10月28日、インディーホラーゲーム『女吊』の体験版が、Steamの統計データを収集する非公式データベースサイト「SteamDB」にて異例の盛り上がりを記録した。データによると、体験版の最大同時接続プレイヤー数は2万4718人に達しており、“絶叫フェス”期間中の注目作のひとつとなっている。
『女吊』は、中国の民俗文化を題材とした3Dパズル型サイコホラー作品で、開発は山雨工作室。ストアページによれば、本作には2人協力プレイモードが搭載されており、プレイヤーは空間的に分離された環境でそれぞれ異なる手がかりを集め、相互に協力しながら謎を解き、物語の真相を明らかにしていく。


物語は、村人から虐待を受けてきた義兄・Qi Ningを救うため、かつて捨てられた孤児・Qi Yuが古い家に戻ってくることから始まる。だが、ふたりはその家から抜け出すことができなくなる。閉ざされた空間の中で、プレイヤーは分断された視点を通じ、互いの行動が影響し合う形で物語を進めていく。
作品全体には、中国東南部の浙江省・呉越地域の葬礼儀礼や“鬼戲(ゴーストオペラ)”“目連劇”などの民俗文化が色濃く取り入れられている。建築面でも、実際の水郷地域の古舞台「萬年台(ワンニェンタイ)」を実地取材のうえで再構築し、古建築の空間構造とパズル要素を融合。伝統文化の造形美を恐怖演出と一体化させたステージ設計が特徴だ。

サウンド面では、道教的儀礼音楽や祭祀音をベースにしたサウンドデザインが採用され、古典的でありながら新鮮な音響体験を生み出している。
体験版は全7章構成のうち第3章をベースとしており、プレイ時間はおよそ1〜1.5時間。10月27日から12月21日までの期間限定で、Steam上にてオープンベータ形式の技術テストが実施中だ。

今回の数字はValve公式の発表ではなく、SteamDBによるサードパーティ計測値に基づくものだが、同時接続数の大幅な上昇は本作の注目度の高さを示す指標となっている。“絶叫フェス”期間というプロモーションのタイミングとあわせて、体験版を通じたユーザーの反応が正式リリース後の成功に向けて好感触であることを裏付ける格好だ。
今後は、ストアページやデモ版のレビュー、コミュニティの動向にくわえ、正式版の発売日・対応プラットフォーム・言語展開など、開発元からの続報に注目が集まる。
