@niftyホームページサービスは8月7日、全てのプランでWebサイトのHTTPS対応(SSL化)を10月より導入すると発表した。Webサイト全体の通信が暗号化されることでセキュリティの強化がされ、より安全にサイトを運営できるようになるとしている。
最終的に従来の「http://」へのアクセスは、自動的に「https://」のページへリダイレクトされるとのこと。SSLサーバー証明書を自分で取得する必要もないという。
一方で一部のネットユーザーからは、とあるWebサイトの行先を巡って“嘆く声”があがっているようだ。とあるWebサイトとはそう、あの「阿部寛のホームページ」のことである。

「阿部寛のホームページ」とはその名の通り、俳優・阿部寛さんの公式Webサイトであり、それだけであれば特筆する点はない。
一方で令和にもかかわらず、1990年代頃のインターネット黎明期のようなデザインで運営や更新が今現在も続いているという珍しさで話題だ。また、Webサイトを構成する要素が簡素すぎるため、どんな通信環境でもホームページを爆速で表示できるという特性が注目されている。
今回、本サイトが利用中と考えられているホームページサービスが、全てのプランでWebサイトのHTTPS対応を10月より導入すると発表した。
これにより一部のユーザーからは、HTTPSに対応していないガラケーやレトロハードといった古い機器で「阿部寛のホームページ」の接続や確認ができなくなってしまうという声があがっているようだ。

本サイトは「爆速で表示できる」という特性で最も有名なWebサイトのため、ユーザーからは通信速度を測るベンチマーク用のWebサイトとして利用されることがある。
他にも遥か昔のWebブラウザを搭載する機器でネット接続を試みる際に利用されることもあるのだが、これらの機器はHTTPSに対応していないことがある。
そのため、仮に「阿部寛のホームページ」も10月開始のHTTPS標準化に沿って運営を継続する場合は、そういった目的で本サイトを利用しているユーザーに影響が出る可能性が指摘されているようだ。

モダン且つ最新鋭の要素を取り入れることが求められる昨今のWebサイトは、表現の幅が広がったことでユーザーへの訴求がしやすくなった。
しかし、デザイン性を優先したことにより目当ての情報へ辿り着くまでに、不必要な時間や労力をユーザーに強いる本末転倒なWebサイトも中には存在するようだ。
「阿部寛のホームページ」は、そんなWebサイトの在り方に一石を投じる素晴らしいデザインであると筆者は(勝手に)考えている。
そもそも本サイトはベンチマーク用に設計されたわけではなく、HTTPS対応もセキュリティが強化される点で喜ばしい変化だ。行先を不安がること自体が的外れなのだが、それでも変化が続くインターネットの世界で「阿部寛のホームページ」だけは変わらずに在り続けてほしいと切に願う。