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pixivが「特定クリエイターの利益を著しく阻害する」AIイラストなどを取り締まる利用規約・ガイドラインの改定案を一部公開。多数の問い合わせを受け、5月中の施行をめどに準備中

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 イラスト・マンガ・小説コミュニティサイト「pixiv」の事務局は5月2日(火)、AIイラスト技術の悪用等で「特定クリエイターの利益を著しく阻害する」行為に関して、5月中に施行されるサービス共通利用規約およびガイドラインの改定内容を一部公開した。

pixivが「特定クリエイターの利益を著しく阻害する」AIイラストを取り締まる利用規約・ガイドラインの改定案を一部公開_001

 AIイラストの技術に関しては「Midjourney」や「StableDiffusion」が台頭してきた2022年8月ごろから話題となった一方、違法に取得されたものも含むオンライン上の膨大なイラストデータから画風や個性を学んで生成できてしまう仕様上、他者の画風・作風を模倣したイラストを「自作」として無断で公開・販売する例があとを絶たない。また、2022年10月にはあるAIイラストの作成者が生成サービス「Novel AI」を使い、韓国のイラストレーターによって制作されていた『原神』のファンアートをオリジナル版よりも早く完成させて「自作」を主張する極めて悪質なケースも発生した。

【更新 2023/05/02 23:55】読者さまからのご指摘を受け、本文の表記を一部変更しました。なお、法的な見解や用語の定義については専門家の間でも解釈が分かれるものであり、今後の議論や法の改正によって変化していく可能性を含みます。

 日本では著作権法が改正された2018年から「機械学習のための記録・翻案」が必要とする限度で認められているが、成果物の公開や商用利用に関する条項の記載はなく、技術の利用者と本来のクリエイターによるトラブルも頻発している。

 pixiv事務局は今回の発表で「画像生成技術を悪用して特定のクリエイターの利益を著しく阻害する行為」について多数の問い合わせを受けたと説明しており、改定後の利用規約およびガイドラインで「特定クリエイターの画風・作風を模倣した作品発表の反復・継続」や「特定クリエイターにおける画風・作風の模倣をほう助するツール等の配布・販売」などを利用制限へ盛り込む方針を示している。

 発表の背景にはイラストレーターの荻pote氏が「ワイの名を冠したAI(イラストの)頒布ほんまに止めてくれ」と投稿した5月1日のツイートに、AIイラストの作成者と思われるアカウントが「何がとは言わないですがおかげで4月はかなり儲かりました」と返信し、Twitter上で大きな物議をかもした一件が起因するようだ。

 なお、返信に関わったアカウントと一件を告発したアカウントはいずれも2023年4月に作成されたものであり、5月1日の一件については一部で「対立を煽るためのデマではないか」との見方も含まれている。

 いずれにしても技術や道具を用いたり、命令を下したりするのは未だ人間であり、使用者の倫理観しだいで善いものにも悪いものにもなり得る。pixivの利用規約およびガイドラインの改定は5月中に予定されている。

ライター
2019年11月に電ファミへ加入。小学生の時に『ラグナロクオンライン』に出会ったことがきっかけでオンラインゲームにのめり込む。コミュニケーション手段としてのゲームを追い続けている。好きなゲームは『アクトレイザー』『モンスターファームアドバンス2』『新・世界樹の迷宮2』など。
Twitter:@fuyunoyozakura

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