『MISERY』の開発元であるPlatypus Entertainmentは11月8日、Steamコミュニティへの投稿を通じ、同作がSteamで販売停止されたことを報告した。記事執筆現在も販売は再開されていない。
これは、ゲーム『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの開発元として知られるGSC Game Worldによる、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)侵害の申し立てに基づく措置である。
Platypus Entertainmentは、GSC Game Worldによる申し立ての内容は「全くの事実無根」であると全面的に否定しており、Steamでの販売を再開するために争う姿勢を明らかにしている。
『MISERY』は、最大5人での協力マルチプレイに対応したローグライト・サバイバルゲームだ。核災害後の架空の国家「ザスラヴィ共和国」を舞台に、プレイヤーは民間軍事会社の一員として隔離地域を探索。異常現象や変異生物の脅威に抵抗し、空腹や精神力などのステータスを管理しながら生き延びていく。

公式コミュニティの投稿によれば、GSC Game Worldは『MISERY』がGSCの知的財産を侵害していると主張。さらに、プレイヤーレビューにおいて『S.T.A.L.K.E.R.』が引き合いに出されている点がGSCの利益を害しているとも指摘している模様だ。
これに対しPlatypus Entertainmentは、『MISERY』は架空の「ザスラヴィ共和国」を舞台とした、完全に異なるコンセプトの作品であると反論。『S.T.A.L.K.E.R.』の世界観やチェルノブイリなどとは一切関係がなく、GSCのゲームに由来するキャラクター、ストーリー、アセット、音楽、コードなどは一切使用していないと強調した。使用されている素材はすべてオリジナルで制作されたものか、合法的にライセンスを取得したものであるとしている。

さらに、GSC自身のゲームも、小説『ストーカー』やタルコフスキー監督による同名映画から強く影響を受けていると指摘。GSCが「陰鬱とした旧ソビエト時代の建物」や「ギターの演奏」「ウォッカ」「放射線」「うんち」といった要素の著作権を所有しているわけではないと述べた。
なお、今回のDMCA申し立てに関して、GSC Game World側からは本記事執筆時点で公式な声明やアナウンスは確認されていない。
Platypus Entertainmentは、今回の問題は「誤解」であり、間もなく解決されて『MISERY』はSteamストアに復帰できると確信していると説明。同時にコミュニティに対し、GSCのゲームへのレビュー爆撃や、関係者、特に国籍を理由とした侮辱行為を行わないよう強く呼びかけている。
