人はなぜ少女にメカをくっ付けるのか──島田フミカネら7人が語るメカ少女。“ガチになるほどキモくなる”デザイン論から、ガンダムに喰われないための深海魚戦略まで

人はなぜ少女にメカをくっ付けるのか──島田フミカネら7人が語るメカ少女。“ガチになるほどキモくなる”デザイン論から、ガンダムに喰われないための深海魚戦略まで

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アクションゲームであること、スマホゲームであることの狭間で

──『アリスギア』はアップデートを重ねてどんどん遊びやすくなっていますが、続いては今後の施策について伺っていこうと思います。

柏木氏:
 今のソシャゲのユーザーの人にも触ってもらえるようにしていくのが優先事項ですね。難しすぎると言われる部分は敷居を下げますし、もっとアクションをやりたいっていう人には、それなりのものを用意していこうと。僕らとしてはすごく頑張って作ったつもりなんですけど、今はまだ中途半端な状態にあるというのは間違いないと思うんですよね。

──今の『アリスギア』って、調査任務を遊ぶのが主ですよね。ひたすら調査というか……。

柏木氏牟田氏:
 (苦笑)。

──ユーザーの間では“調査兵団”【※】っていう言葉が出るぐらい、調査にひたすら勤しむ方々が頑張っているゲームなんですけれども。

柳瀬氏:
 調査兵団……。

※調査兵団
元ネタは諫山創による漫画作品、およびアニメ作品『進撃の巨人』より。作中で調査任務がメインコンテンツであることから、調査を続ける様をユーザー達の間でネタとして定着した。

──調査兵団だけではなくて、もっとマルチで気軽に遊べる要素が増えたりとか、コンテンツが増えていけば、どんどんライトな人も入っていけるよう間口が広くなっていくのかなあとは思うんですよね。

島田氏:
 このゲームの基本はもう、それこそ『Wizardry』【※】でして。潜って、「MURAMASA BLADE!」【※】を探すっていう遊びです。すごく単調なのは単調なんですけど、そこが好きっていう。逆に、そこを面白いと思えない人はたしかに厳しいかもしれないですね。

柏木氏:
 本当に。世代的にドンピシャなんで。『Wizardy』で、10階で、ずーっとキャンプ張って戦い続けるっていう、まさにそれをモチーフにして作っているので。

Wizardry: Proving Grounds of the Mad Overlordのゲーム画面
(画像はWikipediaより)

※Wizardry
1981年にApple II用ソフトウェアとして発売されたコンピュータ・ロールプレイングゲーム。現代のRPGに多大な影響を及ぼしたタイトルのひとつであり、『Ultima』、『Might&Magic』と並び、世界三大RPGとして数えられている。

※MURAMASA BLADE!
『Wizardry』シリーズに登場する武器。妖刀村正をモデルにしていると思われるユニークアイテムで、極めて強力な性能を誇るため、MURAMASA BLADE!を追い求めてダンジョンに籠もる冒険者が続出した。

──その、“『Wizardy』でキャンプを張って戦う“っていうワードが通じる人が、おそらく結構上の方々だと思うんですけれども。

柳瀬氏:
 僕、『Wizardy』はちょっと……。『イース』【※】世代ですね。

──敵から反撃を受けないように、半分軸をずらして戦うやつですよね。

柳瀬氏:
 そうそう。そういう世代でした。

※イース……日本ファルコムの代表作であるアクションRPGシリーズ。第一作である『イース Ancient Ys Vanished Omen』から実に30年もの歴史あるタイトルで、シンプルながらもスリリングな戦闘、手に汗握るボス戦、ドラマチックなストーリーなどで多くのゲーマーを魅了した。
(画像はイースI&IIクロニクルズより)

島田氏:
 あと、『アリスギア』でストーリーモードをクリアーするのは、本当に通過点でしかなくて。

──そうですね。その後は、専用ギアを集めたりとか、キャラクターを育てたりとか、ギアのプラス値をマックスにしたりとか、ひたすら自分が満足するまでやり続けるっていう遊びですよね。

島田氏:
 自分の中での最強パーティーができるまで遊ぶっていう感じでしょうか。

牟田氏:
 今、先頭を走っている、いわゆる調査兵団と言われる人達と、下のレイヤーの人達の差が大きくて。「専用ギアがなかなか手に入らない」ってなったときに、どうしてもモチベーションがどんどん下がってきちゃう。だから、それの緩和で初心者用のマップでは専用のショットギアが出るシェルを配布するなどといった施策はしているんですよね。

 今後はもっとコア層とライト層の間を埋めつつ、さらに、潜り続ける人のためのコンテンツを出していくっていうバランスを考えているところですね。

──専用ギアといえば、完全に特定のキャラクター専用という扱いになっていますが、今後ほかのキャラクターに着けられるように装備制限の解放などはされないのでしょうか?

柳瀬氏:
 それは俺も気になっているところです。前の仕事で『アーマード・コア』【※】シリーズのデザインをやっていたので、『アリスギア』でもキャラクター専用のギアだと思いつつも、どこかでカスタマイズを前提にデザインしたところがあったんですよね。

※アーマード・コア
フロム・ソフトウェアが制作するメカカスタマイズアクションシリーズ。機体のパーツを組み替えて、多様なミッションに挑む自由度の高さとゲームプレイの幅、どこまでもストイックなゲーム性がカルト的な人気を博した。

柏木氏:
 最初は専用装備のスロットに「特定のキャラクターに装備可能」というキットを入れれば他キャラクターでも装備出来るようにするという仕様はありました。

──ああ、そういう構想もあったんですね。

柏木氏:
 いつか制限開放はされるかもしれないですけれど。バランス的に難しい事と、専用ギアがキャラクターのアイデンティティになっているので難しいと思います。ただ、仕組み的には可能ですね。

柳瀬氏:
 あと色変えたいなーとか思ったりもして。

柏木氏:
 色、変えたいですよねえ。

柳瀬氏:
 『アリスギア』はビューワーモードがね、テストプレイのときから一番楽しかったんです。これって本当に模型の遊びかたと同じだなと思って。

──俺色に染めたいとか、統一感を出したいっていう気持ちですよね。

柳瀬氏:
 そうなると、もうそれこそ『アーマード・コア』になっちゃうと思うんですよね。……でも、エンブレムもやりたいなーとか。

柏木氏:
 エンブレム貼りたいっていう要望もいっぱい来ますからね。

柳瀬氏:
 さっきの話にもありましたが、そういうユーザーが、今やるものがないんですよ。

島田氏:
 でも、難しいところですよね。スマホゲームっていう範囲の中で、作ろうと思えば『アーマード・コア』とか『フロントミッション』みたいなものも作れるんでしょうけど、じゃあ出撃する前に、一体のキャラにエネルギーがこれで重量がいくつで、とかアセンブルを何十分もかけてやるのかっていう話じゃないですか。

柏木氏:
 うん。

島田氏:
 それで、何戦もこなしていくっていうときに、次のボスがこれだから、アセンブリをこれにしなきゃみたいな。据え置きのシミュレーションゲームとかだったからそれが楽しめるんでしょうけども。

──据え置き機の時間の使い方だからこそできた遊びではあるかもしれません。

島田氏:
 どこまで複雑化していくのかっていうことに関しては、僕はこのぐらいがいい(笑)。

一同:
 (笑)。

島田氏:
 専用装備は専用装備であるがゆえに、最終的にはどのキャラクターも専用装備に収束していくんですけど。ただ『アリスギア』の場合、3キャラでチームを組んで戦うので、カスタマイズ要素としては、専用装備をとった後はチーム単位でカスタマイズしている、みたいなところですよね。だから、もっと僕、複数属性の混ざったマップを増やしてもいいんじゃないかなって思います。そうしたほうが編成で遊べるから。

──たしかに。「この敵にはこの子」って、交代する必要性が生まれますね。

島田氏:
 アシュラマンみたいに戦っている途中で属性が変わるボスとかが出てくれば……。

柏木氏:
 属性をある程度固定化して、高難度マップとかだけ変えているっていうのも、キャラを変えるのが面倒くさいっていう人がいるので、そうしている部分はありますね。でも、もっとディープに遊びたいっていう人もいて、そのせめぎ合いみたいなものがあって、程よい落としどころというのが難しいのは事実です。

 だから、両方の人に対応するようにゲームモードを分けていたりとか。ちょっとゆるいゲーマーでも、可愛いキャラが見たいっていうような人達もいるし、せっかくちゃんとできるシステムになっているんだから、もっとちゃんとしたゲームがやりたいんだよ! って人もいる。

──両者が納得するバランスというのは難しいですよね。

柏木氏:
 今まではゲームを作っているときって、もう難度はこれだ! ガーン! って決めたらそれで終わりだったんですけど、やっぱり運営型のゲームで、しかもアクションゲームなので、今までに手がけたゲームとは違った悩みが出てきていますね。それは遊ぶ側も同じように、これまでとは違った感覚だと思うんですよ。

 開発中も「どうしてこれはこうなっているんだろう?」みたいな素朴な質問をいっぱいされて、「ああ、なるほど」と思ったこともすごく多かったんです。

──アクション以外の部分でも、ビューワーモードは眺めているだけでしあわせなので、どんどん進化してほしいですね。

鳥山氏:
 3Dビューワーの着せ替えは、すっごく強化していただきたい。そうしたら、もう、ずっと眺めていられるので、ぜひともお願いしたいです。

──あそこで、攻撃や移動モーションを再生できるようにしたいんですよね。

鳥山氏:
 そうなんですー。あと、ビューワーが充実すると原型作るときにすげぇ参考になります!

一同:
 (笑)。

柏木氏:
 頑張ります! 僕らが今できることは、とにかく愚直に、真面目に、モノを作ること。中途半端だと、どこかで綻びが出ちゃうので、そうならないようにひとつずつちゃんと作っていくってことですからね。それはデザインに関しても同じだし、ゲームの中身も同じだと思います。

やるからには、理想的な轟雷ちゃんが出てくるコラボを実現する

※『アリスギア』×『FAガール」映像集を電ファミオリジナルで作成しました

──『アリスギア』では、『メガミデバイス』に続き、ファン待望の『FAガール』とのコラボイベントが実現しましたが、コラボが決定したきっかけはなんだったのでしょうか?

島田氏:
 あれはやっぱり、『メガミデバイス』で繋がりができたからっていう、そういう話?

野内氏:
 そうですね。『メガミデバイス』はきっかけとして大きいですね。

柏木氏:
 『FAガール』とのコラボに関しては、コロプラさん主導でお話しが進みました。

島田氏:
 ああ、コロプラさんがやろうとしたってことなんですね。

柏木氏:
 そうです。最初は、どのタイミングでコラボするのが良いのかは迷いました。もう少し『アリスギア』がタイトルとして確立してからという事も当然思いましたが、マーケチームに色々教えていただき、また最初にコラボするのであればコトブキヤさんとが良いと考えていましたので進める事になりまして。

ただ、やるからには、ちゃんとしたものをやりたい。『FAガール』のファンってとてもコアな人たちだと思うんですよね。
 そのファンの人たちがガッカリしないように、ちゃんと喜んでもらえるものを作ろうと思って臨みました。

島田氏:
 このコラボで模型のファンがゲームにも目を向けてくれればいいなと思います。

野内氏:
 なかなかねー。プラモデルを作るのと、ゲームをやるのって、やっぱり人が持っている時間は同じなので、「どっちをやるか」ってなってきちゃうのはあるんじゃないかな。

島田氏:
 それでも、少しは手にとってくれるかなと思うんですよ。

野内氏:
 両方やる人はいるだろうと思います。今の人は、どちらかというと、ゲームがベースになっていて、それ以外の趣味として模型とかがあるのかなって個人的には感じています。

島田氏:
 ああ、なるほど。

柳瀬氏:
 鳥山さんがゲームも模型も、両方ガッツリやっているのがすごいなって思う。

鳥山氏:
 ええ?(笑)。

柳瀬氏:
 いや、あんなに模型をいっぱい作りつつ、なんでこんなに『アリスギア』でも一番ぶっちぎっているんだろうって。俺らよりもぶっちぎっていて「すげえ!」って。

一同:
 (笑)。

鳥山氏:
 『アリスギア』はですねえ。あのー、本当に大好きで……。

柳瀬氏:
 鳥山さんがそう言うのは珍しい。

鳥山氏:
 『アリスギア』は、休憩時間にタバコを吸うときにやるようにしたんですよ。そしたら最近タバコが増えちゃって(笑)。

柳瀬氏:
 それはゲームをやる時間が増えているってことじゃないですか(笑)。

鳥山氏:
 そうなんですよ。でも、元々やっぱり、アクションシューティングっていうのはすごく好きだったので。

柳瀬氏:
 もともとはゲーム会社の人ですからね。

鳥山氏:
 でも今って、僕みたいに『アリスギア』だけしかゲームをしないって人もいれば、いろんなゲームを掛け持ちで一日回してやっている人もいる。
 その中には、『FGO』もやってアレもやって『アリスギア』もやってるって人もいると思うんですけど、そういう人達って、メカ少女かそうじゃないかはあまり気にしないで遊んでるんですかね? 僕はメカ少女のゲームだから『アリスギア』を遊んでいるんですけど。

柏木氏:
 その人達は、話題があったからとか、誰かが勧めたからやっているというのがすごく多いんじゃないかな。

──スマホゲームを遊ぶ大きな理由のひとつって、「みんながやっているからやる」、というのが結構大きいですね。話題を共有するためのゲームという遊び方。

柏木氏:
 スマホゲームって、セカンドゲームという考え方があって。メインでやっているゲームがあって、「そのお供にこれもどうですか?という戦略なんですけど。うちらも本当はもう少しそういう戦略をとればよかったんですけど、結構ガッツリ系になっちゃっているので。

牟田氏:
 そ、そうですね(笑)。

柏木氏:
 それは、いいところでもあり、悪いところでもある。コンシューマー系の短時間でガッツリやって、「うわあ、やったぁ! 今日も疲れたァ! でも面白かった!」っていうノリのままソシャゲになっちゃっているっていうのが『アリスギア』なんですよ。

──「なっちゃった」んですね。

柏木氏:
 なっちゃったんです。

一同:
 (笑)。

柳瀬氏:
 ピラミッドさんらしいなって思いますけどね(笑)。

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