ブームが再燃している“メカ少女”ジャンル
──名残惜しいですが、そろそろ締めの話題に移らせて頂ければと思います。その前に、メカ少女というジャンルの現状を整理させて頂ければと。
最近はメカ少女というジャンルにいろいろなメーカーが参入してきていて、まるで“戦国時代”のような様相となっているかと思います。今、このメカ少女が溢れてきている現状について、どう思われますか?
野内氏:
そもそも論としては、今流行っているというより、ブームになっていたのは結構昔からですよね。
──『FAガール』の前で言うと、『武装神姫』がメカ少女ブームの火付け役とも言えると思います。
鳥山氏:
メカと女の子っていう文化は、昔からありましたし、そういったものをシリーズ商品として展開して発売したというのが、『武装神姫』のエポックメイキングなところだったんじゃないかなって思いますね。
それでだんだん人気が高まっていったのか、たまたま商品化できるタイミングになってきたのか、だと思うんですよね。
──鳥山さんはほかのインタビューで、工業生産の精度が上がってきて、角ばったロボットじゃなくて、女の子が作れるようになってきて、それがきっかけのひとつだったとおっしゃっていましたが。
鳥山氏:
それもありますし、あとは、子どもの頃からメカ少女っていうものを割と見てきたんですけど、そういう人達が商品企画の仕事をできる歳になってきたということだと思います(笑)。
──昔の雑誌などに載っていたものに憧れた人が、作る側に回ったということですね。
鳥山氏:
あの辺の時代は、あれですか。えっと、『ガルフォース』【※】とかがあったりもしましたね。そんなのを見ながら育って、ゲーム会社とか玩具会社に入った人が、やっていたんでしょうね。……ああ、だんだん喋りながらわかってきた気がしますね。技術っていうよりは、考え方とか、原型を女の子っぽく作ろうっていう意識になってきたからなんですよね。
柏木氏:
製品として、手に取りたいって思うような魅力を持ったものっていうのが、割と着彩されて出始めたっていうのが、『武装神姫』などが出てきた時期になると。
島田氏:
トレーディングフィギュアとか、ガチャとか、小さいサイズでも結構完成品で女の子を作れるじゃん、みたいなことは話していましたね。当時はコスト的にも間に合っていたしね。
野内氏:
ワンコインフィギュアとかですね。まあ、『メカ娘』はまさにそうですよね。
鳥山氏:
むしろ、ね。昔はコストが安かったのでね。このくらいグリグリ動く『武装神姫』で、それこそアーンヴァルの大きな羽がついていたりとか、ストラーフの、でっかい腕がついていたりして、あれでいくらで売っていたんでしたっけ。たしか3500円ぐらいでしたか。
柏木氏:
今ではありえないですよね。
鳥山氏:
ありえないですよね。なんですけど、逆に、だからできたのかもしれないですね。
“メカ燃え”と“洋服萌え”、それぞれの楽しみ方
──またメカ少女といえば、女の子であることを重視して洋服を着せて楽しむこともできますよね。『FAガール』では「マテリア」や「イノセンティア」などにドール服を着せて楽しむ人が少なからずいたと思います。
それは『武装神姫』がブームになった当初から今でも変わらなくて、この遊ばれ方、楽しまれ方は、どこまで想定していたのか、また、どう感じているのか、伺ってみたいです。
鳥山氏:
『武装神姫』が世に出る以前は『ミクロマンレディ』などがありましたが、そもそもとして、1/12サイズで可動する立体物自体があまりなかったわけです。そういった物が出始めた頃に、ドールを好きな人達が1/12サイズの子に服を着せてみたら、「予想以上に楽しい!」という感じで盛り上がったんでしょうね。
──なるほど。とはいえ、そういった遊び方をされているのは、結構限られていると思うんですよね。
鳥山氏:
うん。すごくニッチです。なんですけど、1/12サイズで服を着せて面白いのは、確かなんですよ。それは、1/12サイズ用の服を出すメーカーがあるというのと、1/12っていうスケールの小物がいっぱい充実しているから、遊びの幅がとてもひろいんです。
──「AK-GARDEN」【※】などのイベントで服や小物を出品されているディーラーさんもいますし、このサイズ感がひとつのフォーマットになった印象もあります。
※AK-GARDEN
可動キット、ガレージキットやミニドール、ミニチュアを中心とした立体創作物の展示即売会イベント。1/12スケール前後(約13cm~21cm)のものを中心に扱うイベントで、公式、非公式問わずさまざまなジャンルが集う活気のある催し。
鳥山氏:
そうなんですね。そういうものがいろいろと集まって、ひとつの遊び方、文化になったんだと思っていますね。
島田氏:
『武装神姫』が出たころの話で言えば、あの時期には1/12サイズで、手軽な値段で買える素体が神姫だけだった。
鳥山氏:
それもありますね。
島田氏:
あと、元々が裸に近いデザインだということに加えて、武装をつける仕様の関係で、上腕と太ももを分割できるので、タイトな服を着せやすい、遊びやすかったという理由もあります。まあ結果論ではありますよね。
鳥山氏:
うんうん。
島田氏:
とはいえ、現状ではなかなかプラモデルの商品としては布服は組み入れづらい部分がありますよね。『メガミデバイス』の楓ちゃんなんかもそうなんだけど、前だれの部分だけを布でできるのかっていえば、作ろうと思えば作れるんだけども……。プラモデルで生産する個数のベースに、布の部分の生産が追いつかないので。
野内氏:
そうですね。
島田氏:
もし、そういう問題がクリアーできるんだったら、アーマーに布パーツを組み合わせたデザインをあらかじめ想定して作ることも、可能になってくるのかもしれない。
野内氏:
そうなったら面白いですよね。ぜひとも挑戦してみたいです。
僕らがやっているのは、深海の中で、いかに生きるかっていう“深海魚戦略”
──メカ少女というジャンルの今後についてなんですが……。月並みなお題になってしまうんですけども、みなさんはその未来をどう見ているんでしょうか。
野内氏:
それは、せっかくこの面子がいるので言いますけども、メカ少女としてのフォーマットを固めるか、固めないか、ですね。島田さんが「こうだ!」って言ってしまえば、決まってしまうようなこともあると思うんです。それがどうかなっていうのがありますね。
島田氏:
それはどうなんでしょうね? ジャンルとしてどうこうっていうよりは、僕はもう、メカ少女は今がバブルだと思っているので。発展っていう意味だと、単発の作品として、コンテンツとしてヒットする作品が出てきても、それがメカ少女としての盛り上がりなのか? っていうと、わからない。
野内氏:
それはまた別でしょうね。
島田氏:
『艦これ』さんの盛り上がりなんかは、まさにそれで。『艦これ』がヒットしたからって、『艦これ』の女の子を描く人は増えたんだけど、じゃあ、『艦これ』でまだデザインされてない外国の艦とかを、自分のメカ少女のフォーマットで描いてみようなんていう人は、先ほどの艤装を描くか描かないかという話と同じように、1000人にひとりとかなんです。
野内氏:
なかなかいないでしょうね。
島田氏:
それでも、いろいろな作品が出て、盛り上がって、その中からファンの人が多い作品が出てくるっていうのは、自分の商売にとってもありがたい話だし。その波に乗っかることにやぶさかではない(笑)。
一同:
(笑)。
島田氏:
ただ、それで、すごくジャンルとして、オタクカルチャーのメインストリームになるのかっていうと、僕は別に全然そんなことを思っていないし、なってほしいとか、そういう夢とか野望みたいなものもないし。なんか、このまま、また5年前、10年前みたいな、すごく変わり者の趣味の人が、細々とやっているジャンルに戻ったところで変わんねーかな、と。今から10年後、そのころに当時を振り返って、「10年前なんかは、『FAガール』とか、『アリスギア』っていう、いい時代があってね……」、みたいな話をしているかも。
柳瀬氏&海老川氏:
(笑)。
島田氏:
「あの時期、いっぱい商品が出てねえ、まあ俺は、今でもやってるけど」とか、そういう未来でも、僕は全然構わないんです。
野内氏:
ねえ……。
──では野内さんから、コトブキヤとしての『FAガール』の展開といいますか、展望というのはいかがでしょうか?
野内氏:
展望と言っても、『FAガール』はもうすでに3年目を迎えているので、一段落というところですね。だから、鳥山さんと『メガミデバイス』をはじめました、というところです。まあ、とはいえ、これからどうするかな、と……。
一同:
(笑)。
野内氏:
うちの展望は、どちらかというと、デザイナーさんとか、プロデューサーさんにお任せするというのが。うん、基本なので。……かな?(鳥山氏を見つめる)
鳥山氏:
振ったねえ(笑)。
野内氏:
今、作っているところじゃん? こっちは、ひと通り……一周目は終わったので。
鳥山氏:
あの、本当ねえ、島田さんと同じ意見なんです。ジャンルがすごく発展していくだろう。それに僕らは、どうにか貢献しなきゃならない! とは、それほど思ってないんですよ(笑)。
島田氏:
もちろん、売れてほしいとか、ファンの人に喜んでほしいとかっていうのは当然思っているんです。
鳥山氏:
そうそうそう。
島田氏:
思っているんだけど、じゃあ、今やっているコンテンツが、ガンダムに、エヴァになるのかなんて、まったく考えてないので。
一同:
(爆笑)。
野内氏:
ならないですよ!
島田氏:
逆に商売として「そろそろ潮時だね」ってなったからって、「商売にならないからやめましょうよ」ってなるかっていうと、「いや、別に趣味でやるし!」っていう心境です。
鳥山氏:
うんうん。
島田氏:
むしろ、今が趣味をやっていたらお金がもらえるバブリーな状態(笑)。
一同:
(笑)。
鳥山氏:
実際そうですね。
島田氏:
「趣味で描いていたのに、お金までもらえるの!?」みたいな。こういう状態が続いてくれれば、自分としてもそれはたいへんにありがたい話です。だけども、萎んだからってそういうジャンルをやらなくなるのかっていうと、そういう話でもない。
鳥山氏:
とはいえ、最近やっとガンプラしか作ってなかったような人も、女の子のフィギュアを恥ずかしながら買ってみようとか、買ってみたら「ああ、いいじゃん!」って言ってもらえる状態にはなってきていると思いますね。
──そうですね。受け入れやすくはなってきたという印象はあります。
鳥山氏:
はい。でも、もう取り込む層は大体取り込んだと思うんですよね。
──ほかに拡がらない?
鳥山氏:
取り込み切った感じはあります。ほかのメーカーさんで同じような企画がちょこちょこ出始めていますけど、多分相当好きな人じゃないと、続けられないと思いますね。
──そうですね……。
鳥山氏:
それこそ、島田さんじゃないけど年季が違うので。
──いきなりできるか? というと、そう簡単にいくものではないと。
鳥山氏:
うん。まあだからといって安心しているという訳ではないんですけれども。結局なんだろう……ニッチなんですよね!
一同:
うん。(同時に頷く)
鳥山氏:
言うてもニッチなんです! これは!
柳瀬氏:
それを言われたら、俺が話すことはもうないです。
一同:
(爆笑)。
柳瀬氏:
その言葉が出ちゃったら(笑)。
鳥山氏:
ああ、ごめんなさい!
野内氏:
まあまあ。
柳瀬氏:
本当にそうだと思いますよ。
鳥山氏:
ねえ?
柳瀬氏:
なんか、流行っている風に見えるけど。ニッチだよなあーって思いますよね。
鳥山氏:
いや実際、立体物っていう方向で言ったら流行っていますよ。
野内氏:
うん。
島田氏:
でも昔からやっている人ほど「今が異常!」って思っている。
鳥山氏:
ははは。たしかに。
柳瀬氏:
流行っているけど、模型業界や立体業界全体で見ると、まだニッチなんじゃないかなっていう気はしていて。
鳥山氏:
いや、意外と……比率的に言えば、ガンプラっていうのを除けば……いや、除くわけにはいかないですけども!
一同:
(笑)。
柳瀬氏:
オタク業界全体で見ると、すごくニッチだなって感じるときがあって。
鳥山氏:
ああ、それはありますね。
柳瀬氏:
例えば、アニメやゲームの仕事でいろんな会社の人と話すんだけど、「あ、(メカ少女が)まだ知られてない!」ではないでしょうか?っていうことが結構あったりするので。こんなに流行っているのに目に届いてないんだって思うときがたまにあります。
鳥山氏:
ありますねえ。
──なるほど。
柳瀬氏:
逆に言うと、ニッチの中で、いかに新しいものを見せていくかっていうことを考えていかないといけないし。だからねえ……『FAガール』もアニメ化はしたけど、なんか超えられない壁はまだあるなって思います。
島田氏:
「深海魚戦略」ってやつだよね。
柳瀬氏:
ん?
鳥山氏:
深海?
島田氏:
僕らがやっているのは、深海の中でいかに生きるかっていう。
鳥山氏:
ああ、深海魚ね!
島田氏:
欲を出して陸上に上がると、ガンダムっていう大きな鳥に喰われるので……。
一同:
(爆笑)。
島田氏:
うかつに「そろそろちょっと、両生類に進化しよう」ってなるとパクッ! と。「いやいやいや、深海いいとこじゃん。深海をひろげようよ」って(笑)。
野内氏:
潜っていけばいいのか(笑)。
鳥山氏:
上手いことを言いますねえ!
島田氏:
深海のサメぐらいになればいい。深海での、食物連鎖の上のほうっていう。ただ、釣り上げられると、多分浮袋が出て死んでしまうという。
一同:
(笑)。
──たしかに(笑)。
見てみたいけれども、来てほしくはない「メカ少女が現実にいる世界」
──時間もそろそろ迫ってきましたので、最後の話題になるのですが、ぜひ技術面についても伺いたくて。例えば、現実で人工知能ですとか、そういった技術が発展して、このサイズで動くメカ少女が実在する未来が来るかもしれない。そういった、未来への可能性についてはどう思われますか……?
柳瀬氏:
(爆笑)。
野内氏:
何を言っているんだ……。
鳥山氏:
わはははは。
柏木氏:
高尚な感じになってきているぞ!
野内氏:
でも、これは多分、技術的にできますね。やりたい人が勝手に作ると思いますよ。
柳瀬氏:
すごいな……でも、それは……作らなくていいんじゃないの。
野内氏:
なんかねえ、そんなものだと思っていますよ、もう。
鳥山氏:
何十年後には、できていると思いますよ。うん。
──その未来が結構近いところにきているのかな、という感覚があります。
島田氏:
本当に、こんなサイズの、動いて喋れる美少女ロボットみたいなのが出るとして、今、絵で描いているようなやつよりも最高にキモいですよね。もちろん買うけど!
一同:
(笑)。
柳瀬氏:
買うのか!
鳥山氏:
本当に人に見せられないかもしれないよね。
島田氏:
サブアカを作って「買ったぜ!」みたいなつぶやきをするかもしれない。
一同:
(笑)。
鳥山氏:
わざわざサブアカを……。
島田氏:
メインアカでは明かせない!
柳瀬氏:
変な話ですけど、来てほしくないんですよ。
──その未来が、ということですか?
柳瀬氏:
今は絵で仕事をしながら楽しく遊べているのに、それが現実に来ちゃうとやりづらくなるなぁって。
鳥山氏:
(笑)。
柏木氏:
そしたら、ロボットのデザインの仕事とか、あるんじゃないですか?
柳瀬氏:
いや、どうでしょうね……。
柏木氏:
いやいや、AIBO【※】とかだったりとかあるじゃないですか。
※AIBO
ソニーが1999年より販売しているペットロボットシリーズ。2018年より、デザイン変更とともに名称がすべて小文字の「aibo」となった。名称は「Artificial Inteligence roBot」の略で、AI(人工知能)、EYE(視覚)、相棒(aibou)にちなむ。2001年に発売された「ERS-220」は、『超時空要塞マクロス』シリーズで著名な河森正治氏のデザインで話題を呼んだ。
柳瀬氏:
ああ、河森正治さんがやっていますね。ロボならいいですよ。女の子、メカ少女がリアルになると困るなぁって、正直、そう思いながら働いています。来なければいいと思う、そんな未来は(笑)。
鳥山氏:
市販されるかどうかは別としてですけど、研究はされそうですよね。
──愛玩用ロボットとしての可能性は追求される気はしますね。
鳥山氏:
真面目な話をすると、バッテリーの問題さえクリアーできれば実現すると思いますよ。
柳瀬氏:
AIBOとか、そういうね、ペットの代わりという方向性は全然アリだと思うし。ただ女の子はちょっとなあ。
野内氏:
絶対ね、作る人間はいますよ。
鳥山氏:
まあ、その未来が見たいかどうかっていうと、ちょっとどうかなあ。
一同:
(笑)。
鳥山氏:
それがゴールではないのでね。
柳瀬氏:
そうですね。そこを目指してやっているわけじゃない。
海老川氏:
Siriに話しかけるだけでも、ちょっと恥ずかしいですからね。
鳥山氏:
そうなんです!「Hey,Siri!」って言わせないでくれよって。
島田氏:
メイドロボとか出てきたら最悪ですよね。「ご主人様!」って言われても、「やめてくれよぉ! 俺はそんな大した存在じゃない!」って言いたくなる。
一同:
(爆笑)。
島田氏:
「俺は君をローンで買ったんだ!一括で買えなかったんだ」って。
鳥山氏:
それ、なんか漫画になりそう!
島田氏:
いや、それはさ。ドーラーの人【※】とかを見ていて感じることの延長線上なんですけど、やっぱ、ドーラーの人も、ものすごいお金持ちの人ばっかりじゃないから、なんか、一点豪華主義っていうか、六畳一間の畳とか、すごい生活感のある、部屋干しの衣装とかかかっているんだけども、ドールのある一角だけはすげえ豪華で。ヨーロッパ風のお人形さんがいるんだけど、カメラをこうやって角度を変えたら、とたんに生活が見えたりとかさ。
メイドロボを買うのはいいんだけど、そこがお屋敷ならいい。お屋敷ならいいけどさ、散らかってる自分の部屋なわけでしょ。
※ドーラー
ドール愛好家。なかでも、等身大のドールを愛する人達の事を指す場合もある。1/6スケールや1/3スケールのドールを好む人間とは区別されて使われる事もあるが、境界線は曖昧である。
一同:
(笑)。
島田氏:
やっぱりそれって、高級車を買ったけど自宅ガレージがないから、遠くの駐車場に駐めてわざわざ歩いてます、みたいな感じになってくるじゃないですか。トータルとして様になっていないと、自分の中ですごく恥ずかしくなってくる。それがドールだと、視界が箱庭的にそこを作り込むっていうのがあるけど、スケールがでかくなればなるほど、この子に見合う全体的な生活のレベルが必要になって、どうなんだ? っていう。
鳥山氏:
すごい、プレッシャーとストレスが溜まりそうな(笑)。
島田氏:
この子が尽くしてくれれば尽くしてくれるほど、俺はそれに値する人間なのか?! みたいな。
──あくまで二次元だから、作品の中だから、いい。現実に来てほしいかというかどうかは、また別の話と。
鳥山氏:
見てみたいですけどね。
島田氏:
技術的には見てみたいですよ!
野内氏:
勝手に作ってくると思う。それが商売になるかは、また別の話で。 私の知り合いでAIBOを作っている人間がいて。 やっぱりね、そういう話はしているので。もう中でもやりたい人と、やりたくない人がいるようですよ。別に技術屋さんはそんなものに興味はないけど、オタクな人はやりたいっていう人がいるので。だから自然にそうなるんだろうなと。
鳥山氏:
しかし……いやあ、すごいなもう。最後の締めにしては、ずいぶんと否定的な結論に……。
柳瀬氏:
なんて否定的な質問をするんだろうと思いましたよ。
一同:
(笑)。
鳥山氏:
でも、どのくらいの人が欲しいのかはわからないので、訊いてみたい気はしますよね。一般の人達に。
柏木氏:
SF的にくるかこないかでいうと、「くる」と。ほしいかほしくないかでいうと……「ほしいけど言えない!」。
一同:
(笑)。
島田氏:
とりあえず買って、買ったことは黙っておこう。
──そうすると、まるでラブドールみたいな扱いになっちゃいますね。
柳瀬氏:
本当にそうですね。女の子のフィギュアでやっているわけだから。
野内氏:
女の子のフィギュアは、まさにうちの会社だとそうでしたから。10数年前、本当にアダルトゲームのキャラのフィギュアが多かったですし、本当に最近ですね。
島田氏:
ああー。
──そうですねえ。
野内氏:
うん。うちは、15年か。
鳥山氏:
健全になったねえ……!
柳瀬氏:
健全になったね、って(笑)。
海老川氏:
逆じゃないんですか(笑)。
野内氏:
一般化しちゃったと。おそろしい話です。
柳瀬氏:
麻痺したのかもしれない。
──本当に麻痺してきているのかもしれないですね。……と、そんなこんなで、オチとしてはたいへんな話題になってしまった感はありますが、みなさん、本日はお集まりいただき、本当にありがとうございました!
一同:
ありがとうございました。(了)
古くからオタクカルチャーとして脈々と受け継がれてきたメカ少女ジャンル。そして、今では貴重なカスタマイズシューティングアクションゲーム。そんなジャンルで活躍し続けるクリエイター達を招いた座談会だったが、皆さんはどんな感想を抱いただろうか。
『アリス・ギア・アイギス』のクリエイター陣、開発メーカーを見た時、そして実際にゲームを触った瞬間に「このゲーム、愛の深さが尋常ではない、本気(マジ)だ!」と直感し、どうにかこのゲームの熱量の高さ、関係者の深いこだわり、仕事ぶりを明らかにしようというのが今回の取材の主なテーマだった。
「シューティングでずっと戦っていけるIPを作りたかった」、「社員一同、魂を込めて、真面目に、愚直に作るしかない」と力強く語るピラミッド 柏木氏の言葉通り、『アリスギア』は本取材後もアップデートを重ねて、メキメキとクオリティアップを果たしており、どこまでもゲーム作りに真摯な姿勢は、長年に渡って数多くのゲームを作り続けてきた生粋のゲームメーカーだからこそのこだわりと、ゲームへの“愛”ゆえなのだろう。
そして、メカ少女の新たなフォーマットを切り拓いた島田フミカネ氏の切れ味鋭い言葉の数々とデザイン論や仕事に対する姿勢が窺えたのも大きい。鳥山とりを氏が語ったように、「メカニックを衣装として解釈するデザイン手法」や、作品の世界観を徹底して尊重するこだわりの強さ、また、銃器や兵装だけでなく、動物のモチーフでデザインを揃える几帳面さと造詣の深さは、同氏の代表作である『ストライクウィッチーズ』シリーズの人気、キャラクターの魅力も大いに納得させられる。
島田フミカネ氏は取材中、「伊達に10年以上この仕事をやっていない、まだまだ若い者には負けないぞ!」と熱っぽく語っていたが、その言葉には確かな自信と、「オレを倒しに来い!」と、“新しい世代へのエールを送っているのではないか”と感じた次第だ。
一大ブームとなった『武装神姫』の生みの親である鳥山とりを氏をはじめ、クリエイター陣が口を揃えて「メカ少女はニッチなジャンル」だと言い切りつつも、全力で走り続けるクリエイター達の姿勢、力強い言葉からは、並大抵ではない“情熱”と“愛”を感じずにはいられない。
そんな愛と情熱溢れるクリエイター達がエネルギーを注ぐメカ少女ジャンルと『アリスギア』がどのように発展していくのか、今後の動向に注目していきたい。(2018年5月7日収録)
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