1845年に創刊されたシンガポールの日刊紙「The Straits Times」は3月8日(水)のウェブ紙面上にて、シンガポールで発見された新種のゴキブリに『ポケットモンスター サン/ムーン』へ登場するえんびポケモン「フェローチェ」の英名“Pheromosa”が冠されたとの話題を報じた。
また、同紙は今回の発見における共同執筆者でもある昆虫学者のフー・マオシェン氏に対するインタビューも掲載した。
『ポケットモンスター サン/ムーン』は、1996年に発売された『ポケットモンスター』から現在まで続く『ポケットモンスター』シリーズの7作目である。プレイヤーは複数の島々からなる「アローラ地方」を訪れた主人公を操作し、その地方にすむ様々なポケモンを捕え、育てながら島を巡り、与えられる試練をクリアして「しまめぐりチャンピオン」になることを目指す。過去作に登場したポケモンがより多く登場したりイベントが新規に追加されたりといったマイナーチェンジの加えられた『ポケットモンスター ウルトラサン/ウルトラムーン』が存在する。
発見において命名元となったフェローチェは、『サン/ムーン』および『ウルトラサン/ウルトラムーン』に謎の存在として登場する“ウルトラビースト”の一体。長い触覚に全身を覆うほど広がった髪の毛のフォルムから、ゴキブリをモチーフとした存在ではないかと登場の当初から噂されていた。
昆虫博士のフー氏によれば、今回発見された新種のゴキブリ「Nocticola pheromosa」は伸びた触覚や全身を覆うほど巨大な羽、細長い足などフェローチェと多くの類似点があり、共同執筆者が両者ともポケモンファンであることも相まって今回の命名に繋がったという。
虫とポケモンをともに愛し、自身の教え子たちや周囲の昆虫学者から「bug catcher(ポケモントレーナーである“むしとりしょうねん”の英名)」とまであだ名されるフー氏。今回のインタビューのなかで、「シンガポールにはゴキブリに関する公式の記録がなかった」と発言。ゴキブリやシロアリといった存在が(自然界で果たす役割とは裏腹に)悪印象を持たれがちであり、その研究や調査が不十分であることを指摘している。そして、所属する研究チームの成果として「自分たちのポケモン図鑑を埋めるようにThe Biodiversity of Singapore【※】へ貢献した」と語った。
【※】The Biodiversity of Singapore:シンガポールの生物多様性を記録するデジタル資料を集めたWebサイト