フランスのピエール・フォルデス監督による長編アニメーション映画『めくらやなぎと眠る女』が2024年夏に全国公開されることが配給を務めるユーロスペースにより明らかとなった。本作は村上春樹の小説を原作としており、村上作品のアニメ化は本作が初となる。
ピエール・フォルデス監督、#村上春樹 原作の長編アニメーション映画『めくらやなぎと眠る女』
— ユーロスペース(配給) (@eurospace_d) October 16, 2023
2024年初夏にユーロスペース他にて劇場公開が決定しました。
村上春樹作品がアニメーション映画化されるのは初です!#めくらやなぎと眠る女 pic.twitter.com/Ww93Ng9H5F
表題作の『めくらやなぎと、眠る女』にくわえ、『かえるくん、東京を救う』『バースデイ・ガール』『かいつぶり』『UFOが釧路に降りる』『ねじまき鳥と火曜日の女たち』といった6作の短編を翻案し、長編として再構築した作品になるとのことだ。
本作は2023年3月に開催された第1回新潟国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞しており、同映画祭の審査委員長を務める映画監督の押井守は「現代文学を表現する最適なスタイル」と賞賛のコメントを残したほか、村上作品そのものであり画期的な作品、と評している。
16日(月)現在公開されているトレーラーからは、リアリズムを感じさせつつもどこかファンタジックで独特なタッチの絵柄による演出が伺える。画面に通底する不穏ながらも幻想的なムードは、原作となった6作の短編の雰囲気や作風が忠実に再現されているようだ。
トレーラーでは『かえるくん、東京を救う』に登場する村上作品の著名なキャラクター「かえるくん」や『UFOが釧路に降りる』の主人公だった「小村」などの姿が確認できる。原作のファンにとっては見知ったキャラクターや舞台の情景が、新たな解釈によってビジュアライズされることも興味深いだろう。
2011の東日本大震災から5日後の東京を舞台とし、置き手紙を残して失踪した「キョウコ」とその夫の「小村」、東京を救うためにやってきた「かえるくん」が家に居着くこととなった小村の同僚「片桐」らを主軸としたストーリーが語られるとのことだ。
ピエール・フォルデス監督は本作の日本公開にあたって、「この映画は近年作られたなかで最も革新的な長編アニメーションなのです」とコメントを残している。
『めくらやなぎと眠る女』は渋谷・ユーロスペースほか、全国の映画館で順次公開予定となっている。