現地時間3月18日夕方、ライブ配信プラットフォームのTwitchでアワードイベント「Independent Games Festival」(以下、IGF)が中継され、Adam Robinson-Yu氏の制作したアドベンチャーゲーム『A Short Hike』が大賞とオーディエンス賞を受賞した。
「IGF」は、過去1年に発売された革新的で優秀なインディーゲームを表彰するアワードイベント。例年通りであればアメリカ・サンフランシスコで開催されるゲーム開発者会議(GDC)のなかで表彰式を実施する予定だったが、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、Twitchでのライブ配信を利用して受賞作が発表された。
今回大賞に選ばれた『A Short Hike』は、おだやかな風景の広がる「ホークピーク州立公園」を自由に探索し、ハイキングや登山を楽しむオープンワールドアドベンチャーゲームだ。一般投票者が選ぶオーディエンス賞も獲得しており、開発者と一般のゲーマーの両方から高い評価を受けた。
都会での生活に疲れたツバメの主人公「クレア」は、癒しを求めて「ホークピーク州立公園」を訪れる。ふもとの山小屋でクレアはある人からの連絡を待っていたが、山のふもとは電波の通りが悪い場所であった。「ホークピークの頂上であれば電波が通るかもしれない」と聞かされたクレアは、連絡を取るために山の頂上を目指すことになる。
本作は、『どうぶつの森』シリーズからの影響をところどころに感じさせつつも、異なるゲーム性を持つ作品である。もちろん、自由に動き回れるオープンワールドの設計であるため、プレイヤーは上記の目標をすみやかに達成する必要はなく、自分のペースでゲームを楽しめる。
公園内では、動物たちが散歩や砂遊びをはじめ、クライミング、キャンプ、スケッチ、釣り、マラソンなどさまざまなアクティビティを満喫している。彼らに話しかけると、ちょっとした世間話を聞かせてくれるほか、おつかいを頼まれる場合もある。
また、公園内にはコインが落ちていたり、いかにも掘りかえせそうな地面を見つけられるので、公園を巡るついでにおつかいをこなしていくと、スコップや釣り竿などのアイテムをもらえる。これらのアイテムは自分でも使うことができるので、遊びの幅が自然と広がっていく。
もうひとつの特徴的な要素として、プレイヤーキャラクターは「Golden feather(金のはね)」と呼ばれるアイテムを入手すれば崖のぼりや、羽を広げて滑空することができるようになる。これによって行動範囲が広がる点も、遊びの幅を広げる意味では重要な要素といえる。
じゅうぶんに公園でくつろぎ、アイテムがある程度揃ったならば、ちょうど「ホークピーク」へ挑戦できるようになっていることだろう。山の中腹では険しい崖がそびえるほか、山腹には雪がふり、翼が凍り付いて飛べなくなるほどの寒さが襲う。
山に挑むまでは「スローライフを満喫できる穏やかなゲーム」だと感じる人も多いだろうが、山に挑む段階になると、ルート構築や滑空の活用など、アクションゲームとしての一面が見えてくるようになる。
厳しい登山を終えて山頂にたどり着けば、きっと息をのむような素晴らしい風景が、あなたの苦労と日々の疲れを癒してくれることだろう。
制作者のAdam Robinson-Yu氏は当時、現在も開発中の『Untitled paper RPG』の作業で疲れ切っており、「自らの心を癒し、穏やかな気持ちと新たな発見を呼び起こす何かを作りたい」との思いから『A Short Hike』を制作したという。
『A Short Hike』は、3月20日午前1時まで、Epic Gamesストアにて無料配布されている。また、3月24日(火)まで、Steam版が25%オフで購入可能なセールも開催中だ。
また、Adam Robinson-Yu氏を支援したい場合には、itch.ioから購入すれば購入金額を直接還元させることもできる。こちらはDRM形式の本体に加えてSteamキーも付属するため、興味があれば、itch.ioからの購入で『Untitled paper RPG』の制作を応援してみてほしい。
ライター/ヨシムネ