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「アドベンチャーゲーム」の始祖がVRリメイクへ。アドベンチャーゲームに初めてグラフィックをつけた『ミステリーハウス』の生みの親が開発へ

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 アドベンチャーゲームの始祖である『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』のVRに対応した3DリメイクColossal Cave 3D Adventure』が開発中であることが明らかになった。公式サイトもオープンしている。

 対象プラットフォームはPC(Windows、Mac)、Oculus Quest 2。リリースは2022年秋を予定している。

『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』のVRリメイクが発表、2022年秋にリリースへ_001
(画像はColossal Cave 3D Adventure – Video Game by Ken & Roberta Williamsより)

 『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』は1976年にPDP-10向けにリリースされたアドベンチャーゲームの元祖。なお正確にはゲーム内では『Adventure』となっており、『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』は後年から呼ばれはじめた名称と考えられる。

 開発したのはインターネットの起源となっているネットワーク「ARPANET」の開発者のひとりであるウィリアム・クラウザー氏で、それを当時スタンフォード大学に在籍していたドン・ウッズ氏が改良し、広く普及した。

 商用のアドベンチャーゲームを作るクリエイターに直接的に影響を及ぼし、アドベンチャーゲームだけでなく、ローグライクの始祖『Rogue』や、アクション・アドベンチャーのジャンルの形成(アタリの『Adventure』への影響)など、派生的にビデオゲーム全般に多大なる影響を及ぼした。

 内容としては「北」、「南」、「扉を開ける」などのキーボードでコマンドを入力し、洞窟に散らばっている財宝を集めるという内容。テキストで表現される洞窟内部の豊かな描写や、謎解きがベースとなっている作風は当時、極めて斬新なものとして受け止められた。

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 今回は、そのビデオゲーム史に残る金字塔『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』が、VRに対応した3Dリメイクとして発表された形だ。開発者するのは、シエラ・オンライン社創設者のケン・ウィリアムス、ロバータ・ウィリアムス夫妻だという。

 ケン&ロバータ・ウィリアムス夫妻は、実業家とともにクリエイターとして「アドベンチャーゲームの巨匠」として知られており、テキストだけのアドベンチャーゲームに初めてグラフィックをつけた『ミステリーハウス』、三人称視点の『キングス・クエスト』でビデオゲームに新風をもたらした。特に『ミステリーハウス』は日本にも多大なる影響を及ぼした。

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 なおクリエイティブの分野はロバータ・ウィリアムス氏が担っていることが知られているが、1999年に引退しており、今回は約20年ぶりの復帰作となる。今回、夫妻によるCygnus Entertainmentという新しいスタジオが昨年に発足したこともあわせて発表されている。

 夫妻が開発する『Colossal Cave 3D Adventure』は、Unityによって2年以上に渡って開発されており、予告編、スクリーンショット、ゲームプレイ映像などは近日公開予定だという。

 「アドベンチャーゲームの巨匠が、アドベンチャーゲームの始祖作品をリメイクする」という期待が高まる今回の作品、『Colossal Cave 3D Adventure』は2022年秋にリリース予定だ。

ライター
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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