朝日新聞社は4月25日(月)、同社が主催する「第26回手塚治虫文化賞」の受賞作を発表した。年間のベスト作品に贈られる「マンガ大賞」は、魚豊氏による『チ。―地球の運動についてー』(以下、チ。)に決定。6月2日(木)には東京・築地の浜離宮朝日ホールで贈呈式が催される。
「手塚治虫文化賞」は、日本のマンガ文化の発展・向上に大きな役割を果たした手塚治虫氏の業績を記念して1997年に創設。過去には第3回で浦沢直樹氏による『MONSTER』が、第22回で野田サトル氏による『ゴールデンカムイ』などの作品が大賞に輝いている。
大賞以外にも「新生賞」、「短編賞」、「特別賞」の各賞が設けられており、受賞者には正賞として鉄腕アトムのブロンズ像が、副賞として大賞には200万円(その他の賞には100万円)が贈呈。毎年大きな注目を集める国内の主要マンガアワードのひとつとなっている。
今回「マンガ大賞」に選ばれた『チ。』の作者・魚豊氏は、2017年に『別冊少年マガジン』へ掲載された読み切り作『佳作』で商業誌デビューを果たした気鋭のマンガ家だ。
2022年4月18日(月)に『ビッグコミックスピリッツ』での1年半以上にわたる連載を終えた『チ。』では、異端思想が弾圧された15世紀のヨーロッパを舞台に、禁じられた地動説の研究に命をかけて挑んだ者たちの信念と生き様が群像劇の形で描かれる。
人類がクソおっきい岩を動かす話 1 pic.twitter.com/BzOx6soMx0
— 魚豊 「チ。地球の運動について」「ようこそ!FACTへ」「ひゃくえむ」 (@uotouoto) December 11, 2020
同作は2021年の「第14回マンガ大賞」での第2位をはじめ、「次にくるマンガ大賞」など数々のマンガアワードで対象作に抜擢され高い評価を獲得。2022年3月時点での累計部数は200万部を突破している。
なお第26回手塚治虫文化賞では「新生賞」に谷口菜津子氏の『教室の片隅で青春がはじまる』と『今夜すきやきだよ』が、「短編賞」にオカヤイヅミ氏の『いいとしを』と『白木蓮はきれいに散らない』が選ばれており、今回「特別賞」の該当作はなしとされれた。
6月2日の贈呈式では、デジタル世界への進出が盛んなマンガ媒体の現状について語り合う記念トークイベントの実施も予定されており、200名を定員とする一般参加者の募集も受け付けている。
プレスリリースの全文は以下のとおり。
第26回手塚治虫文化賞 受賞作・受賞者 決まる
マンガ大賞は『チ。ー地球の運動についてー』(魚豊)
朝日新聞社(代表取締役社長:中村史郎)が主催する第26回手塚治虫文化賞(https://www.asahi.com/corporate/award/tezuka/) の各賞が決まりました。贈呈式は、6月2日(木)に東京・築地の浜離宮朝日ホールで開催します。従来の紙だけでなくデジタル世界への進出が盛んなマンガ媒体の現状などについて語り合う記念イベントも予定しています。贈呈式・記念イベントには一般参加者200人を募集します。
◆マンガ大賞(年間のベスト作品)
『チ。―地球の運動についてー』(小学館) 魚豊
◆新生賞(斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者)
谷口菜津子
『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)、『今夜すきやきだよ』(新潮社)で多様性を柔らかな筆致で描いたことに対して
◆短編賞(短編、4コマ、1コマなどを対象にした作品・作者)
オカヤイヅミ
『いいとしを』(KADOKAWA)、『白木蓮はきれいに散らない』(小学館)に対して
◆特別賞(マンガ文化の発展に寄与した個人・団体)
該当なし
【選考委員】
<社外>(敬称略、五十音順)
秋本 治 (漫画家)
里中 満智子 (マンガ家)
高橋 みなみ (タレント)
中条 省平 (学習院大学フランス語圏文化学科教授)
トミヤマ ユキコ (ライター・東北芸術工科大学芸術学部准教授)
南 信長 (マンガ解説者)
矢部 太郎 (芸人・漫画家)
<社内>
角田 克 (常務取締役コンテンツ・デジタル政策統括/編集担当) 喜多 克尚 (東京本社文化部長)
◇贈呈式・記念イベントに一般から200人を募集
記念のトークイベントは、「マンガ媒体の変遷」がテーマです。講談社コミックDAYSの井上威朗編集長が登場。出版社や編集者、作家の視点などを通じてエピソードを織り交ぜながら語っていただきます。聞き手は高橋みなみ選考委員。朝日新聞東京本社文化部の黒田健朗記者が進行を務めます。来場者には、受賞者の描き下ろしやメッセージ、社外選考委員の選評などを収めた記念小冊子とオリジナル記念ピンバッジ(マグマ大使)をセットでプレゼントします。
【贈呈式・記念イベント概要】
◆日時=2022年6月2日(木)14時~16時
◆場所=浜離宮朝日ホール(東京・築地)
◆申し込み=応募ページ:http://t.asahi.com/26event
締め切り=5月11日(水)。応募多数の場合は抽選。当選者にはメールをお送りします。
※新型コロナウイルスの感染拡大状況等で中止する場合があります。
【手塚治虫文化賞】
日本のマンガ文化の発展、向上に大きな役割を果たした手塚治虫氏の業績を記念し、志を継いでマンガ文化の健全な発展に寄与することを目的に、朝日新聞社が1997年に創設しました。年間を通じて最も優れた作品に贈る「マンガ大賞」のほか、「新生賞」「短編賞」「特別賞」があり、正賞の鉄腕アトム像(横山宏氏作)=写真=と副賞(大賞200万円、その他100万円)が贈られます。