日本時間1月13日、米メディア大手のパラマウント(スカイダンス・コーポレーション)は、買収提案を拒否しているワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を相手取り、買収検討に必要な情報の開示を求めて米東部デラウェア州の裁判所に提訴した。
パラマウントは、WBDが株主による適切な比較検討に不可欠な情報の開示を拒んでいると主張しており、裁判所を通じてその提示を求めた形だ。
WBDは昨年12月、動画配信大手Netflixによる買収案を受け入れることで合意しているが、パラマウントはこの決定を不服として、1株あたり30ドルの全額現金による敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けていた。今回の提訴により、買収提案を巡る両社の攻防は、新たな局面に入った。
パラマウント側はかねてよりNetflix案のリスクや不透明さを指摘してきたが、今回の提訴においても改めて、WBDの情報開示が不十分であると訴えている。具体的には、Netflixとの合併案において分離予定のリニアテレビ事業「Global Networks」の株式価値や、負債処理に関する詳細な試算をWBDが株主に説明していない点を問題視している。
パラマウントが提示している全額現金案と比較し、Netflix案(現金と株式交換の組み合わせ)が金銭的に優れているとするWBD取締役会の根拠が不明確であるとして、今回デラウェア州法に基づき情報の開示を裁判所に求めた。

法的措置に加え、パラマウントはWBDの次期株主総会に向けた取締役候補の擁立や、Netflixとの合併案への反対票を勧誘する委任状争奪戦(プロキシーファイト)の準備を進める意向も示している。
パラマウントのCEO、デビッド・エリソン氏は株主宛の書簡で、WBD取締役会が誠実な協議に応じなかった経緯を批判し、確実性が高く全額現金化できる自社案こそが株主利益に資すると改めて強調している。

一方、WBD取締役会は提訴に先立つ1月7日、パラマウントによる修正提案を全会一致で拒否する声明を発表済みだ。WBD側は、パラマウントの提案が多額の負債調達を前提としたレバレッジド・バイアウト(LBO)構造であり、資金調達や規制当局の承認において不確実性が高いと指摘している。
Netflixとの統合こそが、ストリーミング市場での競争力強化や財務的な安定性をもたらすと結論付けており、株主に対してパラマウントのTOBに応じないよう推奨している。
パラマウントは今後、WBDの年次株主総会において独自の取締役候補を擁立し、自社案に賛同するよう株主からの委任状獲得を目指す構えだ。裁判所が情報の開示を認めるかどうかの司法判断に加え、株主総会を舞台とした委任状争奪戦の行方が、この大型買収劇の決着を左右することになりそうだ。
