「壺男」として親しまれる激ムズ山登りゲーム『Getting Over It With Bennett Foddy』(以下、壺男)の最速クリア記録が更新され、「1分9秒717」という世界新記録が叩き出された。人類は1分10秒を切る世界へと踏み入れたことになる。
記録を塗り替えたのは、『壺男』スピードランでギネスブックにも載った世界最高峰の壺男のひとりであるBlastbolt氏。ギネスブックには「1分13秒2」のタイムレコードが記録され、一ヶ月前にも「1分10秒032」の好タイムをたたき出していた人物だ。
多くの方は知っているだろうが、『壺男』は下半身を壺に突っ込んでハンマーを手に山を登る男が主役のゲームだ。ハンマーの先はマウスカーソルの方向に動き、ハンマーを地形に引っかけ、ときによじ登り、時に反動を利用したジャンプで上を目指す。パソコンだけでなく、スマートフォンでもリリースされている。動画を見ても信じられないが大変難しいゲームで、実際にプレイするとナレーションで哲学的な罵倒を何度も何度も受けることになる。
今回の挑戦を収録した上記の映像では、誰かがDiscordに投稿した「もし『壺男』で誰かが1分10秒を切ったらキーボードを食べるよ!」という書き込みが表示されている。日付を見ると2018年末の書き込みだ。それから壺男達の約2年の研鑽の末、ついに彼はキーボードを食べることになった。さようなら! そしてBlastbolt氏のランについては何もいうことが見つからない。あまりにも正確で、あまりにも速い。
この記録を報告したRedditのスレッドには「とてもかんたんにみえる!」、「彼はいつキーボードを食べますか?」といった賞賛が書き込まれている。ほかにも「私の記録は55分です(笑)」、「私なんて2年間がんばってます」といった自分との実力差を書き込むユーザーもいる。
なお、人間の腕前だけではなくツールを利用するTAS(Tool Assisted Speedrun)で挑戦した場合、もっとも速い記録は「49秒117」となっている。動画を見比べると分かるが、ルートが少し異なっている。それを受けてスレッドでは「人間は1分以内にクリアできるか?」という議論も起きている。1分5秒まではいけると予想するユーザーがいるが、1分を切るには大きなブレークスルーがなければ難しいようだ。
同じ作者による激ムズ100メートル走『QWOP』も、先日7年間破られることのなかった記録を破るランナーが登場したことが話題となった。どちらも歴史的な快挙といえるだろう。