1月21日はアーケードゲーム『甲虫王者ムシキング』が稼働開始した日だ。
2003年1月21日より全国のアミューズメント施設などで稼働を開始したセガの『甲虫王者ムシキング』は、トレーディングカードを使用したキッズ向けのアーケードゲームだ。
ゲーム筐体から入手できる「ムシキングカード」には、カブトムシやクワガタといった世界各地に実在する種に基づく甲虫がデザインされている。ゲームではこれらのカードをスキャンすることで、甲虫をパートナーとしてバトルを繰り広げていく。
本作ではまず「ムシカード」と「わざカード」をスキャンすることで、バトルのパートナーとなる甲虫が繰り出すグー、チョキ、パーの攻撃をそれぞれカスタマイズできる。ボタンを押してじゃんけんバトルに勝利すれば、カスタマイズした「わざ」を繰り出して相手を攻撃できる。
本作の「ひとりであそぶ」モードで描かれるメインストーリーでは、森の妖精ポポがカブトムシの「ムシキング」と力を合わせて、世界各地の甲虫たちを闇の力で操る老年の妖精アダーに立ち向かう物語が描かれる。また「ともだちとたたかう」対戦モードも用意されている。
人気の高い世界各地の甲虫をトレーディングカードでコレクションして、ゲーム内では甲虫たちがリアルなCGでバトルを繰り広げるという本作の内容は、当時の子どもたちに大きな反響を呼んだ。
さらに、じゃんけんによるバトルが基本になっているのも分かりやすく、筐体を使わずにカードだけを持ち合って友達どうしで遊ぶこともできた。
本作は社会現象を巻き起こす大ヒットとなり、ムシキングカードの累計出荷枚数は2007年11月時点で4億9800万枚を記録。2003年の稼働開始から7年後の2010年に稼働終了するまで、人気を博し続けた。
キッズ向けの大ヒット作ということで、『ムシキング』ではアーケードゲームだけでなく、コミックやTVアニメ、劇場アニメなどの多彩な展開が行われている。TVアニメ『甲虫王者 ムシキング~森の民の伝説~』は2005年から2006年の1年間に渡って放送が行われた。また変わったところでは、プロレスリング・ノアから2005年に、本作の世界観に基づく覆面レスラー「ムシキング・テリー」がデビューしている。
家庭用ゲーム機ではゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSで、『ムシキング』がさかんな町ハネダシティで主人公が大会優勝を目指すRPG『甲虫王者ムシキング~グレイテストチャンピオンへの道~』のシリーズが発売された。
さらに、ニンテンドーDSの『甲虫王者ムシキング スーパーコレクション』では、DS本体に接続したカードリーダーでアーケード版のムシキングカードをスキャンして、対戦バトルやムシの育成を楽しむことができる。
アーケードゲームの後継作としては、2010年に『ムシキングバトル 合虫ガッツ!!』がリリースされている。
そして2015年からは『新甲虫王者ムシキング』が登場。こちらは以前のカードこそ使用できないものの、ムシカードとわざカード、じゃんけんバトルなどの特徴はそのまま受け継いでいる。さらに連動するアイテム「Vガジェ」でバトル中にビクトリーアタックを発動したり、バトル終了後にムシ採りをしたりといった要素も盛り込まれた。
『甲虫王者ムシキング』の大ヒットにより、「トレーディングカードを使用したキッズ向けのアーケードゲーム」という新たな市場が拡大。『古代王者恐竜キング』や『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』といったキッズ向けアーケードカードゲームも登場した。
2025年現在、後継作も含めて『ムシキング』はアーケードでの稼働を終了している。本作を振り返りたい場合は、家庭用ゲーム機版のタイトルを改めてプレイしよう。2023年にはシリーズ20周年を記念して『ムシキング』グッズが発売されたりもしているので、これからの展開にも注目しよう。