株式会社ケイブは6月3日(金)、株式会社でらゲーを約50億2300万円で買収すると発表(PDF)した。
ケイブは『怒首領蜂大往生』や『虫姫さま』、『ケツイ~絆地獄たち~』といったシューティングゲーム作品で知られる日本のゲーム製作会社。これまでには家庭用ゲーム機やスマートフォン、PCなど幅広いプラットフォームに向けた数々のコンテンツを提供してきた。
現在の収益の軸となるのはスマートフォンゲーム『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』(以下、ゴシックは魔法乙女)。2022年2月28日までの第28期第3四半期では売上高構成比率の34%を本作が占めるなど、『ゴシックは魔法乙女』の動向によって会社の業績が大きく左右される状況が継続している。
しかし同作もすでにリリースから7年が経過し、ケイブとしてはゲーム領域以外の事業の創出が急務であると認識しているという。2017年5月期から2021年5月期まで5期連続の営業赤字を計上しており、業績回復と企業価値の向上には新たな収益源となるコンテンツが必要不可欠な状況となっているとのことである。
一方のでらゲーは、スマートフォンゲーム『モンスターストライク』の開発、運営に携わったという優れた実績を持つゲーム制作会社だ。かねてよりテレビ朝日、ケイブ、でらゲーの3社間でスマートフォンゲーム制作委員会を組成していた経緯もあり、ケイブとの親交は深い。ケイブの代表取締役社長である秋田英好氏がでらゲーの役員を兼任していることもあり、以前には第三者割当を行う資本提携契約を締結していた。
そのような背景があり、2022年1月ごろから秋田氏とでらゲーの代表取締役社長である家次栄一氏との間で、ケイブがでらゲーを子会社化することについての議論が展開されてきた。
結果的に、家次氏はケイブグループに入ることによって事業における統制管理が強化され、上場企業のグループ下に入ることで人材流出防止に有効であると判断。でらゲーが資金投入を行うよりも、ケイブがでらゲーを傘下に入れる方が両者の業績向上に寄与するという結論に達したという。
また、でらゲーの幹部社員にはケイブの取締役である岡本吉起氏をよく知る人物もおり、人的な信頼関係を期待できることも今回の買収の理由のひとつとして挙げられている。
本件は8月開催予定のケイブ定時株主総会にて付議される予定となっている。決議すれば、9月1日(木)をもってでらゲーはケイブの連結子会社となる。なお、これによるケイブの連結業績への影響は現在精査中とのことであり、開示すべき事由が生じた際には発表するとのこと。詳細については、ケイブのIRニュースページも参照されたい。