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押井守監督、『攻殻機動隊』の“続編”に意欲。「やり残したことがひとつだけあるので、それがやれるなら」と『イノセンス』公開20周年イベントで言及

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3月2日(日)に開催された映画『イノセンス』公開20周年記念トークイベントにて、押井守監督が同作の“続編”に言及した。

オフィシャルレポートによると、イベント内での質問コーナーで「『イノセンス』の続編を作ってほしい? 作りたい?」と問われた押井監督は、条件付きと断りつつも「〇」の札を掲げたとのこと。

そして「3本目をやりかけたこともあるし、諸事情があって形にならないけど、まだやり残したことがひとつだけあるので、それがやれるなら」と意欲を口にしたという。なお“条件”の部分については「それを言っちゃうと、なるものならなくなるので……」と言葉を濁したそうだ。

押井守監督が『攻殻機動隊』の続編に意欲。『イノセンス』公開20周年イベントで言及_001

本イベントは3月2日(日)にTOHO シネマズ新宿で開催されたもので、押井守監督と声優・大塚明夫さんが登壇。『イノセンス』の続編に関するトピック以外にも、2作品の制作秘話や登場したキャラクターといった話題に触れられている。またサイン入りポスターの抽選会なども行われ、集まったファンで盛り上がりを見せたという。

トークパートでは、2024年に逝去された声優・田中敦子さん(草薙素子役)の思い出にも触れられたそうで、大塚さんは音響監督の若林和弘氏に草薙素子役の候補がいないか聞かれ、田中さんを推薦したエピソードを語る。そして、これから『イノセンス』を鑑賞する観客に向け、「在りし日の田中敦子のことを思い出していただければ」と呼びかけた。

押井監督も先述の「続編の条件」については、田中さんの不在も要素のひとつにあると話す。「素子をどうするのか? 魂だけの存在ってわけにもいかない。声なしでやるのか……? それもありかもしれない」と、あらためて田中さんの存在の大きさに言及していたとのこと。

押井守監督が『攻殻機動隊』の続編に意欲。『イノセンス』公開20周年イベントで言及_002

『イノセンス』と『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』4Kリマスター版は2月28日(金)より、TOHO シネマズ日比谷ほかにて2週間限定で公開中だ。

タイトル:『イノセンス 4Kリマスター版』
コピーライト:©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
公開表記:2月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか2週間限定公開
配給:TOHO NEXT

タイトル: 『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』
コピーライト:©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT (短縮版 ©1995,S/K,B,M )
公開表記:2月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか2週間限定公開
配給:TOHO NEXT

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


『イノセンス』公開 20 周年記念!
押井守監督とバトー役・大塚明夫のタッグ登壇!
押井監督「監督冥利につきる」、大塚「後世に残る作品として胸に刻んで」
公開 20 周年を記念して、収録当時を振り返る!!

<映画『イノセンス』公開 20 周年記念トークイベント概要>
◼︎日時:3月2日(日)
◼︎会場:TOHO シネマズ新宿スクリーン 4(新宿区歌舞伎町1-19−1 新宿東宝ビル3階)
登壇者:大塚明夫さん、押井守監督

<以下、レポート>
押井守監督の『イノセンス』公開 20 周年を記念して、3 月 2 日(日)に東京・新宿の TOHO シネマズ新宿にて、押井監督とバトー役の声優・大塚明夫によるトークイベントが開催。20 年前の制作当時の思い出話に加え、シリーズ続編制作への意欲が語られるなど、大きな盛り上がりを見せた。押井監督と大塚さんは熱烈なファンの温かい拍手に迎えられた。大塚さんは「こんなにたくさんの方が、20 年も前の作品を観に集まってくださるということに、胸がいっぱいになります」と感激の面持ち。押井監督も「大きなスクリーンでぜひ堪能していただければ」と笑顔を見せる。

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の続編として制作された『イノセンス』。前作の最後で主人公の草薙素子(田中敦子)が姿を消し、残されたバトーが本作の主人公になっているが、大塚さんは『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』からの流れを踏まえつつ、20 年前のアフレコ当時を振り返り「僕もどう演じればいいんだろう?と押井さんに質問したんですが『簡単ですよ。バトーの恋の物語ですよ』と言われて『そうだったのか!』とあっという間に映画のつくりが見えてきました」と明かす。押井監督はその言葉の真意について「素子が去った後のバトーの物語であり、生ける屍みたいになっているバトーが素子と再会する話です。魂の恋愛みたいな話で、遠く離れているんだけど、互いに想い合っているんですね」と改めて説明する。この日は、作品にちなんだ 5 つの質問に、押井監督と大塚さんが回答する〇×クイズを実施!「20 年前に戻れるとしたら戻りたい?」「義体化したいか?」という質問に、大塚さんは「条件付きで。中身、経験値はこのままで肉体だけ若くなりたい」と語り、押井監督も「同じです。頭の中身はいまのままで義体化したいです。あの歳(20 年前)の自分に戻りたいとは全く思わないです」とうなずく。「自分を動物に例えるなら、やはり犬だと思う?」という問いには、押井監督は「やはり犬ですよね、最近、猫が大好きで、猫の良さがわかってきたけど、最後は犬を選んじゃう。最後に目をつぶる時は犬がそばにいてほし
い」と語る。一方の大塚さんは「×」の札を掲げ「犬は好きなんですけど、自分を鑑みるに犬じゃないなと思います」と笑う。「作品の中で自分に似ていると思うキャラクターがいる?」という問いに対し、意外にも押井監督の答えは「×」。「『攻殻機動隊』シリーズに関して言うといないですね。監督って、だいたい(作品の中に自分を投影したキャラクターが)いるもんなんですけど、この 2 作に関しては、しいて言うなら荒巻かな…?どこかで眺めてる人間で、行動する人間じゃないんですね。『パトレイバー』なら後藤さんとか。
素子とバトーは、どちらも僕と違うタイプの人間です」と語る。一方の大塚さんは「『バトーじゃない』と言うのはないんじゃない(笑)?」とニヤリと笑みを浮かべて、あの渋い声で「バトーです」と語りファンを喜ばせた。

そして、最後の質問「『イノセンス』の続編を作ってほしい?作りたい?」に対して、押井監督は「条件付き」と断りつつ、共に「〇」の札を掲げ、客席からは期待と喜びの込められた熱い拍手が!押井監督は「3 本目をやりかけたこともあるし諸事情があって形にならないけど、まだやり残したことがひとつだけあるので、それがやれるなら」と意欲を口にする。ちなみに“諸事情・条件”の詳細に関しては「それを言っちゃうと、なるものならなくなるので…」と言葉を濁したが、大塚さんは押井監督の思いを受け、観客に向けて「みなさん、地元で『続編を観たいよな…』とぜひ伝道師、宣教師として、使命感を持って、これからの日々を生きていってください!」と呼びかけた。

そもそも、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』に続く『イノセンス』はどのような経緯で作られることになったのか?押井監督は「きっかけ自分の中にあったわけじゃなく、プロダクション I.G.の石川(光久)社長に呼び出されたんです。当時、僕はアニメをやってなくて、アニメはつらいからやめちゃおうかって時期だったんですけど『いま戻ってこないと、誰もあなたとやってくれる人がいなくなるよ。いいかげん、あきらめてスタジオに戻れ』と言われて『そうだな』と思ったんです」と述懐。その時、石川社長から 3 本の作品の候補が提示されたが「やるなら『攻殻機動隊』の続編をやってみたいって素直に思いました。終わってないんですよ、どこかで。あの後の素子をもうちょっと見たいというのと、部屋に残ったバトーの思いを引きずってみたいなと。わりとすんなり話ができて、脚本も 2 週間くらいで書いたので、自分の中で抵抗なくすらすら出てきた作品でした」と明かした。大塚さんは、続編の制作を聞いた当時の心境について「嬉しくて心臓が止まるかと思いました。『なに?うそ?やれるの?』という感じでした」と喜びを明かした。制作期間の苦労について、押井監督は「(アニメーションが上がってくるのを)待つつらさがあった」と振り返る。「明夫さん、敦子さんと同じ顔ぶれだったので、イメージはできるけど、最初の『攻殻機動隊』から何年か経っていて、同じじゃない部分があるんです。よく映画などである『そして 3 年後…』みたいなもので、人間が変わっているはずで、どこがどう変わっているのか確かめたいし、確かめるまで安心できないんです。第一声が入った時、つながった感じがしました。サイボーグであることに変わりはないはずで、サイボーグが歳を取るってどういうことなのか?というのを考えました。素子が義体を持たなくなって、オリジナルの身体がなくなって、いわば魂だけになってしまったんですけど、どういう感情をバトーに持つのか?そこでの再会のセリフが『変わってないわね』なんですけど、『変わってないわね』というセリフは、2 人が変わったから言えるんです。その機微を監督は考えるんです。どうやって表現してもらうか?そういうことが、この作品をやったことの意味の全てと言っていいと思います」と『イノセンス』に込めた思いを熱く語った。大塚さんは、押井さんのそんな言葉に「泣けてくる…!」としみじみ。素子とバトーの再会のやりとりに触れ「あの短いやり取りの中に、どれだけのものが入っていたか――?大画面で全身を駆使して感じ取ってもらえたら嬉しいです」と感慨深げに語った。

トークでは、草薙素子役の声優で昨年、逝去した田中敦子さんの思い出も語られた。大塚さんは「『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の頃は、僕も声優を始めていくらも経ってない時で、音響監督の若林(和弘)さんに『素子役、いないんだよねぇ。誰かいない?』と聞かれ、『うちにひとり』と田中敦子氏を推したら、見事に通りまして。そんなことを思い出すと、本当に、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』という作品を通して一緒に歳を取ってきたんだなと思います」と語り、これから『イノセンス』を鑑賞する観客に「在りし日の田中敦子のことを思い出していただければ」と呼びかける。押井監督は「敦子さんとあまり個人的に話したことはなくて、いつも(アフレコブースの)ガラスの向こう側にいる感じでした。あそこに入ると素子になるんです。廊下で立ち話しても、それは田中敦子という女性であって、マイクの前に立った瞬間から素子なんです。僕にとっては素子そのもの。さっき、3 本目(続編)について『条件付き』と言ったのは、そのこと(田中さんの不在)もある。素子をどうするのか?魂だけの存在ってわけにもいかない。声なしでやるのか…?それもありかもしれない」と改めて素子を演じた田中敦子さんの存在の大きさに言及した。

今回、20 年を経て 4K リマスター版をスクリーンで堪能することができる貴重な機会となっているが、4K リマスター版ならではの楽しみ方として、押井監督は「公開された時も一瞬、話題になったんですがオープニングで人形がアップになるんですが、目に何かが映っているんですよ。コンマ一秒もないと思いますが、目を皿のようにして、偶然、目と脳が直結して見えたら、何かが映っています」といたずらっぽい笑みを浮かべた。トークの最後に大塚さんは「20 年経ってまたこの作品が劇場にかかる――それは何と言ってもこれが名作だという証だと思います。後世に残る作品
として、いま一度胸に刻んでいただければと思います」と観客に向けて語り掛ける。押井監督は「これが完成した当初は自分でも『これ以上の仕事はできない』と思ったんですが、ある人に『まだまだ若い』と言われまして。20 年が経って振り返ると、確かに 20 年前の自分は、もうひとつわかってなかったなってところがなくはないんですね。でも、20 年を経ても、自分の中にある特殊な観念、情緒は変わんないなと思いました。それが何かというと、ある種の切ない部分なんです。それが人形だったり犬だったりするんですが、、人間じゃないものと関わる時に必ず最後に出てくる感情で、ある種の切なさみたいなものなんですね。そこは変わっていないし、その後の仕事でも、そういう部分は引きずってると思います。20 年が経って、またスクリーンにかかる映画ってそうそうないので、監督冥利に尽きるというひと言です。映画っていずれ死ぬもの、いずれ寿命が終わるものですけど、この作品はまだ寿命が残ってる気がします。映画を長生きさせるためには光を通すしかないわけで、そういう意味でこうしてたくさんの方に来ていただいて、大変ありがたく思っています」と感謝の思いを口にし、温かい拍手の中でトークイベントは幕を閉じた。

【作品概要】
『イノセンス 4K リマスター版』上映時間:99 分
原作:士郎正宗(「攻殻機動隊」講談社刊)
監督・脚本:押井守
制作:プロダクション I.G
マルシ-:©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
配給:TOHO NEXT
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4K リマスター版』上映時間:85 分
原作:士郎正宗(「攻殻機動隊」講談社刊)
監督・脚本:押井守
制作:プロダクション I.G
マルシ-:©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT (短縮版 ©1995,S/K,B,M )配給:TOHO NEXT
2 月 28 日(金)より TOHO シネマズ日比谷ほか 2 週間限定公開

編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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