキング形式となってWebサイトに反映され、解答は研究チームへとフィードバックされる。こうしてパズルの解答が実際の研究に役立てられるというわけだ。本作は過去にも、エイズ関連のタンパク質M-PMV PRの構造をあるプレイヤーが3週間で解いたりと、すでに多くの実績があり研究に貢献している。

 ゲームはWindows、Mac、Linuxで起動することができ、化学の専門知識がなくとも、プレイできるようになっている。最初は単純なパズルから実際のタンパク質に近い複雑なパズルへと挑戦できるチュートリアルも実装されている。2月27日には、新型コロナウイルスの抗ウイルス薬の開発に一助となるパズルが追加アップデートされており、開発陣は多くの人が参加するように呼びかけている。『Foldit』をプレイするには公式サイトからインストールする必要がある。

 なお、すでに新型コロナウイルスの薬については、さまざまな研究機関が動いており、今からゲームをプレイしても遅いのではないかという指摘に対して、ブライアン・コエプニック博士は海外メディアTheScientisにて回答。新型コロナウイルスの戦いは長期的となり、これからも動物や人間の臨床試験が必要となっていく。科学者はさまざなオプションを用意しておく必要があるとして、次なるパンデミックでも備える意味でも『Foldit』は有効であるとしている。

(画像はYouTube「This COMPUTER GAME could help stop coronavirus」より)
(画像はYouTube「This COMPUTER GAME could help stop coronavirus」より)

 もしかしたらあなたの導き出したパズルの解答が、新型コロナウイルスに有効な一手となるかもしれない。気になった人は『Foldit』をプレイしてみてはいかがだろうか。

ライター/福山幸司

ライター
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman
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