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消滅の危機に瀕している83種類の文字を解説する『絶滅しそうな世界の文字』10月28日に発売。「読まれない」ためにつくられた文字や女性同士の秘密の会話に使われた文字まで、それぞれが宿す物語、歴史、現在の状況を概説。眺めるだけでも文字のデザインを楽しめる

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株式会社河出書房新社は、『絶滅しそうな世界の文字』(ティム・ブルックス著/黒輪篤嗣訳)を、10月28日に発売することを発表した。定価は5390円(税込)。

同書は世界の文字体系のなかから、消滅の危機に瀕している83種類の文字体系と、それぞれが宿す物語、歴史、現在の状況を概説するユニークな書籍。

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『絶滅しそうな世界の文字』には、ごく少数の宗派が使う古代中東の聖なる文字から、21世紀になって新しく考案されたアフリカの文字まで、83の文字の歴史と現況を、現地調査に基づきリアリティをもって記載。また眺めるだけでも文字のデザインを楽しめる美しいビジュアルにもなっている。

さらに、それぞれの文字の背景を知ることで、文字の成立にまつわる宗教や神話の情報や、古代から現代にわたる戦争や民族弾圧の歴史についても学ぶことが可能だ。

本書で紹介される文字には以下のものが挙げられる。

・夢で啓示を受けた文字
・奴隷貿易の暗号だった文字
・民族の独立の象徴としてつくられた文字
・幼い兄弟が考案した文字
・駱駝に押される焼き印を元にした文字
・大国の抑圧で消滅危機にある文字
・女性同士の秘密の会話に使われた文字
・わずか4家族で継承し続けた文字
・宗教儀式のときだけに使用される文字
・一度は弾圧によって消滅しながら子孫たちが復活させた文字
・「読まれない」ためにつくられた文字
・国宝に指定された文字
・シャーマンのための文字 ……

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本書の著者は、 英国出身で2010年に絶滅危惧文字プロジェクトを立ち上げたティム・ブルックス(Tim Brookes)氏。ミュージシャンにサッカーの指導者、大学講師からタバコの葉の収穫作業員まで、ユニークな経歴で知られる。著書はさまざまなジャンルで20冊以上にも上る。

翻訳は上智大学文学部哲学科卒業でノンフィクションの翻訳を幅広く手がける黒輪篤嗣氏が担当。訳書にはリー『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』やボウカー『世界の宗教大図鑑』などが挙げられる。

『絶滅しそうな世界の文字』は、10月28日に発売予定。定価は5390円(税込)。

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


『絶滅しそうな世界の文字』、10月下旬刊行決定!消滅の危機に瀕する世界の文字体系83種類と、各文字が宿す物語、歴史、現在の状況を解説。

美しいビジュアルで文字のデザインも楽しめる!

株式会社河出書房新社(本社:東京都新宿区 代表取締役:小野寺優)は、『絶滅しそうな世界の文字』(ティム・ブルックス著/黒輪篤嗣訳/税込定価5,390円)を、2025年10月28日に発売します。

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文字がひとつなくなれば、何百年も書き継がれてきた、聖典、文学、手紙、法律文書、知恵、アイデンティティー、そして、共に生きた記憶──そのすべてが失われる。

本書は、その85〜90%が消滅の危機に瀕しているとされている世界の文字体系のなかから、83種類の文字体系と、それぞれが宿す物語、歴史、現在の状況を概説するユニークな書籍です。

ごく少数の宗派によってのみ使用される古代の中東の聖なる文字から、21世紀になって文化的伝統を存続させるために新しく考案されたアフリカの文字まで。また、駱駝に押される焼き印を元にしたスーダンの文字から、女性同士の秘密の会話に使われた中国の辺境の文字まで、それぞれの文字が持つ文化を解説しながら、それぞれの文字が辿ってきたドラマを紹介します。

文字をつくった人々と、ときには命がけでその文字を守ろうとした継承者たちの情熱に圧倒される、感動の一冊です!

[本書に登場する文字]
・夢で啓示を受けた文字
・奴隷貿易の暗号だった文字
・民族の独立の象徴としてつくられた文字
・幼い兄弟が考案した文字
・駱駝に押される焼き印を元にした文字
・大国の抑圧で消滅危機にある文字
・女性同士の秘密の会話に使われた文字
・わずか4家族で継承し続けた文字
・宗教儀式のときだけに使用される文字
・一度は弾圧によって消滅しながら子孫たちが復活させた文字
・「読まれない」ためにつくられた文字
・国宝に指定された文字
・シャーマンのための文字 ……

単なる情報伝達手段ではなく、文字は人々や文化の生きる証であるとも言えます。
2025年10月下旬発売の本書『絶滅しそうな世界の文字』で、世界にまだ残る美しいこれらの文字とともに、それらを作った人々の思いや文化の生きた記憶を尋ねる発見の旅に出掛けてみるのはいかがでしょうか。

■本書の特長
世界中の消滅危機にある83の文字の歴史と現況を、現地調査に基づきリアリティをもって描き出す。
文字の背景を知ることで、古代から現代にわたる戦争や民族弾圧の歴史がわかる。
文字の成立にまつわる宗教や神話の情報も多数。
眺めるだけでも文字のデザインを楽しめる美しいビジュアル。

■本文冒頭「イントロダクション」より抜粋
現在、世界の表記体系の85〜90%は、使われなくなる可能性が高いと考えられている。とりわけ深刻なのは先住民やマイノリティーの文字だ。文字の使用者がいなくなれば、その文化の文字はラテン文字やアラビア文字、キリル文字、あるいはデーヴァナーガリー文字によって取って代わられる。2世代後には、自分たちの固有の文字で1000年にもわたって書かれてきたことがすべて、シュロの葉に記された聖なる文書も、一族のレシピも、手紙も、家や土地の所有権を示す証書も、読めなくなってしまう。
(中略)
確かに、自分たちの言語と文字が勝ち残ったわたしたちにとっては、そのほうが便利なのかもしれない。しかしここで声を大にして言っておきたいことがある。それは言語や文字は自然に消滅するわけではないということだ。本書でこれから見ていくように、なんの理由もなく文字が失われることはない。絶滅の危機に瀕する文字はすべて、滅んだ王国の名残、苦難に見舞われている文化のあえぎだ。退けられた文字はすべて、過去や現在の社会的な不公正の証拠だ。

■本文より

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「コプト文字」(発祥地:エジプト) コプトとはエジプトに住んでいたギリシャ人キリスト教徒のこと。西暦600年にはエジプトの公用語となったが、イスラム教の台頭でコプト人もコプト語も少数派となり、現在コプト語を母語とする人は世界に300人程度しかいない。(P.88-91より)
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「悉曇(しったん)文字」(発祥地:南インド) 悉曇文字は西暦600年頃〜1200年頃まで南インドでサンスクリット文字を書くために盛んに使われたが衰退。一方、仏典の文字として中国や韓国、日本に伝来したのち、日本では宗教的価値を持つ文字として、今でも真言宗や天台宗で使用されている。(P.64-65より)

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「チェロキー文字」(発祥地:米国) 現在のバージニア州からジョージア州にかけての一帯に住んでいたチェロキー族。もともと文字を持たなかったが、チェロキー族のシクウォイアが19世紀初頭にこれを開発して、チェロキー族に受け入れられた。しかしインディアン強制移住法制定以降、チェロキー語は衰退の一途を辿っている。(P.212-215より)

■目次
イントロダクション/絶滅危惧とは/世界の表記体系

AFRICA アフリカ
イントロダクション/ティフィナグ文字/ヴァイ文字/バサ・ヴァー文字/バムーン文字/メデファイドリン文字/マンドンベ文字/ガライ文字/ムワンウェゴ文字/アドラム文字/ルオ文字/ンコ文字/ベリア語/ディテマ・ツァ・ディノコ文字

ASIAアジア
イントロダクション/彝(い)文字/満州文字/古壮字/ソヨンボ文字/モンゴル文字/悉曇(しったん)文字/女書(にょしょ)

SOUTHEAST ASIA 東南アジア
イントロダクション/タイ文字/カレン文字/チン文字/モン文字/チュノム文字/チャム文字/ムロ文字/ハニーフィー・ロヒンギャ文字

INDONESIA AND OCEANIA インドネシアとオセアニア
イントロダクション/ジャワ文字/バリ文字/スンダ文字/クリタン文字/ブギス文字/バタク文字バイバイン文字/エスカヤ文字/アヴォイウリ文字/フィリピンの国宝に指定された文字体系/ウル文字/イバン・ドゥンギン文字

EUROPE AND THE MIDDLE EAST ヨーロッパと中東
イントロダクション/マンダ文字/サマリア文字/シリア文字/グラゴル文字/アヴェスター文字/コプト文字/ヌビア文字

THE AMERICAS 南北アメリカ
イントロダクション/チェロキー文字/カナダ先住民文字/アファカ文字/オセージ文字

SOUTH ASIA 南アジア
イントロダクション/チャクマ文字/グランタ文字/シリジャンガ文字/ネワール文字/タークリー文字/ティルフティー文字/シロティ・ナグリ文字/ホジャ文字/ティガラリ文字・トゥル文字/シャーラダー文字/モーディー文字/メイテイ文字/ターナ文字/サウラーシュトラ文字/クダバディ文字/ロン文字/ゴーンディー文字/オル・チキ/ソーラー・ソンペン文字/グルン文字/ワラン・チティ文字/ジェンティッチャ文字/プラサンナ・スリーの文字体系/トロン・シキ文字/ワンチョ文字

BEYOND THE ALPHABET アルファベットではない文字
イントロダクション/水文字/トンパ文字とゴバ文字/シャパ文字/アディンクラ文字/ンシビディ文字/ソナ文字/フィルマ文字

謝辞

■著者紹介
ティム・ブルックス(Tim Brookes)
英国に生まれ、英国で教育を受ける。2010年に絶滅危惧文字プロジェクトを立ち上げる以前は、ギタリスト兼歌手兼作詞者、サッカーの指導者、ツアーガイド、新聞配達員、ウェイター、英語の教師、フリーランスのライター兼エディター、タバコの葉の収穫作業員をしていた。1980年からは、米国の中でも米国の一部とは言いがたいバーモント州に住んでいる。

■訳者紹介
黒輪篤嗣 (くろわ・あつし)
翻訳者。訳書に、ヤーギン『新しい世界の資源地図』、リー『読みだしたら止まらない超凝縮人類と経済学全史』、チャン『経済学レシピ』、バジーニ『哲学の技法』、ボウカー『世界の宗教大図鑑』など多数。

■書誌情報

『絶滅しそうな世界の文字』が10月28日に発売予定_010

書名:絶滅しそうな世界の文字
(原題 An Atlas of ENDANGERED ALPHABETS: Writing Systems on the Verge of Vanishing)
著者:ティム・ブルックス
訳者:黒輪篤嗣
仕様:B5変型判(246×189mm)/上製/256ページ/オール2色
初版発売日:2025年10月28日予定
定価:5,390円(本体4,900円) ISBN:978-4-309-22975-1
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309229751/
出版社:河出書房新社

ライター
JRPGとともに少年時代を過ごし、大学在学中に『VALORANT』にはまってからは、すっかりeスポーツの虜に。 プレイするのも観戦するのも好きだが、最近はランクマッチから逃げつつある。 重い腰を上げさせてくれるような戦友を募集中。

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