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ビデオゲームでも強いインパクトを残した「志村けん」。PCエンジンで発売された『カトちゃんケンちゃん』や専用の『ハイパーオリンピック』など当時話題に

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 タレント、コメディアンの志村けんさんが3月29日に死去したことが本日30日、判明した。
 各種報道によると、志村さんは17日から倦怠感を感じ自宅で静養していたところ、19日には発熱と呼吸困難があらわれ、20日に重度の肺炎と診断され緊急入院。23日に新型コロナウイルスに感染していると判明した。人工心肺装置を使って治療を行っていたが、29日午後11時10分に帰らぬ人なった。70歳だった。

 志村さんといえばビデオゲーム関連でも強いインパクトを残した人物であり、それがPCエンジンで発売された『カトちゃんケンちゃん』だ。

 加藤茶さんとコンビを組んで一世を風靡したテレビ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』を題材したゲームで、高い難易度の横スクロールアクションゲームとなっている。先日には復刻機「PCエンジン mini」が発売されたが、同作へ収録されるタイトルとして『カトちゃんケンちゃん』を望むユーザーの声が多かったのも記憶に新しい。

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(画像は駿河屋『カトちゃんケンちゃん』より)

 顔のグラフィックが不気味なほど作り込めれた2頭身のキャラクターが特徴で、「オナラ攻撃」など、番組譲りの下品なアクションが特徴。テレビCMには加藤さん、志村さんとも出演した。

 開発がハドソンということもあり、今回の訃報に際して、高橋名人は本作の思い出をブログで語っており、CM撮影時や公開収録で志村さんにお世話になったことを明かしている。

※映像はユーザーMrRetroGreg氏によって投稿されたもの。

 ほかにも志村さんの代表的なキャラクター「バカ殿様」が、1985年に殿様版『ハイパーオリンピック』、2002年に『志村けんのバカ殿様 爆笑天下統一ゲーム』として、それぞれテーマにされている。

 特にファミコンで発売された『ハイパーオリンピック』の殿様版は、『8時だョ!全員集合』のバカ殿様の原型にあたるコントで使用されたものとして、特別に小道具用に開発されたもの。もともとファミコンの『ハイパーオリンピック』の選手が殿さまに置き換えられおり、100メートル競走などのオリンピック競技に挑むものとなっている。

 一方で、ゲームボーイアドバンスで発売された『志村けんのバカ殿様 爆笑天下統一ゲーム』は、バカ殿様を題材にしたすごろくゲームで、バカ殿らしく全編お馬鹿なノリでゲームが展開していく。

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(画像は駿河屋『ハイパーオリンピック殿様ver.[限定版] (箱説あり) 』より)

 芸人としての志村さんは、付き人を経て、ザ・ドリフターズの正式メンバーとして加入。自身の出身地である東京都東村山市で歌われている「東村山音頭」を『8時だヨ!全員集合』で披露したことがきっかけとなり、人気を博す。

 「カラスの勝手でしょ」や、のちの「アイーン」の原型となる「怒っちゃやーよ」、さらに加藤茶さんとの「ヒゲダンス」などのギャグ、コントおける観客から定番の突っ込み「志村!うしろうしろ!」など、数々のギャグを生み出して一世を風靡する。

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(画像はAmazon「8時だョ!全員集合【TBSオンデマンド】」より)

 特に志村さんが得意としたのはコントで、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』、『志村けんのだいじょうぶだぁ』『志村けんのバカ殿様』で誕生した数々のキャラクターはお茶の間の人気を不動のものとした。

 「変なおじさん」、「ひとみばあさん」、「バカ殿」といった奇抜なキャラクターが登場するコントは、完全に役になりきって本当に実在しそうと思わせつつ、笑いに昇華させた。

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(画像はFacebook「志村けん (Ken Shimura)」より)

 こういった志村さんのコントとは、声の抑揚、独自の動き、タイミングなど自身がこだわりぬき、緻密な台本から作られていたという。志村さんは誰からも親しまれる才能を持っていたが、視聴者からは見えない努力も怠らなかった。

 歌って踊り、演じることもできる昔ながらの舞台喜劇人であることを誇りに思っていた志村さんは、自身が主催する舞台劇「志村魂」を2006年から定期的に開催。バカ殿様や、変なおじさんのほか、三味線の演奏などを舞台で披露していた。なお「志村魂」は今年の夏にも公演が予定されていたが、残念ながら叶わぬこととなった。

 最近でも『天才!志村どうぶつ園』など代表的な冠番組を持ち、数々のレギュラー番組を精力的にこなして人気が衰えることはなかった志村さんだが、今回、新型コロナウイルスの猛威の犠牲となった。志村けんさんの訃報には日本からではなく海外からも多数よせられ、その存在を惜しむ声が後を立たない。日本のお笑い・お茶の間の象徴である志村けんさんの損失は、あまりにも大きいといえそうだ。

ライター/福山幸司

ライター
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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