ジョエル・シュマッカー監督の『バットマン フォーエヴァー』(1995年)と『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997年)でバットマン役のジョージクルーニーが着用したバットスーツ(通称乳首スーツ)が40000ドルからオークションに出品されると報道された。
このオークションは、現地時間7月22日から23日にかけて開催されるHeritageの「Hollywood & Entertainment Signature Auction」の一部として行われる予定。
当オークションを開催した会社の副社長ジョー・マダレナは、ジョージクルーニーの乳首スーツは「easily the most famous – and infamous – Batman costume ever designed,(最も有名でそして悪名高いバットマンの衣装だ)」と語っており、それゆえに高い希望価格となったそうだ。
このオークションでは他にジャック・ニコルソンがティム・バートン版の『バットマン』で着用したジョーカーのスーツも出品され、開始価格は65000ドルに設定されている。また、ジム・キャリーが『バットマンフォーエバー』で使用したリドラーの杖も、8000ドルから出品されるとのこと。
今回出品されるスーツは世界中のバットマンファンがよく話題に上げるもの。どういうスーツなのかを理解してもらうためにこの作品の背景を説明する。
まずティム・バートンは1989年に『バットマン』を、1992年に続編の『バットマン リターンズ』でバットマンを映画化した。1995年の『バットマンフォーエバー』ではジョエル・シュマッカーにバットマン映画の監督の座を明け渡し、ティム・バートンはプロデューサーとして参加。
1997年に公開された『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』は、ティム・バートンがいっさい関与なしに作られたシリーズ初の映画だ。一般的にこの4作品が初期バットマン映画として知られている。(それ以前に連続活劇、テレビシリーズの劇場版は作られている。)
ジョエル・シュマッカーが監督したバットマン映画で主役を担当したジョージクルーニーは、プラスチックの乳首がなぜか際立つバットスーツを着用。
クリス・オドネル演じるロビンとチームを組んで、アーノルド・シュワルツェネッガー演じるMr.フリーズとユマ・サーマン演じるポイズン・アイビーが世界を征服するのを阻止した。
しかし、この映画は興行的に失敗、批評家に酷評されてしまう結末に。酷評されるにあたってよく話題に上がるのが、この妙に性的なバットスーツなのだ。ティム・バートンは英メディアEmpireで当時の怒りをあらわにしたり、ジョージクルーニー自身はもはや鉄板の自虐ネタとして受け止めている。
ただ、この乳首スーツは単なるフェチや悪ふざけで制作されたものではないということは伝えておかなければいけない。
スーツをデザインしたホセ・フェルナンデスは、後に米メディアMelのインタビューでセンチュリオンのような、ローマ人の鎧をモチーフにし、原作コミックでも、裸の上にスプレーペイントしているような見た目だったと語っている。しっかりと意図があった上で制作されたもので、ここまで酷評されるとは思いもしなかったそうだ。
バットスーツに刻まれた乳首は、悪評を買ったスーツではあるが、世界中で話題にもなり、一部のファンは非常に評価していることも間違いない。このスーツが一体どこまで価値が上がるのか、非常に見ものである。