7月21日、『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』を手掛けた藤本タツキ氏による長編読切マンガ『ルックバック』の単行本が、2021年9月3日に発売されることが明らかになった。価格は484円(税込)。集英社のジャンプコミックスの紹介ページ、および、Amazon.co.jpなどの各種ECサイトで商品ページが公開されている。
『ルックバック』は、2021年7月19日に「少年ジャンプ+」にて公開された作品。藤本タツキ氏の担当編集である林子平氏のTwitterによると、初日の観覧数が250万を突破し、2日弱で400万観覧数を達成したという。SNSを中心に話題を呼び、漫画家だけでなく様々なジャンルの作家からも称賛を受けていた。
本作は「漫画を書くこと」をアイデンティティとする小学4年の少女・藤野が、藤野を凌駕する画力を持つ不登校の同級生・京本と出会い、ふたりが軋轢や葛藤を抱きながら努力し、漫画家としての成功を目指していく姿が描かれる。ふたりは瞬く間に意気投合するも、後半では美大に進学した京本に訪れる、悲劇的な事件を軸に物語が展開していく。
その全容はぜひ自身の目で見届けていただきたいが、本作の核となっているのは2019年7月18日に起きた京都アニメーションへの放火事件だと推測できる。直接の言及は周到に避けられているものの、本作の公開日が事件発生から2年後の翌日である点や作中で事件を起こした人物の言動を鑑みても明らかな示唆が含まれており、SNS上などでも言及する読者が多数いた。
これまではファンタジーな世界観を背景とした作品を基調とし、漫画を発表してきた藤本氏だが、本作では藤本氏の出身校である東北芸術工科大を初めとした現実に依拠したモチーフが多数散りばめられており、漫画作品で現実の問題を語る姿勢から本作は大きな注目を集めたのだろう。
なお、同じく「少年ジャンプ+」で第2部の連載を予定している『チェンソーマン』はアニメ版の制作も6月に発表されたばかり。放送時期は明かされていないが、『呪術廻戦』や『ドロヘドロ』などの人気作を手がけるスタジオ「MAPPA」によるアニメ化とあり、藤本氏の活躍に今後も目を離せない日々が続きそうだ。
『ルックバック』は、「少年ジャンプ+」のアプリやwebページにて無料公開中。